眠気を覚ます方法とは? すぐに試せる9つの方法を専門家が解説

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夜更かししてしまった翌日など、仕事や勉強に集中しなければならないのに、眠くて仕方がない……。そんな経験がある人も多いはず。

そこで今回、内科と睡眠障害の専門医である阪野クリニックの阪野勝久院長に、「眠気を覚ます方法」を教えていただきました。

 

阪野勝久(ばんの・かつひさ)

日本睡眠学会専門医、医学博士
阪野クリニック 院長

https://banno-clinic.biz/

愛知医科大学大学院修了後、マニトバ州立大学医学部に留学。睡眠医学の権威であるクリーガー教授の指導を受けた。内科、循環器内科、抗加齢医学の専門医も取得し、睡眠医学との融合を念頭においた診察を行っている。米国内科学会上級会員(FACP)に昇格。現在は、名鉄岐阜駅近くで、睡眠障害の診療を続けながら、メディアでの睡眠の啓蒙活動をしている。

眠気を覚ます9つの方法

仕事中や勉強中などに、「一瞬で眠気を解消したい!」と思ったときに有効な方法を、誰でも簡単に試せるものを中心に紹介します。

1.カフェインを含んだ飲み物をとる

私たちが眠くなるとき、脳内ではアデノシンという睡眠物質が働いています。

カフェインは、アデノシンの作用を抑えることができるため、目を覚ます効果が期待できます。カフェインが体内に吸収されると、15~30分ほどで効果が表れ始め、数時間続きます。

カフェインを含む飲み物には、コーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンクなどがありますが、特におすすめなのが、緑茶の一種である玉露です。

ほかの飲み物に比べてカフェイン量が多いため、眠気を覚ます効果が高いと言えます。注意点として、眠いからといってカフェインを摂りすぎてしまうとカフェイン中毒になる恐れがあります。

そのため、1日にコップ1~2杯程度に抑えるなど、カフェインを摂りすぎないように気を付けましょう。

2.ブドウ糖を摂る

脳に必要なブドウ糖が不足していると、人は眠くなります。これを解消するために、ブドウ糖が入った飲み物や食べ物をとると眠気覚ましに効果的です。

さらに、「アイス+チョコレート」「ビスケット+コーヒー」など、ブドウ糖とカフェインを合わせて摂取することで覚醒効果が高まります。

このときも、カフェインの過剰摂取にならないように気を付けましょう。

ちなみに、私が参加している海外の学会は朝が早く、午前8時には講演が始まり、10時過ぎにコーヒーブレイクがあります。講演会場の外に休憩スペースがあり、ビスケットやコーヒーを食べながら、参加者同士で懇親を深めます。

講演会場は少し薄暗く、長い時間、頭を使いながら話を聞くため、眠くなりやすい環境です。そのため、コーヒーブレイク時に少し歩き、ブドウ糖とカフェインを摂ることは、とても理にかなっていると思います。

3.短時間の仮眠をとる

日頃の睡眠不足により眠気が生じている場合は、仮眠をとることもおすすめです。仮眠をとることで睡眠負債が減り、寝不足が少し解消されます。

このとき、寝すぎてしまうと目覚めが悪くなったり、夜に寝つきが悪くなってしまうため、午後3時前の時間帯で、15~20分程度を目安に仮眠をとりましょう。

また、仮眠する前にカフェインを摂ると、ちょうど起きる頃に効果が表れ始めるため、目覚めが良くなります。アイマスクがあるとより効果的です。

4.ストレッチを行う

眠くなるときは「副交感神経」が優位になっている状態です。身体を動かすと「交感神経」が優位になるため、眠気を覚ますことができます。5~10分ほど肩や首まわりを動かし、血行を良くしましょう。

ストレッチ方法の一例(出典:眠気覚ましにも有効なメントール配合の冷感ジェルはこちら

6.冷たい水や氷を顔や首に当てる

メントールと同様に、冷たいものが皮膚に接触すると寒冷刺激が生じ、交感神経に作用するため眠気が覚めます。冷却グッズを頭や首に当てるほか、冷たい水で顔を洗うことも有効です。

7.ツボを押す

身体のツボのなかには、眠気覚ましに効果があるとされているツボがあります。効果は個人差がありますが、一度試してみると良いでしょう。

■①風池(ふうち)

顔を少し上げたときに、首の骨から上がって指が止まるくぼみから、後頭部の骨の際に沿って人さし指1本くらい外側にあります。

【押し方】人さし指から薬指で頭の上部に置くようにして頭を支え、親指でツボを押します。親指で押さえた状態で上を向くとさらにしっかり押せます。

■②合谷(ごうこく)

手の甲を上にして、親指と人さし指の骨の交わったところから、人さし指側のくぼみにあります。

【押し方】反対側の親指で、気持ちいいと感じる強さで押します。

■③中衝(ちゅうしょう)

中指の爪の生え際の人さし指側にあります。

【押し方】反対側の親指と人さし指ではさみ、強くつまんで引っ張りながら押します。

8.日光を浴びる(照明を明るくする)

暗く静かな環境では、私たちは眠くなりがちです。そんなとき、午前中なら太陽光を浴びることを勧めます。

光刺激を受けることで覚醒を促すセロトニンが分泌され、眠気の解消に役立ちます。照度が高い太陽光を浴びるのが有効ですが、照明を明るくするだけでも効果は得られます。

さらに、日中に充分なセロトニンが生成されると、夜間のメラトニン(睡眠を促すホルモン)分泌にも良い影響を及ぼすので、睡眠と覚醒のリズムが安定する効果も期待できます。

9.シャワーを浴びる

少し高めの温度にすることで、交感神経系が活発になり眠気が覚めます。リモートワークなどで自宅にいるときは、気分転換も兼ねてシャワーを浴びるのも良いでしょう。

眠気が続くようなら、生活習慣を見直しましょう

今回ご紹介した眠気を覚ます方法は、“一時しのぎ”であることを忘れてはいけません。

睡眠不足が続くと、メンタルヘルスの不調や、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)にもなりやすくなるため注意が必要です。

個人差があるため、すべての人に当てはまるわけではありませんが、成人の理想の睡眠時間は7時間程度が目安と言われています。起きたときに目覚めがスッキリとしていて、日中の活動に支障がない状態が理想なのです。

日中に眠くなることが多い人は、夜にしっかり眠れるよう、普段の生活習慣を見直す必要があります。

過度な飲酒や、睡眠前のカフェイン摂取・喫煙を控えたり、食生活の見直し、適度に体を動かすなど、質の良い睡眠をとるための生活習慣づくりを、できることから一つずつ実践していきましょう。