※この記事は2017年09月10日にBLOGOSで公開されたものです

日本で人気のSNSであるTwitterに、ヘイトスピーチが多いとして、反ヘイトスピーチを主張する団体が、Twitter社の日本法人が入居するビルの前の歩道に、彼らがヘイトスピーチとみなすツイートを敷き詰め、それを踏みつけにするという活動を行った。(*1)

この抗議活動を初めて聞いて思ったのは「学がないなぁ」だ。

別に「学」と言ったって「東大京大出てなければ人にあらず」みたいな基準ではない。小学校か中学校で習った「踏み絵」の話だ。

踏み絵は江戸幕府がキリスト教を禁じ、その信者をあぶり出すために、金属板などに掘られたイエス・キリストや聖母マリアを、踏ませて回った、マイノリティに対する弾圧行為の1つである。

反ヘイトを名乗りながら、こうしたマイノリティ弾圧の手法を活動に用いるというのは、あまりにも幼稚だと思うのだが、内部からマトモな反対意見もでなかったのだろう。まぁマヌケなことにこんなしょうもない活動が実行されてしまったのである。

だいたい他者の言葉を踏みつけにすることの、果たして何が反ヘイトなのだろうか? ただの幼稚な「自分の嫌う言葉はヘイトスピーチだから踏みつけにしてもいい」という自家撞着ではないか。

勝手な基準で他者の言葉を「ヘイトスピーチ認定」し、それを足蹴にする。それは先週も触れた世田谷での日野皓正による暴行を、勝手な基準で「正しい体罰」だと主張するのと同じ屁理屈ではないか。

心底、幼稚な行為であるとしか言いようがなく、一切の評価に値しない活動である。

さて、このマヌケな活動を見ていて僕はふと思った。

「あのツイートは、この踏まれたツイートの中に含まれるのかな?」と。

ヘイトスピーチだとレッテルを貼られたツイートが散々足蹴にされながら、ヘイトスピーチの最たるものである「あのツイート」が踏まれてないのは納得いかないので、翌朝に早速、この活動が行われたTwitter社の日本法人が入るビルの前の歩道まで行き、こんな撮影をしてみた。

写真に映るこのツイート(*2)は、当時から反ヘイトスピーチを掲げた活動をし、「のりこえネット」などでも自分の番組を持っていた野間易通‏氏による、れっきとしたヘイトスピーチである。

彼は他にも「アニメアイコンにネトウヨが多いから」という理由で、一方的にアニメオタクをバッシングしたりと、何かと色眼鏡で他人を見下すヘイト的な言動を繰り返しているのだが、なぜか反ヘイト界隈ではその言動が全く問題にされずに、いまでも反ヘイトスピーチ運動の中心的な人物の1人として活動を続けている。そんなあまりに矛盾を孕んだ存在である。

という人物のヘイトに満ちたツイートなので、これは踏みつけられても仕方ないと思うのだけれども、ただ僕はこれを踏まなかった。写真をよく見ていただければ分かるが、つま先が上がっていて、ツイートが印刷された紙を踏んでいない。あくまでも彼らの活動のパロディに留めた。

なぜ踏まなかったかと言えば、そんなことしたって意味が無いから。

彼らと同じことをしたって、ヘイトが高まるだけだし。踏んだってそんなのは自己満足でしか無い。学のない連中と同じことをしても、何もいいことなどない。自分の気分が悪くなるだけだから。

この僕がやれば気分が悪くなることを、この場所に昨日立っていた彼らは、どのような気持ちで行っていたのだろうか?

おかしな上の人間に押し付けられて仕方なく踏んでいたのだろうか? それとも、取材のカメラに囲まれた高揚感の中、正義のヒーローにでもなった気持ちで踏んでいたのだろうか?

彼らが子供じみた正義感から早急に抜け出し、マトモに道理を考えられる大人になれることを祈るばかりである。

*1:<抗議行動>反ヘイトSNS ツイッタージャパン本社前で(毎日新聞)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170908-00000104-mai-soci
*2:(Twitter 野間易通)https://twitter.com/kdxn/statu>s/464425206295973890