阿部寛『DCU』に名物監督の姿なく、「日曜劇場」を大ヒットさせたTBSの“最強コンビ”が決別していた
「真実は必ず水の中にある。水は嘘をつかないからな」
【写真】横浜流星の“萌え袖”ショットなどDCUロケ別カット多数
力強い決めゼリフを放つのは、1月16日に放送が始まった日曜劇場『DCU』(TBS系)で主演を務める、俳優の阿部寛。
「水中事件や事故の捜査を行うスペシャリスト集団である潜水特殊捜査隊、通称『DCU』の活躍を描いた作品です。阿部さんが演じるのは、ルールを無視してでも必ず真実を突き詰めるまで諦めない隊長・新名正義。共演には、横浜流星さんや中村アンさん、山崎育三郎さんなど豪華な顔ぶれが名を連ねています」(テレビ誌ライター)
豪華なのはキャストだけではない。ハリウッドのプロダクションと共同で制作する一大作品とあって、TBSの力の入りようも特別。制作チームのまとめ役には、これまで「日曜劇場」の枠で多くのヒット作を手がけてきた“名物プロデューサー”が起用された。
「『半沢直樹』シリーズや阿部さん主演の『下町ロケット』シリーズ、2017年の『陸王』などを手がけたプロデューサーのAさんです。ただ、彼とともに長年“最強タッグ”と呼ばれてきた演出家の福澤克雄さんは、『DCU』のチームには参加していなくて……」(TBS関係者)
ドラマ界の名コンビに何が起きたのか
A氏と福澤氏は、前述の『半沢直樹』や『下町ロケット』、『陸王』以外にも、多数のヒット作を世に送り出してきた。
「2011年の『南極大陸』や2014年の『ルーズヴェルト・ゲーム』、2019年の『ノーサイド・ゲーム』など、特に日曜劇場の枠で多くの作品を制作。TBS上層部からも全幅の信頼を寄せられるドラマ制作界の名コンビでしたが、どうやらここ数年でその関係にも変化があったようなんです」(同・TBS関係者)
事の発端は、昨年の4月から6月にかけて放送された日曜劇場『ドラゴン桜』の制作過程で起きたある一件。同作は阿部が主演を務め、福澤氏が演出を務めた。A氏は制作チームに参加していなかったが、このとき、阿部も知らない異変が起きていた─。
「『ドラゴン桜』も、本来は福澤さんとAさんのコンビで作る予定だったんです。ただ、クランクインの数か月前に、制作の方向性をめぐって2人が仲違いしてしまって……。一緒にはできないという話になり、TBS上層部もどちらを取るか悩んだそうですが、結果的にAさんが降りたそうです」(同・TBS関係者)
数々の名作を生み出してきた“最強タッグ”の訣別は、TBSにとって大きな衝撃だっただろう。しかし、2人の仲について、関係者の間では以前から噂されていたことがあった。
「もともと、あまり仲はよくなかったそうです。福澤さんは“ジャイさん”という愛称がついていますが、そのとおりでいわゆるジャイアン気質。多少の強権を発動させても自分の思ったとおりに作品を作りたいというタイプの方です。Aさんは、そんな福澤さんのやり方をあまりよく思っていなかったみたいで、最終的にタッグ解消に至ったようです」(芸能プロ関係者)
『半沢直樹』でも意見が食い違った
2020年に放送された『半沢直樹』第2シリーズの際も、方向性をめぐった意見の食い違いがあった。
「撮影が押して日曜日のオンエアに間に合わず、放送を1週先延ばしにしたことがありました。本来の放送日は“生放送特番”という形にして、キャストが撮影の裏話などを語ることで事なきをえましたが、現場では“福澤さんが撮影にこだわりすぎたため、間に合わなくなった”とも言われていて……。Aさんも“プロとして、放送日に穴をあけることはいかがなものか”と思っていたと聞きます」(同・芸能プロ関係者)
福澤氏のこだわりの強さは、業界内では有名だった。
「ジャイさんは、とにかくいろいろな角度から撮りたがるんですよ。阿部さんが主演を務めた『下町ロケット』のときも、何度も同じシーンを撮影していましたね。現場には“何回、同じ芝居をやらせるんだ”と口にするキャストもいたくらい。いいものを作りたいという熱意は素晴らしいんですが、没頭しすぎて周りが見えなくなってしまうときがあるのかもしれません」(制作会社関係者)
本来であれば、『DCU』には福澤氏も名を連ねていたはずだが……。「日曜劇場」を支えてきた名コンビが今後復活することはないのか。
「どうやら“犬猿の仲”になってしまったようなので、2人が再びタッグを組むことはないと思います。福澤さんは58歳を迎えた重鎮ですが、Aさんも50代半ばにさしかかった大ベテラン。TBS内では、今後に向けた新しい動きもあるようで……」(同・制作会社関係者)
聞けば、長らくドラマ界を支えてきた功労者にも厳しい声が上がっているという。
「年に数本のドラマを手がけてきたAさんに対して“後進も育たないから、ドラマ制作は年1本にさせたほうがいいのでは”という意見が出ています。もちろん本人は納得がいっていないし、ドラマを作る手腕に関しては本当に優れている方なので、ネットフリックスやアマゾンなどの大手配信会社が引き抜こうとしているなんて話もあります」(前出・TBS関係者)
A氏に福澤氏との関係を直撃すると
“最強タッグ”の軋轢によって揺れ動く「日曜劇場」の制作現場。事実を確認するべく、1月中旬、A氏に電話で話を聞くと……。
ーー福澤克雄さんとの関係について、お聞きしたいのですが。
「ああ……すみませんが、すべてノーコメントでお願いします。それ以外のことについても、全部ノーコメントということで……」
そう言い残して、通話を終えた。A氏と福澤氏の関係について、TBSにも事実確認の問い合わせをしたが、期日までに返答はなかった。
TBSの日曜を彩ってきた名コンビの“訣別”。苦楽を共にしてきたチームの絆は、このまま水泡に帰してしまうのか……真実は水の中!?