「尖圭コンジローマ」とは?男女別の症状・原因についても解説!【医師監修】

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陰部のかゆみに悩まされている方も多いのではないでしょうか。場合によっては、単なるかぶれであると自己判断して、対処せず放置してしまっている方もいるかもしれません。

しかし、陰部のかゆみは単なるかぶれだけではなく、感染症が原因で発生している可能性もあります。医療機関で診断を受けた方が良いケースもあるので注意しましょう。

今回は、陰部のかゆみの原因についての解説をします。病院などの医療機関で受診したほうが良い目安や相談するべき診療科についても紹介するので、参考にしてください。

陰部のかゆみの原因


陰部にかゆみが発生する原因としては、主に以下の2種類が挙げられます。

かぶれ

感染症

体質的にかぶれやすい方もいるでしょう。このため、陰部がかゆくなったとしても重視せず放置してしまっている方が多いと考えられています。しかし、陰部のかゆみの原因としては感染症の可能性もあることを知っておきましょう。
場合によっては重大なトラブルに発展する可能性もあります。また、かぶれの場合においても生活に支障をきたす状態に陥ってしまう恐れもあるため、放置することなく早めに対処することをおすすめします。

かぶれ

陰部のかゆみの原因で最も一般的なのが、かぶれです。かぶれとは、正式には「接触皮膚炎」と呼ばれ、主に外部から何らかの刺激を受けたことが原因で発生する炎症を指します。かぶれが起こる原因としては、皮脂・汗・空気の乾燥などが挙げられます。
また、体質によっては特定の物質に触れることでアレルギー性のかぶれを起こしてしまう場合もあるでしょう。女性の場合は、生理中に使用するナプキンやタンポンのひもなどがデリケートゾーンに接触して起こるケースが多いです。
男性の場合は、衣類による蒸れや性行為時に使用するコンドームが体質に合わないことで起こるアレルギー性の炎症が原因となるケースがあります。夏場に起こりやすいと考えられがちですが、温かい室内で過ごしたり分厚い衣類を着用したりすることにより、冬場でもデリケートゾーンの蒸れが起こるケースも少なくありません。

感染症

陰部のかゆみは、何らかの感染症が原因となっているケースもあるため、決して軽視してはいけません。陰部のかゆみを起こす感染症としては、主に以下のようなものが挙げられます。

膣カンジダ

トリコモナス膣炎

細菌性膣症・一般細菌

性器ヘルペス

膣カンジダは、カンジダ菌と呼ばれる常在菌が原因として発生する病気です。カンジダ菌は皮膚・口腔・消化管・膣などに常に存在する菌です。何らかの要因で身体の抵抗力が落ち、膣内でカンジダ菌が増殖することにより発症します。腟の中に入れる薬や専用の塗り薬などを使用することで、数日で改善するケースが多いです。
トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が原因で発生する感染症です。性行為により膣トリコモナス原虫が膣に感染し、発症します。タオル・便器・風呂などを経由して感染するケースもあります。放置すると症状が悪化し、子宮内膜炎・卵管炎・不妊症を引き起こす原因となる場合もあるため、早めに治療しましょう。
細菌性膣症・一般細菌は、細菌が腟内で増殖し、おりものが増える症状を引き起こします。ストレスや疲労などによって抵抗力が低下した際に発生する場合が多いと考えられます。
性器ヘルペスは、陰部疱疹とも呼ばれ、主に性行為により感染する病気です。単純ヘルペスウイルス1型または2型が、性行為により性器に感染することで発症すると考えられています。抗ウイルス薬などにより治療しますが、体内から完全に除去するのは難しいです。抵抗力が落ちた時などに再発するケースがあるので、注意する必要があります。

陰部のかゆみで病院へ行く目安


陰部のかゆみが起こった時、病院などの医療機関で相談を受けた方が良いケースとはどのような場合でしょうか。陰部のかゆみは、軽度であれば原因となる物との接触を避けたり、市販薬を使用したりして対処可能です。しかし、感染症などが原因の場合は放置していると悪化したり他の重大なトラブルに見舞われたりするリスクがあります。
主に以下のような状態がみられる場合は、早めに病院などの医療機関に相談に行くことをおすすめします。

かゆみが強いとき

性感染症の可能性があるとき

おりものに異常があるとき

陰部のかゆみを恥ずかしいと考えて、対処しないという方も多いかもしれません。しかし、放置することで重大なトラブルにつながる可能性があります。病気かもしれないという認識を持ち、恥ずかしがらずに医療機関に相談に行きましょう。

かゆみが強いとき

かゆみが強く、なかなか収まらない場合は、医療機関に相談に行ったほうが良いでしょう。最初にかゆみが感じられてから、数日経過しても改善がみられない場合は、単なるかぶれでない可能性があります。かゆみが起こっている状態で放置していると、出血を伴ったり我慢できない痛みに発展したりして生活に支障をきたしてしまう恐れがあります。
また、かゆみの範囲が広い場合も早めに相談する方が良いでしょう。医療機関で受診すれば、かゆみの原因を明確に判断してくれるため、我慢せずに相談に行くことをおすすめします。

性感染症の可能性があるとき

性感染症の可能性があると判断される場合は、医療機関に相談に行くほうが良いでしょう。性感染症が疑われる状態としては、主に以下のようなものが挙げられます。

強いかゆみ

おりものがいつもより多い

おりものの臭いが強い

陰部に水ぶくれが起こる

白濁・黄緑色などいつもと違うおりものが出てくる

性感染症に罹患している場合は、時間の経過によって症状が改善されるケースは少ないでしょう。場合によっては大きな問題に発展するかもしれません。早めに医療機関で相談をして、場合によっては治療を受けましょう。
専門医に相談すれば、かゆみの原因を特定してもらえるケースが多いため、ご自身で判断せず早めの受診をおすすめします。

おりものに異常があるとき

前述のように、おりものに異常がある場合も医療機関に相談に行くほうが良いでしょう。おりものの異常は、性感染症が原因で発生している場合が多いためです。臭いが気になったり、量が多かったり、ポロポロとした白濁のおりものがみられたりした場合は、早めに相談に行くことをおすすめします。
性感染症は、放置していると症状が悪化して他の重大なトラブルを引き起こしかねません。安易に自己判断をせず、専門医に診てもらいましょう。

陰部のかゆみで受診する科


陰部のかゆみについて受診する科は、女性の場合は皮膚科・婦人科になります。男性の場合は皮膚科・泌尿器科になるでしょう。単なるかぶれの場合は、皮膚科で治療を受けるのが良いですが、性感染症の疑いがある場合は、皮膚科では対応できない場合が多いです。
どの診療科が自身の症状に合っているのか判断できない場合は、まずは皮膚科を受診するのが良いでしょう。性感染症の疑いがあるかどうか、皮膚科でも判断してもらえます。陰部のかゆみについて、医療機関に相談に行くのが恥ずかしいと二の足を踏んでしまう方も多いかもしれません。放置していても問題ないと、安易な自己判断をしている方もいるでしょう。
しかし、場合によっては性感染症に感染しており、症状が悪化してしまう恐れもあります。陰部のかゆみは、病気のサインである可能性があるため、医療機関での受診を検討してみてください。

すぐに病院に行った方が良い「陰部のかゆみ」症状は?

おりものの異常(多量、血が混じるなど)がある場合

痛みがあったり、皮膚・粘膜に発疹がある場合

これらの症状の場合には、早めに病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、婦人科、泌尿器科、皮膚科です。

問診、診察、血液検査、顕微鏡検査などを実施する可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから症状があるのか、性行為歴、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。パートナーの治療も必要になる可能性があります。

治療する場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ


陰部のかゆみに悩んでいる方は、男女問わず多いのではないでしょうか。体質的に肌が弱く、かぶれやすい方は陰部にもかぶれが生じやすいです。

相性の良い下着に変えるなど、対策を取ることで症状が改善される例も多いです。しかし、性感染症に罹患している場合は、症状が悪化してしまう恐れもあります。

ただのかゆみと安易に判断することなく、早めに医療機関に相談に行くのをおすすめします。かぶれの場合は皮膚科に、性感染症の場合は婦人科・泌尿器科で診てもらいましょう。

陰部のかゆみ症状の病気

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性器クラミジア

クラミジア性尿道炎

膣トリコモナス

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閉経更年期障害

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梅毒

接触性皮膚炎

epidermolytic acanthoma

乳房外パジェット病尖圭コンジローマ

参考文献

性感染症(STD)について(医療法人社団 予防会)