大谷の胸中は…(写真:AP/アフロ)

 8月24日(日本時間)、エンゼルスが球団売却の手続きを開始したことを発表した。

 エンゼルスの現オーナー、アート・モレノ氏はヒスパニック系の移民4世で、広告ビジネスで財を成し、資産は約1200億円という大富豪だ。オーナーとなったのは2003年。1億8400万ドル(約250億円)でウォルト・ディズニー社からエンゼルスを買収している。

「モレノ氏は若いころから球団のオーナーになる夢を持っており、球団経営が単なるビジネスでなかったのは確かです。選手のトレードにも積極的に介入し、球団買収後は積極的に選手を補強。

 2004年からの6年間で地区優勝を5回しています。“MLB’s most hands-on owner”、つまり、MLBでもっとも口出しするオーナーと言われましたが、近年の補強にはことごとく失敗。2015年以降はプレーオフ進出がなく、今季も絶望的な成績です」(スポーツライター)

 このタイミングで売却する理由はいくつか考えられる。

「まず、コロナ禍が終わりに近づき、米プロスポーツチームが全体的に価値が上がっていること。経済誌フォーブスは米4大プロスポーツチームの価値がこの1年間で14%上がったと推定しています。

 モレノ氏は76歳の高齢で、子供たちのいずれもが球団経営に興味がないと言われています。さらに、エンゼル・スタジアム周辺の土地開発が頓挫したことも、大きな影響があったと見られています。

 2003年の買収額は250億円でしたが、フォーブスによれば、現在エンゼルスは22億ドル(約3000億円)以上の価値があるとされています。19年の間に12倍ほどに膨れ上がった計算で、この巨額の利ざやを手にするオーナーは内心ウハウハでしょう」(同)

 2022年8月のMLBトレード期限前、もっとも注目を集めたのは大谷翔平だった。しかし、大谷はエンゼルスに残留。そこにはモレノオーナーの意向が強く働いていたことが知られる。

 そして、大谷の残留決定から1カ月もしないうちに、チームの売却ーーここにオーナーの周到な計算があったのではないか、との声がSNSに多数あがっている。

大谷翔平がいるかいないかじゃ売却額も変わるから、そりゃトレードに出さなかった訳ですよ》

大谷翔平選手が、今季トレードされなかったのも、WBC出場容認も売却の方向で進んでいたからだろうと推測する。トラウト、大谷の二枚看板が有ったと無いのでは雲泥の差。それを狙っての売却》

《大谷さんを出さなかった理由はこれだったのね。いるといないじゃ大きく価値が変わるからね。次のオーナー次第だよな…。大谷さんの望む野球が楽しんでできるような環境になってほしいと願うばかり》

 地元紙のエンゼルス番記者で、大谷に関する著書もあるジェフ・フレッチャー氏はこうツイートしている。

《大谷がいるかいないか、長期契約を結ぶか否かで、球団価値は変わってくる。大谷も長期契約を結ぶには、球団の方向性を知りたいはずだが、新オーナーが判明するまでは難しい》

 エンゼルスの銭ゲバぶりに翻弄される形となった大谷。先行きは不透明だ。