高等教育の修学支援制度とは、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校など高校卒業後の進学や修学を経済的に支援する制度です。一般的に大学無償化制度と呼ばれることもあります。

この制度は誰でも受けられるものではなく、世帯収入などに上限があります。この記事では、高等教育の修学支援制度(大学無償化制度)を利用する条件や、詳しい内容について解説するので、お子さんの高等教育進学を控えている方は参考にしてください。

高等教育の修学支援制度とは大学無償化制度のこと

大学無償化制度と呼ばれることが多いこの制度ですが、正式名称は「高等教育の修学支援制度」です。この制度は経済的な理由で進学を諦めさせないことを目的に、2020年4月から開始されました。大学だけではなく、短大、高専、専門学校も対象となっています。
支援内容は返還の必要がない給付型給付金と、入学金・授業料の減免の2種類です。

大学無償化制度(高等教育の修学支援制度)の支援を受けられる条件

大学無償化制度(高等教育の修学支援制度)とはどのような制度なのか、支援を受けられる条件や対象となる学校、具体的な支援内容について解説します。

支援を受けられる条件は世帯年収と本人の修学意欲
大学無償化制度を利用するための条件には以下の二つがあります。

・学ぶ意欲がある(成績・レポートを確認)
・世帯収入(住民税非課税もしくは非課税に準ずる世帯)や資産の要件を満たす

対象となる世帯の年収は家族の構成や年齢によって異なりますが、目安としては以下の表のとおりです。

※引用:政府広告「高等教育の修学支援新制度5つのポイント」

上記はあくまで目安となる世帯年収の上限です。自分が支援対象者の条件に当てはまるかどうかを確認したい場合は、独立行政法人日本学生支援機構の進学資金シミュレーターを利用してください。

対象となる学校
対象となる学校は、基本的に大学、短期大学、高等専門学校の4、5年、専門学校です。しかし、すべての学校が該当するわけではなく、一定の要件を満たしていることを文部科学省や厚生労働省、各種地方公共団体から確認された学校でなければなりません。

2022年5月31日現在の、対象学校数は以下のとおりです。

※引用:高等教育の修学支援新制度の対象機関数

入学前だけではなく在学中も申し込み可能
大学無償化制度はこれから進学を控えている人だけではなく、高等教育を受けている最中の人も対象です。この制度を知らなかった人や、在学中に家庭の経済状況が変わってしまった人などは、すでに大学や専門学校などに通っていても申し込めます。前年度に申し込みをしたものの認定されなかった人も再度申し込み可能です。

大学無償化制度の支援額

大学無償化制度の支援額は以下のとおりです。

入学金や授業料の減免
入学金や授業料の減免額(年額)は、高等教育の種類によって異なるほか、国公立と私立でも変わってきます。

※引用:高等教育の修学支援新制度

上記は第1区分の人(住民税非課税世帯の学生)が受けられる金額です。第2区分の人はその3分の2、第3区分の人は3分の1の金額になります。

給付型奨学金
給付型奨学金は、国公立か私立かに加え、自宅通学か自宅外通学かによって支給額(年額)が異なります。

※引用:高等教育の修学支援新制度

授業料・入学金の減免と同じく、上記は第1区分の人が受けられる金額で、第2区分の人はその3分の2、第3区分の人は3分の1の金額です。

大学無償化制度の支援を受けるまでの流れ

大学無償化制度の支援は自動的に受けられるものではなく、自ら申し込まなければなりません。大学無償化制度を利用するための流れについて解説します。

世帯年収が条件に該当するのかシミュレーションで検討する
まずは自分が大学無償化制度の条件に該当するかどうかを確認します。世帯年収の条件は家族構成や人数によって異なるため、自分の世帯が該当するかどうかはシミュレーターで確かめてみましょう。基本的に住民税非課税世帯は該当します。

自分の学校が対象か確認する
条件に該当しても進学予定や在学中の学校が、大学無償化制度の対象外である可能性もあります。その場合はこちらの制度は利用できません。自分の学校が対象かどうか調べるときには、対象機関リストを確認しましょう。

大学や短期大学、高等専門学校であれば認定されている学校がほとんどですが、専門学校は25%が認定されていない状況です(2022年5月31日時点)。専門学校に進学予定または在学中の人は、事前に必ず確認しておくようにしましょう。

給付型奨学金を申し込む
同じ大学無償化制度の支援であっても、給付型奨学金と入学金・授業料の減免の申し込みは別に行います。給付型奨学金を申し込む時期は、4月以降、もしくは9月以降です。受給したい本人が在学中の学校を通して申し込みを行います。

採用決定は、4月以降申し込みの場合は7月以降、9月以降申し込みの場合は12月以降に、在学中の高校や大学などから通知されます。

入学金や授業料の減免を申し込む
入学金や授業料の減免は、大学などに進学したときに申し込みます。入学時に入学金・授業料の減免申し込みをしましょう。入学時に申し込まなかった人や、申し込んでも採用されなかった人は、11月以降に後半期の申し込みが可能です。

ただし、後半期に申し込めるのは授業料の減免のみのため、入学金の減免は受けられません。

大学無償化制度の対象外となってしまった人の対処法

大学無償化制度は高校卒業後に進学したい人の大きな助けとなるでしょう。しかし、受給するためには条件があり、対象外となってしまう人もいます。このように、大学無償化制度を受けられないけれど進学資金に困っている、という人の対処法は以下のとおりです。

日本学生支援機構の貸与型奨学金
日本学生支援機構では、返還が必要な貸与型奨学金も運営しています。利子がつかない第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金の2種類があり、それぞれ学力や世帯年収に条件があります。大学や短大に進学を希望する学生の、進学前の各基準は以下となります。

※参考:独立行政法人日本学生支援機構「貸与奨学金(返済必要)」

借入額は進学する学校の種類や本人の状況によって変わります。奨学金の平均借入額を知りたい方は「奨学金の借入額は実態どれくらい? 返還時の平均額や年数なども紹介」の記事をご参照ください。

学校独自の制度を利用する
公的な支援のほか、学校独自に奨学金や支援制度を設けている場合があります。進学予定の学校や在学中の学校の制度を調べてみてください。成績が優秀な学生には特待生として学費や入学金の免除または減免をする学校や、独自の奨学金を設定している学校もあります。

まとめ

高等教育の修学支援制度とは大学無償化制度とも呼ばれ、高校卒業後に進学する学校の入学金や授業料の減免、給付型奨学金を受けられるものです。ただし、この制度は進学のための資金に困窮している人が対象であるため、世帯収入により受給資格が制限されています。

世帯収入の上限額は家族構成や子どもの年齢によって異なるため、詳しくは独立行政法人日本学生支援機構のシミュレーターを利用してご確認ください。