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2022年の、そしてこれからのアニソンにおいて最重要キーパーソンの1人であることは間違いないTRUE。アニメ『リアデイルの大地にて』のOPテーマ「Happy encount」などが収録された今作は、アルバム『コトバアソビ』を経て辿り着いた境地を惜しみなく詰め込んだ1枚でもある。彼女の言葉からは、TRUEとしての活動7年目にして成長と躍進が止まらない理由と意味を確信させる。

今の世の中が求める、幸せに没入したい気持ちを楽曲に



――まずは「Happy encount」がどのようにして生まれたのか、経緯を教えていただけますか?

TRUE 「Happy encount」は、『リアデイルの大地にて』のOPテーマというお話をいただいてから制作がスタートしたんですが、コロナ禍になって1年半以上経っていたこともあって、すごく明るくてハッピーな曲をみんなにお届けしたいという思いがありました。だから作品側とも、TRUE史上でもっとも楽しくポップな楽曲を目指そう、というお話をさせていただきながら、長く愛されている作品なのでその世界観に寄り添えるように、作品に出てくるような酒場感というか、みんながワーッと盛り上がっているような雰囲気の楽曲が良いのではないかと制作を始めました。そのなかで、一番イメージにふさわしい曲を選び、それをアニメサイドに確認していただく、という感じで進んでいきました、

――成本智美(SUPA LOVE)さんの曲が選ばれた、その決め手となったポイントは?

TRUE 決め手はやっぱり多幸感ですね。誰もが楽しく幸せになるメロディラインだったのと、私自身も3年ぶり4枚目のアルバムを経て最初のシングルということで、新たな世界を見てみたいという気持ちがありました。なので、今までのTRUEの音楽をなぞるのではなく、ケーナと同じように新しい世界へ飛び込める楽曲を探していたので、「まさに」という感じでした。

――楽曲のどこに一番多幸感を感じましたか?

TRUE 全体的にですね。最初にデモでいただいたときからメロはいじっていません。それをベースに、アレンジはアルバムのリード曲「MUSIC」の作・編曲をしていただいたトミタカズキさんにお願いしました。

――イントロのアイリッシュサウンドはトミタさんの賜物ですか?

TRUE フィドルを使った、楽しげなアイリッシュサウンドにしたい、というのはこちら側からの提案です。作品の世界観にも、今の私たちが求めている、幸せを味わいたい気持ちにもフィットすると思いました。私としてもここまで振り切ったアイリッシュサウンドは初めてだったので、チャレンジする機会をいただけてありがたいです。

――歌詞については、どこが出発点でしたか?

TRUE 私は今、TRUEとしてアーティストデビューして7年目になるんですけれども、コロナ禍という状況はありつつも、音楽と向き合えているという幸せを感じる機会がとても多くて。特に、5年目の年に1年間リリースせずにライブだけをやり続けたんですけど、そこから音楽に対する向きあい方がどんどんと変わっていきました。今感じている幸せな気持ちを皆と共有したいという思いがすごくあって。生きているといいことだけじゃないし、悩むことも立ち止まってしまうこともたくさんあるけど、そういうときにふと手を伸ばすような、ふと顔や心がゆるんでしまうような楽曲になったら、そうすれば、新たな自分として生きているケーナにもリンクするんじゃないか、という思いで歌詞を綴りました。

――ケーナとリンクすると感じた部分というのは?

TRUE ケーナって現実世界ではとても不運な結末を迎えましたが、それでも新しい世界でより自分らしく生きていこうとします。私も7年前からTRUEとしてアニソンに関わる活動を始めて、新たな世界でまた命をもらったと思っているんです。なので、新しい場所で思いっきり好きなことをして、思いっきり人を愛して愛されて生きていこうという、そんなすごく清々しくて迷いがないケーナに対して、私もそうありたいというシンパシーを感じています。そういった、自分に重なる部分を素直に表現していけば『リアデイルの大地にて』のオープニングにふさわしい楽曲が完成するんじゃないかと思っています。

――実際の作詞はスムーズでしたか?

TRUE そうですね。ほぼ第1稿のまま、最後まで駆け抜けました。「Happy encount」=幸せとの遭遇というテーマも早い段階から自分の中にあったので。実はMVもリンクした映像になっているんですけど、それは、幸せを1つ1つ誰かに渡していたら巡り巡って自分に返ってくる、という内容なんです。そのとき、制作しながら「まさに私とファンの方みたいだなぁ」と感じました。誰かの力になれるように綴ってきた言葉が巡り巡って、今では私自身が音楽活動を通してみんなから励まされているんですね。(『響け!ユーフォニアム』OPテーマの)「DREAM SOLISTER」や(『転生したらスライムだった件』EDテーマの)「Another colony」などは当時の私が曲に込めた想いよりも聴いてくださる方が何十倍、何百倍の想いで曲を育ててくれました。そうやって誰かのためにした何かが自分に返ってくるということはコロナ禍を通してすごく感じることでもありました。『リアデイルの大地にて』はほんわか日常の、幸せを毎週わけてもらえるような作品なので、皆には私の楽曲という作品を通してたくさんの幸せに遭遇してほしいと思っています。

――ただ、不幸な状況から立ち直り、というドラマを描くのではなく、全編すごく前向きな歌詞に仕立てています。

TRUE そう感じていただけたのなら、それは彼女(=ケーナ)の力だと思います。私は決してすごくポジティブ人間ではなくて、ネガティブの上にある上澄みのポジティブで一所懸命生きている人なので(笑)。でもケーナは、不幸な生活からもう1回命をもらったときに、すんなりと受け入れるんですよね。そういう強さって彼女の魅力だと思うし、なんでも楽しんでみようって姿は私が憧れるところでもあります。あと、メロディラインの中に起伏のある面白い楽曲なので、重くならないように、軽く聴いてもらえるようにカタカナの言葉を意識して歌詞の全体を構成しました。そこは、『コトバアソビ』というアルバムで得たものが大きく影響していると思います。10の想いを語るのに全部を語ろうとするのではなく、言葉で遊びながら伝えることで伝わる想いもあると気づきました。なので、すべてを言葉で伝えるのではなく、音感だったり音のはまりだったり羅列だったりみたいなものからも、幸せだったり多幸感は伝わると思って書いています。

――お気に入りの箇所はありますか?

TRUE どこかな?サビの“直感だ JoyでPopなStory 謳歌しよう”は、デモをもらって鼻歌で歌っているときから頭にありました。私は、「書くぞ」と思って書くのではなく、常に楽曲を流しながら、そのとき出てきた鼻歌のフレーズを大事にしているんです。この曲に関しても、かしこまって書いたというよりは、なんとなく生活の中で生まれていった、っていう感じですね。

――冒頭のラララはデモ段階から入っていたものですか? それともアレンジからですか?

TRUE それもたしか、最初のオーダーでお願いしていた気がします。コロナ禍ということもあって、みんなで歌うというのがどこまで可能なのかはわからないけど、そういう世の中が再び来たときにみんなで一緒に唱えたり、(手を左右に振る)ワイパーで同じ動作をしたりできるように意識して入れています。多分、ライブでかなり育っていく曲になるんじゃないかな。本編の最後に皆で大団円、ってなりたいですね。

――“(あたりまえの 日常に)”のように、歌詞では()内で書かれているような、掛け合い部分もありますし。

TRUE そうですね。これも元々からの構成で、「またいつかみんなで歌えたら」という気持ちでした。

――歌に関してはどういった意識でレコーディングされましたか?

TRUE 今回は、歌い上げ過ぎないをテーマに作っていきました。歌詞と同様に、音の軽さやノリを大事にして、歌の中で思いっきり遊びましょうというテーマで歌いました。ただ、レコーディングの際、本番の歌入れを行う前に様々なアプローチの歌い方を試してしていて、最終的に音源の歌い方に定まるまでには時間がかかりました。でも、すごくいい着地ができたんじゃないかと思っています。

――サビで一転して、力強い低音を効かせていますね。ここは最初からのイメージでしたか?

TRUE 最初からある程度イメージしていましたけど、今回に関しては本当にレコーディングを通してどんどん変化していった感じですね。それは(シングルに収録した)3曲ともそうかもしれないです。

――たしかに今回のシングルは3曲とも異なる歌い方、豊富な表情を見せています。それはさきほど仰った、2019年から2020年にかけて磨かれ、得られた表現力が元になっているのでしょうか? その1年間でどのような気持ちの変化があったと感じていますか?

TRUE 当時の私ってすごく音楽をすることに迷っていて、自分が良いと思った曲を誰かが同じように思うとは限らないし、私の歌を聴いて嫌な気持ちになったり悲しい気持ちになったりする人もいるのかもしれない、ってすごく悩んでしまっていました。ステージに上がることがすごく怖かった瞬間もたくさんあって……。でも。そんなときでもステージに上がり続けることで、私が歌う意味をお客様からいただいたんです。私の歌で少しでも気持ちが変化したり支えられたりする人がいる、ということを教えてもらった1年間でした。そこを経由したことですごく表現者としての自分に自信がついたし、1人の女性としこの場所に立っていてもいいんだ、と思えることがすごく力になったんです。そこからは歌うことにあまり迷いがなくなり、自分が歌うことの役割、というと少し大げさなんですけども、そういうものがより明確に見えてきました。それで、どんどん歌うことが、あ、幸せだなって思えるように変化していきました。

――実際、今までも表現力はTRUEさんの武器だと思ってはいましたが、今回のシングルではさらに自信に満ち溢れているようにも感じました。

TRUE 今は、心をそのまま歌に投影することに怖さがなくなりました。アーティストさんってどうしても「上手く歌いたい」「アーティストとしてのいい側面を見せたい」と思ってしまうじゃないですか?私もずっとそうでした。だからこそ、「上手いでしょう?上手いでしょう?」って気持ちでステージに上がってしまうことも、過去には多々あったと思います。でも今は、それよりも伝えないといけないことがあるとわかっているので、上手く歌うことよりも、心で楽しみながら歌う方が大事なのかなと思っています。なので、今回は3曲通して全く違う歌い方、全く違う心の投影の仕方をしています。「Happy encount」や「透過」の歌い方や声質は前作のアルバムで学んだことで。さまざまな表現をすることで、アーティストとして自信がついたので、楽しみながら歌い方をセレクトできるようになりました。



恩返ししたいという気持ちはものすごくあります。アニソンというもの自体に。



――カップリング曲の「inverted world」についても教えてください。

TRUE この曲は、ゲーム『夢王国と眠れる100人の王子様』(以下『夢100』)シリーズ最新作の主題歌で、こちらもお話をいただいてから、制作を始めました。ただ、こちらは開発元であるジークレストさんに明確なビジョンがおありだったので、いろいろとお話をしつつ、お互いに寄り添いながら作っていきました。

――いただいたビジョンというのは?

TRUE 楽しいだけではなくて憂いのある楽曲、それから私が過去に出した「Lonely Queen’s Liberation Party」がすごくお好きと仰っていました。参考曲が自分の楽曲ではあったので、どう派生して作ろうか、というところからスタートしています。ゲームのテーマは、夢を追いかけたり夢を叶えたりすることなんですけど、私の夢の一つにゲームの主題歌を作ってみたいというのがあったので、お話しをいただいたときはすごく嬉しかったですし、自分の夢がこういう形で叶えることに運命的なものを感じていました。

――憧れたきっかけというのは?

TRUE 子どもの頃からゲームをしている中で、自分の曲がゲームの主題歌として流れるというのはどういう感覚なんだろうな、という憧れが漠然とありました。最近になっても、アプリなどでゲームがたくさん増えていく中で、聴いていて「素敵だな」「羨ましいな」と思うこともたくさんあり、いつか自分の曲をゲームの世界と融合させてみたいという思いが強くなっていきました。

――ゲームの中で自分の曲が流れるのをもう聴きましたか?

TRUE まだです、これからです、私もリリースを待っております(笑)。楽しみですね。こちらもすごく人気がある作品なので、ゲームのファンの方にも(CDを)手に取っていただけたら。

――歌詞についても教えてください。

TRUE 『夢100』シリーズは「夢を追いかける」がテーマになっているので、やはり夢をテーマに。それから、ゲームの主題歌は華やかになりがちなんですけど、先ほどお話しした制作の方たちの意図であった憂いのある曲を目指し、迷いを超えていく力強さみたいなものを楽曲で表現できればと思って制作しました。

――「inverted wotld」の歌詞はさきほど仰った書き方とは違い、10ある想いをすべて伝えようとするタイプに思いました。

TRUE そうですね。どんなアプローチをしても書いているのは私なので、私らしさみたいなものはどうしても出てきてしまうかもしれないです。ただ、何度もタッグを組ませていただき、とても信頼している作家のh-wonderさんに楽曲をお願いしたので、歌詞を書くことに迷いはなかったです。ちょうどアルバムと制作期間が重なっていて、自分の中で変わりたいとか抜け出したいとか、新たなフェーズに向けて模索していた時期だっただけに、その想いが投影された楽曲になったと思います。

――想いをうまく投影できた箇所、気に入っている歌詞のフレーズはどこですか?

TRUE 気に入っているのは「光を焚べましょう」というフレーズですかね。自分が輝くには、誰かから光が与えられるのを待っているだけではダメで、自分から変わっていかないと輝けないと思っています。なので、このフレーズが出てきたときは「私らしいな」と自分で感じました。自分自身を壊して新たな自分を自分で再生しましょう、という想いを込めました。

――h-wonderさんを信頼しているとおっしゃいましたが、h-wonderさんの曲にどのような特徴を感じますか?

TRUE 「おしゃれ」!(笑)。それに、とても品があるんだけれども一回聴くと覚えてしまう、絶妙なバランスのメロディラインですね。同じ事務所の先輩で、これまでにもたくさん楽曲提供をしていただいておりますが、本当に素晴らしい作家さんです。ご一緒するたびに進化していて。長いキャリアをお持ちで素晴らしい作品をたくさん生み出している方がまだ変わっていかれるというのは、後輩の視点から見ていても駆り立てられるというか焦らされるというか、「私ももっと吸収しなきゃな」って思いにさせられます。

――それでは、歌詞はかなり楽曲から?

TRUE 全体的なイメージや流れといったインスピレーションは受けていると思います。2コーラス目のAメロは私の楽曲にはなかったような、今風の強いメロディーラインで、そこは歌詞にもすごく影響していると思います。

――歌についてはいかがでしたか?

TRUE 多幸感や、リラックスした楽しさみたいなものを詰め込んだ「Happy encount」とは違って、「inverted world」に関しては新しい自分に向かう強さを表現しつつ、ボーカリストとしてのテクニックもふんだんに使いながら歌っています。さっきお話しした2Aがそれで、自分でも新たな表現の仕方を知ったと思っています。

――どういった面で新しさがある表現なのでしょうか?

TRUE 初期の私は強さと音圧で与えているパワーボーカルが特徴で。それが悪いと思っていないですし、今後も武器の一つにはしていくつもりではいますけど、そうではない、表現方法もあるいうことをこの数年間で学ぶことができたんです。力強いボーカルにも様々なアプローチがあります。今もずっとボイストレーニングを重ねているので、今後もテクニカルな面も伸ばしていきたいですが、実際に歌を歌うときには発声の仕方や当て方を意識して歌うというよりも、自分の心で歌い方をスイッチしていけたらいいと思っています。なので、表現の艶っぽさや選択肢の多さといったところで、TRUEとして7年間積み重ねた歴史がテクニックとして出せた、そう思える楽曲ですね。

――やはり3曲総じて、今のTRUEさんの集大成ということになりますね。

TRUE そうですね。「透過」はアルバム制作の後半で見つけた表現の仕方ですし。心の変化と共に、表現の仕方も変わっていけるところが私の強さだと思っています。

――曲が違えば、表現が変わるのはむしろ自然なことですね。その「透過」はどのように生まれた楽曲でしたか?

TRUE 実は、『コトバアソビ』を制作してる時からあった楽曲で、いつか歌いたいと思ってキープさせていただいたんです。で、満を持して今回という感じなんですけど、曲を聴いたとき、明るい曲だからこそキーをぐっと下げ、アンニュイな歌詞を乗せたいというビジョンが私の中にはありました。でも、ディレクターさんや他のスタッフさんはもっと、明るく楽しげな、歌い上げる感じの曲になると思っていたみたいですね。でも私はなんとなく、小さい部屋でおもちゃ箱を開いたらメロディーが流れたようなイメージをしていました。

――オルゴール的な?

TRUE そうですね。小さな世界の小さな幸せを歌っている楽曲の方が面白い曲になるというイメージでした。一つの部屋だけで完結するような物語を作ってみたいと思っていました。

――そこまでイメージができているならば、歌詞もボーカルイメージが明確な形で書かれたと思いますが?

TRUE そうです。キー設定を下げた、出来上がったような表現をするにはどういう歌詞を書こうか、というところからスタートしました。

――しかも、非常にセンチメンタルな歌詞ですね。少女漫画アニメのEDのような。

TRUE そうですか?(笑)。さっきお話ししたようなイメージだったので、それならば嬉しいです。自分としては、アルバム制作期間を終えても書きたいことがまだ溢れているような状態だったのが、ここまでやり切ってやっと肩の力が少し抜けたという感覚でした。表現したいことが溢れてくるので、どこをどう切り取っていこうか、みたいにワクワクしていた思い出があります。

――アルバムで表現しきれなかった部分を、シングルを使って出し切ったわけですね。

TRUE そうですね。それで、一番最後に制作したのがこの楽曲となります。

――明確に浮かんでいた歌についてはどのように?

TRUE 実は今までの私の楽曲よりもキーをかなり低く設定していて。-2くらい低いんじゃないかな? 『コトバアソビ』に「空に読む物語」という楽曲があるんですけど、あの曲はすごく自分の中で模索して、さまざまな歌い方にチャレンジして、でも何かしっくりこなくて……というのを繰り返した曲だったんですけど、その結果の一つが「透過」という曲だと思っているんです。吐く息の揺らぎで伝わる想いといった細部にこだわって、息を、命を込められるような歌い方を目指して行き着いたのがここでした。

――鼻歌レベルではなく、レコーディングやライブに耐えうるクオリティに持っていくのはかなり難しいですよね。ウィスパーで、というのは。

TRUE すごく難しいと思います。ウィスパーだけれどもきちんと言葉が立つように届けなければいけないし、単純に肺活量も必要だと思いますし。TRUEとして歌うようになってからは挑戦しなかったところでした。でも、例えば誰かに悩みを相談するとき、声を荒げて説明しないじゃないですか? つぶやくように「実は……」って相手にだけ聞こえる声で話しますよね。さっきお話ししたように、100%の表現がすべてではないし、音楽ってもっと日常に寄り添うべきものだと思うので、こういう表現への挑戦に至りました。一つの表現力だけでは想いを伝えきれない、という考えですね。

――2021年は『コトバアソビ』がリリースされた、という点で大きな意味のある年だったと思いますが、振り返るとどのような一年だったと感じますか?

TRUE 私は毎年、年が明けると今年はどんな年にしようかと考えるんです。で、大きな目標を一個、小さな目標をたくさん設定して、ゲームみたいにクリアしていくのが好きなんです。2021年の大きな目標は、コロナ禍だからって止まらずに前進し続ける一年にしよう、でした。そうしたら2021年1月に『TRUE Live Sound! vol.4 〜Progress〜』、2021年11月に『TRUE Live Sound! vol.5 〜Acceleration〜』と2本のワンマンライブを開くことができ、他にもたくさんのイベントに出演させていただきました。あとは本当にアルバム制作が私の中では大きくて。制作チームや周りの環境が変わった中でのアルバム制作だったので、新たな人と新たなものを生み出すことがすごく楽しくて幸せなことだと改めて気づくきっかっけになりました。私が知らなかった新しい表現も教えてもらえたし、とにかく進み続けて、表現し続けて、飛躍できた1年になったと思います。

――確かにアニソンイベントへの出演が多く、アニソンファンに忘れられない一瞬を与えていただきました。

TRUE こちらこそ自分が思い描いていた以上に、お客様に曲を成長させていただけたという感覚です。「Happy encount」のときにお話ししましたけど、『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE』での「DREAM SOLISTER」は、まさか「終わらない音楽は 続いてゆく」という言葉があれだけ意味のあるものになったのは、本当に応援してくださる皆さんと、出会うことができた作品のおかげだと思います。それから『Animelo Summer Live 2021 -COLORS-』(以下『アニサマ』)では自分の実力以上の場所で、しかも「いいんですか?」というくらいに真っ直ぐメッセージを伝えさせていただいて、アーティストとしてすごく大きな経験と財産をもらったと思っています。忘れられない1年ですね。背筋を伸ばして立てている自信はあるんですけど、でもやっぱり自分の実力以上のものを与えられて立っているんだと実感する1年でした。本当に、迷いまくってここにたどり着きましたね。

――以前に比べて、ステージに上がった瞬間にすべてが吹き飛ぶというか、違う自分になれる感覚ですか?

TRUE 特に今年の『アニサマ』に関しては、ポップアップで上がった瞬間に全部が吹き飛んだというか。あとから見たらすごい叫んでいて恥ずかしかったです(笑)。『アニサマ』さんには本当にお世話になっています。『アニサマナイト』でもトリという大役をいただいたとき、「このまま、アンプラグドのオシャレな『アニサマ』で終わりにしていいのだろうか?」という想いがすごくありました。求められているのは勿論そこだと思うんですけど、「来年のさいたまスーパーアリーナにつなげるのが私の役目なのかもしれない」と思ったんです。そうしたらすごくしっくり来て、「私でいいのかな」という気持ちでトリを務めるのはやめようと覚悟を決めることが出来ました。全部出しきろう、と。そうしたら、「靴脱いでいいですか?」みたいな(笑)。

――そういった役割が与えられるのは、これからのアニソンを導いてくれる存在であり、その場所で期待に応えてきた証かと思いますが、今のTRUEさんにとってアニソンとは?

TRUE アニソンねぇ……(微笑)。なんか、ずっと憧れなんです。昔も今も。アニソンを歌えることは私の中でずっと特別なことですし、アニソンシンガーとして生涯活動したいと思っているし。でもそればかりは巡り合わせですから、無限にアニソンを歌う機会をいただけるわけではありません。だからこそ一曲一曲をすごく大切に思っているし、一人でも多くの方に、楽曲も、作品も、受け取っていただきたいんです。ずっと憧れ続けて、その憧れている作品と一緒に音楽を作ることが出来る、本当にありがたいことです。

――では、恩返しの気持ちもありつつ?

TRUE 恩返ししたいという気持ちはものすごくあります。アニソンというもの自体に。だから「誠実でいなきゃな」って思っています。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)

●リリース情報

「Happy encount」

1月26日発売



価格:¥1,430(税込)

品番:LACM-24234

<収録楽曲>

01. Happy encount(TVアニメ『リアデイルの大地にて』OPテーマ)

作詞:唐沢美帆 作曲:成本智美 (SUPA LOVE) 編曲:トミタカズキ (SUPA LOVE)

02. inverted world(スマホ向けゲーム「夢職人と忘れじの黒い妖精」主題歌)

作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:h-wonder

03. 透過

作詞:唐沢美帆 作曲:矢吹香那 編曲:前口ワタル

04.Happy encount(Instrumental)

05.inverted world(Instrumental)

06.透過(Instrumental)

●作品情報

TVアニメ『リアデイルの大地にて』

放送中

<Introduction>

不慮の事故によって生命維持装置がないと生きられない少女、各務桂菜。

彼女が唯一自由でいられるのは、VRMMORPG『リアデイル』の中だけだった。

そんなある日、生命維持装置が停止し、桂菜は命を落としてしまう。

しかし、目が覚めると桂菜は200年後の『リアデイル』の世界にいた。

彼女は、失われたスキルと限界突破したステータスをもつハイエルフの“ケーナ”として、 この世界を生きる人々と交流を深めていくことに。

しかも、その中にはかつて自らがキャラメイクした“子供”たちもいて……!?

ゲーム世界に転移した少女と個性的な仲間たちによる、 笑いあり、涙あり?なのんびり冒険譚、開幕!

【STAFF】

原作:Ceez(「リアデイルの大地にて」/KADOKAWA刊)

原作イラスト:てんまそ

監督:柳瀬雄之

シリーズ構成:筆安一幸

キャラクターデザイン:舛舘俊秀、小島えり、出口花穂

アニメーション制作:MAHO FILM

【CAST】

ケーナ:幸村恵理

スカルゴ:小野大輔

マイマイ:名塚佳織

カータツ:杉田智和

©2021 Ceez,てんまそ/KADOKAWA/リアデイル製作委員会

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TRUEオフィシャルサイト

https://true-singer.com