双頭の巨人機は生まれるか? エンジン10発の巨大飛行艇が選考を通過 米国防総省
マンガやアニメなら映えるデザインかも。
高度30m未満の超低空での飛行性能も
アメリカの無人航空機メーカー、GA-ASI(ゼネラルアトミクス・エアロノーティカルシステムズ)は2023年2月1日、DARPA(国防高等研究計画局)が進める超大型水上飛行機「リバティー・リフター(Liberty Lifter)」プログラムのフェーズ1で、自社の大型輸送飛行艇プランが選考されたと発表しました。
GA-ASI(ゼネラルアトミクス・エアロノーティカルシステムズ)が公開した「リバティー・リフター」飛行艇のイメージCG(画像:GA-ASI)。
これによりGA-ASIは、DARPAを所管するアメリカ国防総省から800万ドル(1ドル130円換算で約10.4億円)の支援を受け、水上飛行機としての概念設計レビューを6か月以内に構築するとしています。
「リバティー・リフター」は、長距離飛行が可能で、かつ生産・運用コストを抑えた輸送用水上機の開発を目指すものです。また特徴のひとつとして、翼状の物体が地面や水面近くを移動する際、それらのあいだの空気流の変化に物体が影響を受ける「地面効果」を用いて、水面から100フィート(約30m)未満の超低空で飛行することができる仕様も盛り込まれています。
DARPAでは本プロジェクトで、このような航空機がアメリカ軍の戦略・戦術双方の輸送能力を飛躍的に向上させることができるのかを実証するともしており、その第1段階としてフェーズ1では航続距離や貨物の積載量などについて審査が行われていました。
機体サイズで厳格な規定が設けられているわけではないものの、国防総省の重量物運搬要件に基づき、大型輸送機並みの100t以上の貨物を搭載できる仕様が計画されています。また飛行高度は1万フィート(約3050m)を維持できるよう設計されるほか、低価格で購入できる機体であることも開発要件に盛り込まれています。
エンジンは驚異の10発
GA-ASIの「リバティー・リフター」プランは、双胴型で主翼は胴体中程に設けた中翼配置です。エンジンはプロペラ駆動のものが10発あり、それらすべてが主翼上部に備え付けられています。尾翼は水平翼が上端に付くT字型形状ではあるものの、中央の水平尾翼は左右がつながった1枚形状となっています。
詳しい性能は不明ではあるものの、GA-ASIのデビッド・R・アレクサンダーCEOは「MQ-9Bスカイガーディアンやシーガーディアンなどの無人航空機を開発してきた我々のノウハウは、リバティリフターの能力を向上させ、未来の貨物機の運用の幅を広げるのに役立ちます」と述べています。
なお、今回の「リバティー・リフター」プログラムのフェーズ1では、GA-ASIのほかにAFS(オーロラ・フライト・サイエンス)の単胴型プランも選考を通過し、次のステップへと進んでいます。