全国の高速道路で、工事のため4車線のうち2車線を規制し対面通行になっている箇所が多々見られます。以前よりも多くなっている対面通行規制、何が行われているのでしょうか。

大規模な交通規制があちこちで

「ここも対面通行だ」

 2022年6月、東北道を青森方面へ向かっている途中で、同乗者からそんな言葉が聞かれました。工事のため、片側2車線の上り線もしくは下り線を終日規制し、もう一方向の2車線を活用して対面通行としている箇所が多々あったためです。


対面通行規制が敷かれている東北道 築館IC〜一関IC間のリニューアル工事(乗りものニュース編集部撮影)。

 一部の車線規制ではなく対面通行規制となれば、規模の大きな規制といえるでしょう。これが、東北道では福島県から青森県までのあいだに、6区間で同時に行われています。

 東北道だけではありません。たとえば北陸道では滋賀県から富山県までの9区間、中国道では岡山県から山口県までの8区間で対面通行規制工事が行われています。なお、中国道の吹田JCT〜中国池田IC間に至っては「終日通行止め」中です。6月下旬の解除後、2022年度内にあと2回、それぞれ約1か月半の通行止め工事が予定されています。

 対面通行規制まで敷いたうえで、どのような工事が行われているのか、その多くが「床版」の取替えです。

 床版は舗装の下にあり、通行する車両の荷重を直接受ける、道路の床板部分にあたります。老朽化した床版の取り替えは、一般的に舗装を剥がして行うため、クルマを通行させながらの作業は困難というわけです。

「床版の取替えを進めているのは、開通から50年近くが経過している比較的古い区間が多いです。基本、お盆などの繁忙期は工事を行わず、積雪の時期までに終わらせます。このため、ゴールデンウイークが終わってから一斉に工事が始まります」(NEXCO東日本)。

 床版取替えは一般的に「リニューアル工事」と呼ばれています。渋滞が見込まれる箇所は、迂回などに便宜が図られているほか、テレビCMなどでも周知されています。

「現在は(新規路線の)建設よりも、既存路線をリニューアルしていくフェーズです」。NEXCO東日本はこう話しますが、対面通行の多さは、それを物語っているともいえます。