埼玉県庁、さいたま市役所などがある県都・浦和(さいたま市)は文教都市としてファミリーに人気の街のひとつ。駅周辺には商業施設が集積、一方で少し離れると自然豊かな公園もあるなど利便性の高さと環境のバランスが良い街でもあります。駅近くでは再開発が始まりました。変わりゆく浦和の「今」と、住みやすさについて紹介します。

県都であり、文教都市として知られる浦和はサッカー、鰻の街でもあります(筆者撮影)

都心のオフィス街にダイレクトアクセス

かつての中山道沿いにはこうした碑が建てられていました(筆者撮影)

JR京浜東北線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ラインが利用できる浦和駅(さいたま市)は江戸時代の五街道のひとつ、中山道の宿場町として古くから栄えてきた街。昔も今も交通利便性の高い街と言えます。

浦和駅東口側から駅を見たところ。東口側は西口側に比べて開発が遅れており、駅と併せて駅前広場なども整備されました(筆者撮影)

浦和駅周辺では2013年に駅前後の約1.3キロメートルの区間で鉄道高架化事業が行われ、駅構内に幅員25メートル東西連絡通路も整備。駅の東西市街地の回遊性が高まりました。同時に東北客貨線に旅客ホームが新設され、それまで浦和駅を通過していた湘南新宿ラインが停車することになり、利便性が大きくアップしました。

高崎線(上野東京ライン)か宇都宮線を利用すれば東京駅(約27分)、品川駅(約38分)などへダイレクトにアクセスできますし、湘南新宿ラインなら新宿駅(約24分)、渋谷駅(約30分)、横浜駅(約56分)へも直通。東北新幹線や上越新幹線など東日本エリアに向かう新幹線を利用するなら隣の大宮駅(約6分)が利用でき、どこへ行くにも便利な場所なのです。

また、2013年に新設されたホームにはJR・東武直通特急「日光」「きぬがわ」も停車するので、遊びに行くにも便利です。羽田、成田両空港へはバスが出ています。

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駅周辺には大型店、商店街が

駅西口を出たところ。右手に伊勢丹浦和店、正面に浦和コルソがあり、買い物に便利な街であることが分かります(筆者撮影)

駅西口側にはロータリーを挟んで正面にコミュニティプラザ・コルソ(浦和コルソ)があり、右手には伊勢丹浦和店と大型商業施設が並んでいます。その北側、伊勢丹浦和店の背後にはイトーヨーカドー浦和店と飲食店などもある商店街が広がっています。

伊勢丹浦和店の裏手にはスーパーがあり、商店街が続いています(筆者撮影)

駅には生鮮食料品店、スーパーから飲食店などが入った駅ビルのアトレ浦和がありますし、東口を出た正面には浦和パルコがあります。駅周辺でほとんどの買い物が済ませられる便利な街というわけです。

裏門通り。古い建物をリノベーションした店、カフェなどもあり、ぶらぶら歩くには楽しい通りです(筆者撮影)

若い人に最近人気なのが裏門通り。県庁の裏手からイトーヨーカドー浦和店の前に続く細い通りで、ところどころに昔ながらの建物や店が残り、そこに新しい感覚のレストランやカフェなどが登場。個性的な店も多く、週末にはカップルや家族連れでにぎわいます。

サッカーと鰻が二大名物

ロータリーにはこんな姿も(筆者撮影)

駅前で商業施設同様に目立つものがあります。ひとつはサッカー。ご存じのように浦和(旧浦和市。2001年に大宮市、与野市と合併しさいたま市に)はJリーグ1部所属のサッカーチーム「浦和レッドダイヤモンズ」のホームタウン。同チームは1950年創部の三菱自動車工業サッカー部(創部時は中日本重工業)を前身とする歴史あるチームで、1991年にJリーグがスタートした際の10チームのひとつでもあり、熱烈なファンがいることでも知られています。

伊勢丹浦和店前の歩道に埋め込まれたレリーフ。かなりの枚数があり、眺めているだけでもサッカー好きの多い土地であることを感じます(筆者撮影)

そのサッカー熱がロータリーの植え込みに、伊勢丹浦和店の前の歩道のレリーフ(路面盤)にと、駅周辺のあちこちに見られるのです。サッカーファンなら有名選手の手形や足形、優勝記録など見て歩くのは楽しいことでしょう。

浦和うなこちゃんの像。右手にはサッカーボールも見えており、二大名物が並んでいます(筆者撮影)

もうひとつはアンパンマンで知られる故やなせたかしさんの手によるマスコット「浦和うなこちゃん」。江戸時代から浦和は鰻の名所として知られており、現在でもかつての中山道沿いなどを中心に多くの鰻店があります。毎年5月にはさいたま市浦和うなぎまつりも開催されるそうです。

調神社に向かう、かつての中山道沿いにある鰻店。周辺にはほかにも何軒かあり、おいしそうな匂いに誘惑されそうでした(筆者撮影)

歴史を感じる寺社なども点在

調神社本殿。緑の濃い、静かな場所にあります(筆者撮影)

歴史のある街だけに、街中には歴史を感じる寺社なども点在しています。有名なところでは鳥居がなく、狛犬の代わりに、兎が置かれている調神社(つきじんじゃ)があります。地元では「つきのみや」と呼ばれており、今からおよそ2,000年前に創建されたのだとか。

境内にはいろいろな場所に兎がおり、探して歩くのも楽しいのではないでしょうか(筆者撮影)

12月に行われる「十二まち」と呼ばれる酉の市や、節分、例大祭、秋祭りに花見などと地元の人にとっては季節ごとに訪れる場所だと聞きました。

正面に緑が見えている辺りが調神社。通りの右手、岸町は近年マンションが増えているエリアです(筆者撮影)

駅から調神社へはかつての中山道を通ります。その途中に、ごくわずかですが古い建物が残されており、それを利用したカフェなどもあります。かつて浦和宿があったことを記す碑もあり、昔の姿を想像しながら歩いてみるのも一興です。

玉蔵院前には門前町があり、今でも古い洋食店などにその名残が見られます(筆者撮影)

また、しだれ桜で有名な玉蔵院も平安時代に弘法大師によって創建されたと伝わる古刹。樹齢100年以上というしだれ桜の時期には多くの見物客が集まります。

公園、公共施設も駅周辺に集中

公園や公共施設も駅周辺に多く集まっています。

浦和パルコの上階、8階以上にはさいたま市の複合公共施設が入っています(筆者撮影)

駅に一番近いところでは、駅東口正面にある浦和パルコの入っているビルの8階から10階に、さいたま市の複合公共施設Comunale(コムナーレ)が入っています。コムナーレとはイタリア語で「市立の」という意味だそうで、8階にさいたま市立中央図書館、9階にさいたま市国際交流センター、さいたま市市民活動サポートセンターほか、10階に浦和コミュニティセンターが入っています。

一般の人にとっては図書館がもっとも身近な施設かと思いますが、こちらの図書館は、平日は朝9時から夜9時まで開館しており、使い勝手が良さそう。駅近くでもあり、通勤、通学途中で立ち寄るのにも便利です。ちなみに、この施設内には9階の自習スペースなどちょっと寛いで過ごすのに良さそうな場所がいくつか設けられており、その点でもお勧めです。

埼玉県庁。敷地内にはさまざまな公共の建物が並んでいます(筆者撮影)

西口側には埼玉県庁、さいたま市役所をはじめ、県と市の機関が多く集まっています。役所系の施設は日常的にそれほど利用するものではありませんが、必要なときに近くにあるのは便利なはずです。

芸術、自然に親しむ場もあちこちに

右手の茶色い建物が埼玉会館。徒歩圏にこうした施設があるのはうらやましい限りです(筆者撮影)

音楽や映画、舞踊などが好きな人であれば、県庁のすぐ近くにある埼玉会館の存在がうれしいところ。1926(大正15)年に渋沢栄一が中心となり、市民からの寄付で建てられたもので、1966(昭和41)年に日本のモダニズム建築を代表する建築家・前川國男氏の設計で建て直されました。音響の良さでは定評があるそうです。

別所沼公園。釣りをしている人が多数いました(筆者撮影)

駅からは20分ほど歩くことになりますが、市民の憩いの場として知られているのが別所沼公園。沼の周囲にはメタセコイアなどの並木がそびえ、噴水が涼し気な雰囲気。釣りもできるので、沼のほとりにはいつも釣り人の姿があります。

それ以外では前述の玉蔵院の向かいにある浦和中央公園、調神社隣接の調公園、常盤公園などがあり、いずれも駅からそれほど遠くはありません。のんびり散歩を楽しむにはちょうどいい規模の街という言い方もできるかもしれません。 

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名門と呼ばれる公立学校も多数

浦和で忘れてはならないのが、全国的に見てもレベルの高い進学校が多く集まっていることです。男子高ではお隣の北浦和駅を最寄りとする埼玉県立浦和高校が代表的なところ。東京大学をはじめとする国公立大学、有名私立大学に進学する生徒が多いだけでなく、カヌーや陸上、室内楽、囲碁将棋など全国大会に出場する部活動も多く、文武両道でも知られています。

調神社のほど近くにある埼玉県立浦和第一女子高校。埼玉県は公立高校に有名校が多いのが特徴のひとつです(筆者撮影)

女子高では埼玉県立浦和第一女子高校がありますし、2007年に中高一貫校となったさいたま市立浦和中学校・高校は勉学だけでなく、サッカーの強豪校として知られています。

高校進学では埼玉大学教育学部附属中学校も有名なところ。前述の市内の公立高校だけでなく、全国でも難関と言われる公立、私立高校に進学する生徒が多いのだとか。同校には附属小学校もあります。

さいたま市立高砂小学校。歴史を感じさせる門、塀があります(筆者撮影)

また、浦和駅の近くにあるさいたま市立高砂小学校は市内最古の小学校として知られており、2021年に開校150周年を迎えています。

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さいたま市の中でも浦和は人気が高い

「浦和駅周辺のまちづくりニュースレター」(創刊号)より。浦和駅周辺では子育て世代の30代、40代の人口が増えているそうです

こうした環境で子育てをしたいと考えるファミリーが多いためでしょう、浦和駅周辺地区の人口は、1995年から2015年の20年間で約1.4倍に増加していると「浦和駅周辺のまちづくりニュースレター」(創刊号)は伝えています。これはさいたま市全体を上回る増加率で、さいたま市の中でも浦和に住みたいという人が多いということです。

ちなみにこのニュースレターでは浦和の歴史や魅力などについて住んでいる人、大学生、有識者などから広く意見を募ってまとめており、それを読むだけでもこの地域を深く知ることができます。

ちなみにここまでで取り上げてこなかった浦和の魅力としては

・居住者から「災害に強い」まちとして高く評価されています。
・大きな集客力を誇る祭り、市役所前広場や道路空間を活用したイベントが定期的に開催されています。

などが挙げられています。

駅西口南高砂エリアで再開発がスタート

駅西口を出たところから見た再開発エリア。囲いが設置されている場所です(筆者撮影)
駅と再開発工事区域は目と鼻の先といったところ。道路も整備される予定です(筆者撮影)

もうひとつ、「浦和駅周辺のまちづくりニュースレター」(創刊号)で挙げられているのは「市街地再開発事業などが進んでおり、今後も浦和駅周辺ではファミリー層が増加を続ける可能性があります」ということ。実際、浦和駅西口から道を挟んで隣接する地域では浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業がスタートしています。

再開発エリア内を歩くと店舗などは移転しており、あとは解体を待つばかりという状況でした(筆者撮影)

元々は細い路地に飲食店などが多く集まる一画でしたが、現在は囲いが設置され、取り壊しが始まっています。その後、2023年には建設工事に着工、2026年には竣工予定となっています。造られるのは地上27階、地下2階のタワーで、高さは100メートル弱。525戸の住宅、公共施設、商業施設やオフィスなどが入ったものになる計画です。

完成予想図。駅前の風景が大きく変わりそうです。浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業(さいたま市ホームページ)より

そもそもが人気の街であり、加えて駅のすぐ近くの立地です。どのような建物になるかの情報が出る頃には、話題になることは間違いないのではないでしょうか。再開発を機に街を変えていこうと気運もあり、これからの浦和の変化には注目しておきたいところです。

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