米Intelは7月27日、オンラインの形で同社のWireless関連に関するUpdateを説明した。簡単にその内容をお届けしたい。

まず長期的な話。2030年頃になると、今以上にWirelessが広く利用されるようになる、というのがIntelの見通しである(Photo01)。まぁそういう長期的な話はともかくとして、既に4G/5Gのモデムを搭載したモデルは次第に増えつつあり、今後はさらに増える方向に行く、としている(Photo02)。

Photo01: まぁ2030年であれば3GPP Release 22が出ている頃であり、商用サービスも始まっている時代だろう。この頃であればWi-Fi 7も本格的に普及を始めており、その次の話も出て来ていそうだ。

Photo02: ただ2022年でも30モデル以上、というのは全体としてはまだ今一つな感は否めない。

続いてはWi-Fi。まずWi-Fi 6Eに関しては既に昨年発表のAX210でWi-Fi 6Eの対応は終わっており、あとは各国の法制度の対応が完了し次第Firmware Updateの形で6GHz帯を有効にするという形で準備は整っている。既に出荷数で言えば大半のノートPCはWi-Fi 6E対応になっているので、あとは法制度の側の問題という訳だ。ただ日本を始め各国で現在準備が進んでおり(Photo04)、それもあって今年後半にはさらに普及が進むだろう、としている。

Photo03: Desktop向けは有線のEthernetの普及もあるので、Wi-Fi対応は今一つ遅い感じではある。

Photo04: 例えば日本で言えばこの時からだいぶ進展しており、既に5925〜6425MHzの開放に関しては総務省が前向きな姿勢を示している。その先、つまり6426〜7125MHzに関してはまだ検討中である。

これに続くのがWi-Fi 7である。既にMediaTek/QualcommがWi-Fi 7向けのチップセットのサンプル出荷を始めており、技術的にも色々大きなジャンプがあるWi-Fi 7であるが(Photo05)、こちらはまだIEEE P802.11beとして審議中の規格であり、いつ標準化が完了するかの明確なロードマップも公開されていない。ただそれを待っていると市場投入が遅れる、ということで既にプライベートの相互接続性テストを含めて各社独自に市場投入に向けてスタートしており、これはIntelも例外ではない(Photo06)。Ciscoと共同でConnectivity Analyticsを実施しているほか、独自の相互接続性試験の実施などを行って、市場投入に備えているという話であった。

Photo05: 320MHz Channelはともかく、4K QAMとかMulti-Link/Multi-Radio Unitなどの対応は実効性能向上に効果的である。ただ右の理論性能(5766MHz)は320MHz channelが前提なので、あまり現実性は高くない。

Photo06: ということはつまりIntelも独自にWi-Fi 7対応チップセットを用意しているという話でもある。

Photo07: 右のDouble Connect Technology(DCT)は2.4GHz帯と5/6GHz帯を同時に利用するというもので、ただしTrunckingではなくアプリケーション別に利用する帯域を割り当てる格好である。

今回はあくまでもUpdateであって、具体的な製品出荷とかのアナウンスは一切無いが、あるいは早期にWi-Fi 7チップセットを、まずWi-Fi 6E対応として出荷し、あとからFirmware UpdateでWi-Fi 7を有効にするといった形での投入はありえるのかもしれない。