1日2便「但馬空港」最強の活用法? 国内初 トヨタのラリーカーが滑走路爆走…なぜ?
1日の旅客定期便の発着がわずか2往復の但馬空港で、国内で初めて「本物のラリーカーが空港内の滑走路などを激走する」イベントが実施されました。
朝10時発、18時発以外は定期旅客便なし
兵庫県にある、コウノトリ但馬(たじま)空港。同空港を発着する旅客定期便は、現在JAL(日本航空)グループの地域航空会社、JAC(日本エアコミューター)便の伊丹線が1日2往復するのみ。それの出発便は朝10時発、18時発となっており、その間の8時間、定期便の発着はありません。
その”空き時間”を利用して2022年7月9日、国内空港では例のないイベントが開かれました。JALとトヨタ自動車が展開するTOYOTA GAZOO Racingがコラボし、トヨタ製ラリーカー「ヤリスWRC」が同空港の滑走路や駐機場などを駆け抜けたのです。TOYOTA GAZOO Racingによると、空港でラリーカーが走るのは国内初とのことです。
但馬空港「FLY&RIDE OUTDOOR FESTIVAL」の様子(2022年7月9日、乗りものニュース編集部撮影)。
「FLY&RIDE OUTDOOR FESTIVAL」と名付けられたこのイベントは、2社と、そして同空港のある兵庫県、豊岡市が全面協力することで実現。但馬空港周辺地域の活性化などを目的としています。
イベントではJALグループが、JAC機を用いた機内見学イベントや、格納庫内でのキャビンアテンダント体験、JAL制服着用体験などの体験コンテンツを提供。そしてTOYOTA GAZOO Racingはプロドライバーが運転する2台のトヨタ「ヤリス」に参加者を同乗させ、滑走路を高速で駆け抜ける同乗体験などを実施しました。
「画期的」なメインイベントがスゴかった!
イベントの大きな目玉となったのは、但馬空港格納庫前の駐機場(エプロン)で実施されたラリーカー「ヤリスWRC」によるデモ走行です。普段は航空機や空港車両しか走らないエリアで、「ドリフト」などを交えた走りを披露。この迫力満点かつ異例のイベントを見ようと、格納庫前に集まった約70名の有料参加者はもちろん、空港に隣接するキャンプ場にも、多数の見学客が訪れています。
イベント展示機として「コウノトリ号」ことJACのATR42-600「JA05JC」が選ばれた。2機の旅客機が但馬空港にいるのも珍しい光景だ(2022年7月9日、乗りものニュース編集部撮影)。
TOYOTA GAZOO Racing Company Presidentの佐藤恒治氏は、今回の取り組みを「日本国内では非常に画期的だ」と話します。
「航空産業と自動車産業、地域が連携する形で、地域の方々を笑顔にする方法はないかと思い、今回のイベントを開催しました。(但馬空港のある)豊岡市は、日本有数の観光資源(編集部注:城崎温泉、出石の城下町など)がありますが、コロナ禍もあり、もう少し多くの方々に観光に訪れていただきたいということもありました。そのきっかけを今回のようなイベントで作れればと考えています」(佐藤恒治氏)
空港でラリーカーを走らせる――このことについて佐藤氏は「これだけ広く、セーフティエリアがあるからこそできる”走り”もあります。こういったイベントができることは本当にありがたいです」と話しています。