堀田茜でも悩む、アラサー女子の肌事情~やりがち NG スキンケア 4選と肌タイプ別解決策~
肌寒い日が続き、いよいよ冬も本番ですね。冬でも紫外線は降り注いでいますし、夏以上に乾燥対策も必要になります。でも、テレビで見かけるあの人はいつも肌がきれい。あの肌美人さんは、いったいどんな対策を行なっているのでしょうか。今回は、そんなアラサー女子のみなさんの悩みを、肌美人の堀田茜さんとともに解決します。
インタビュアー:
堀田 茜(モデル・女優)
監修医師:
櫻井 直樹(シャルムクリニック 院長)
櫻井先生
堀田さんはお仕事柄、肌に負担がかかることも多いと思いますが、いま気になっていることはありますか?
堀田さん
最近は減りましたが、特に外でのロケの際は長時間、紫外線に当たることが多いですね。20代前半までは、寝不足でも肌はツヤツヤしていましたが、20代後半になり、くすみやシミ・クマが気になってきました。特にクマは、25歳くらいから。色素沈着というか、仕事で疲れたなぁって思ったときに、一気に濃くなるのが気になりますね。どのようなスキンケアをすれば良いのでしょうか?
櫻井先生
スキンケアであれば、「レチノール」とか「ビタミンC」などでコラーゲンの合成を促進して肌のハリを持たせることがあります。あとは、ホットパックや、マッサージをしてあげるのも、対症療法としては良いと思います。
堀田さん
なぜそれらの対処が効果的なのでしょうか?
櫻井先生
疲れなどでクマが目立ってくるのは、血液の循環が悪くなるからなんです。クマが目立ってきたなと感じたときに、血流を改善させてあげるのは効果的ですね。
堀田さん
脂肪が突出して影ができてしまうことがありますが、これに対しては、何かスキンケアで対応できますか?
櫻井先生
うーん……。そこはスキンケアでは難しいところですね。
堀田さん
年齢とともに起きる自然な現象なのでしょうか。
櫻井先生
そうですね。年齢とともに自然発生するものですが、それを出にくくするために、どうすれば良いかをこれからお話していければと思います。
堀田さん
目もとにシミができるのはなぜでしょうか?
櫻井先生
目もとは顔の中でも皮膚が薄くデリケートなんです。また頬骨が弓状に出っ張っているために、目元には紫外線が当たりやすく、ここにシミができてしまうんです。
堀田さん
では、シミの原因やメカニズムを教えていただけますか?
櫻井先生
目元にできるシミは、大きく分けて3つあります。一つ目は老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)です。皮膚に紫外線が当たり、DNAが損傷を受けて、角化細胞の異常増殖をきたしたものとなります。二つ目は肝斑(かんぱん)です。左右対称にほぼ同じ形、大きさで現れることが特徴です。紫外線も悪化要素ですが、ストレスによるホルモンバランスの乱れや洗顔時の擦れなど、物理的な刺激によって、全体的にくすんだように色素沈着をしてしまうこともあります。そして三つ目は、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)で、皮膚の奥に赤ちゃんの蒙古斑みたいな形で、色素を作る細胞ができてしまうものです。人によっては、これらが合併しているケースもあり、専門医でも診断に難渋することもあります。
堀田さん
紫外線によるシミは仕方なくても、摩擦によるシミに関しては、自分で気をつけられるものなので、気をつけていきたいですよね。
櫻井先生
摩擦によるシミ対策としては、日頃から泡で洗顔するのはオススメです。あとはメイクをやりすぎると、洗顔で落とし切ろうとして、擦りすぎてしまうので、注意してもらいたいですね。
堀田さん
セルフケアでは改善できないものもありますよね。皮膚科で受けられる治療の種類を教えて下さい。
櫻井先生
まず先ほど3種類のシミのお話をしましたが、それぞれに治療法は異なります。老人性色素斑には、レーザー治療や、IPLといった光治療を行います。美白外用剤などもありますが、シミが薄くなれば御の字という程度のものになります。次に肝斑は、紫外線や洗顔時の摩擦が要因ですので、まずは生活指導の徹底を図ることになります。肝斑に対してレーザーや光を当てると、返って肝斑が濃くなることもわかっていますので、保存的なアプローチとなります。ビタミンCやトラネキサム酸という内服薬や美白の外用薬を柱とし、適宜有効な美容成分を皮膚に浸透させる方法を取り入れる治療になります。最後にADM(後天性真皮メラノサイトーシス)に対しては、レーザー治療で対処することになります。
堀田さん
シミだけでも、たくさんの治療法があるのですね。ではクマの原因とメカニズムはどういったものでしょうか?
櫻井先生
クマにも、大きく分けて三つのタイプがあります。一つ目が「赤クマ」といって、いわゆる下まぶたの部分の皮膚が薄いことにより、眼輪筋という目を閉じる筋肉が赤く透けて見えてしまうというものです。二つ目は「青クマ」または「黒クマ」といって、擦りすぎにより色素沈着するタイプ。そして三つ目がいわゆる「クマ」ですね。年齢とともに眼窩脂肪が突出してきてしまったり、頬が下垂してきて、段差が強調されてくるものです。
堀田さん
メカニズムを知った上で、それに適した対処をしてあげることが重要なのですね。わたしは小さい頃から、紫外線がお肌の敵だと聞かされてきたのですが、なぜ紫外線は肌に悪いのでしょうか?
櫻井先生
紫外線を浴びると、肌を守るためにメラニン色素がつくりだされますが、DNAが損傷を受けて、角化細胞の異常増殖をきたしてシミができます。また、紫外線は、肌の弾力やハリを保っているコラーゲンやエラスチンを破壊・変性させてしまいます。これが肌のシワやたるみの原因となります。 また免疫を担当する細胞が減り、表皮の免疫力が落ちて、感染症にかかりやすくなることもわかっています。
堀田さん
シミやそばかすも、紫外線から守るために出てくるものなんですね。
堀田さん
これまでのお話を聞くと、そもそも紫外線を受けないようにケアすべきだと思うのですが、どうしたら紫外線から肌を守れるのでしょうか?
櫻井先生
日焼け止めの正しい使い方を知っておくと良いでしょう。日焼け止めには、SPFやPAという値がありますが、この値の意味はご存知ですか?
堀田さん
紫外線を防いでくれる値で、数字が高いほど効果があるものですよね。
櫻井先生
さすが。その通りです。ただ、実はそれほどこれらの値にこだわりすぎる必要はないんです。例えばSPF20は、紫外線を20分の1にカットしてくれると考えてください。SPF 50だったら50分の1です。20分の1で5%、50分の1では2%です。つまり両者はたった3%しか変わらないんです。
堀田さん
確かにあまり変わらないですね。ではどのように使えば効果的なのでしょうか?
櫻井先生
本来の効果を発揮するためには、クリームタイプの日焼け止めの場合はパール粒2個分を、ローションタイプの場合は、1円玉2個分を顔全体に塗る必要があります。実際にはかなりの量を塗らないといけないんです。また、汗などで流れますから、2、3時間おきに付け足すことが、とても重要なんです。多くの方は、本来の値が持つ効果を全く発揮できていない塗り方をしているんですね。
堀田さん
日焼け止めのベタベタが苦手なので、何度も塗りなおすのが億劫なのですが、本来の効果を発揮するためには塗り直してケアすることが大事なんですね。他にも普段の生活習慣で取り入れられる対策は何かありますか?
櫻井先生
良い睡眠をとることと、ストレスをできるだけ避けた生活をすること、そして食事でしょう。
堀田さん
まず睡眠について聞かせてください。睡眠が肌に良いのはなぜでしょうか?
櫻井先生
正しいタイミングで良質な睡眠をとると、成長ホルモンが分泌されます。きれいな肌を作るには、成長ホルモンを正しく分泌させる必要があり、そのためには良好な睡眠が必要なんです。
堀田さん
私もなるべく良い睡眠をとれるように、マットレスを変えたり、朝起きたらなるべく朝日を浴びるようにしたりしています。また良く眠れるようにラベンダーのスプレーを使うなど、香りで癒されるようなことも普段から心がけています。
櫻井先生
素晴らしいと思います。
堀田さん
よかったです(笑)。ではストレスや食事についてはいかがでしょうか?
櫻井先生
人がストレスを受けると、体にメラニン色素を作る刺激を与えてしまうホルモンが分泌されることがわかっているので、できるだけストレスを避けて生活をする必要があるんです。また食べ物については、特にビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用の高い栄養をとると良いと思います。これらはいわゆる緑黄色野菜や、果物から摂取することができます。また抗酸化アプローチといって、体の中でビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどと抗酸化ネットワークを作っているコエンザイムQ10、α (アルファ) -リポ酸、グルタチオンなども摂れると良いですね。ただし、これらを食べ物だけで摂ろうとするとかなり難しいので、サプリメントを併用してもよいかもしれません。
堀田さん
私は食べることが大好きなので、色々な野菜、お肉や魚をバランス良く食べようと心掛けています。でもどうしても偏ってしまうことがあるのですが、食べ物から摂りづらいもので、サプリメントで補った方が良いものってありますか?
櫻井先生
ビタミンCなどは不足しがちなので、サプリメントを上手に使うのも一つの手なのかなと思います。
堀田さん
ビタミンCのサプリメントって大事なのですね。いまは美味しく飲めるサプリメントとか、グミのようなタイプのものもあるので、今後はビタミンCを摂り入れるようにしてみます。
櫻井先生
睡眠や食事以外のことで、スキンケアをされていることはありますか?
堀田さん
私は、スチーマーが大好きで、メイクを落とすときも、スチーマーをしながらクリームクレンジングをしたり、お風呂から上がったあとにもスチーマーをしてから、化粧水、乳液、美容液をつけるようにしています。ただ、ベタベタとつけすぎると、肌を甘やかしちゃう気がするので、シンプルなスキンケアにするように心がけています。これって合っていますか?
櫻井先生
シンプルなスキンケアは非常にいいと思います。スキンケアをやりすぎると、肌に負担をかけて、肌のバリア機能を壊してしまうことにつながります。スチーマーは、週1回から2回程度に留めた方がいいでしょう。やりすぎによって、かえって肌が乾燥してしまうんです。
堀田さん
そうなのですね! ちなみに朝と晩のどちらがいいのでしょうか?
櫻井先生
夜の入浴後でいいかと思います。
堀田さん
スチーマーは、やりすぎると毛穴が開いてくるような気もしているのですが、毛穴が開くのも乾燥が原因だったりするのですか?
櫻井先生
そうですね。あとバリア機能を壊されてくると毛穴が当然開いてきます。
堀田さん
なるほど! やりすぎないように気をつけないとですね。色んなセルフケアがありますが、逆効果なことや、やりがちなNGケアは何かありますか?
櫻井先生
特にニキビに悩む人は、洗顔が良いと思って洗いすぎてしまう人がいます。確かに脂性肌の人だと1日2回くらい洗顔料で洗うのはいいんですけど、3、4回とやっていくと、肌の表面の保護に必要なバリア機能が損なわれていきますので、かえって逆効果になります。また保湿のしすぎにも注意が必要です。なぜか保湿がニキビに対して効果があると思い込んでいる人が多い印象です。あとは擦りすぎですね。特に頬骨などが慢性的に摩擦を受けて肝斑や、くすみの原因になってくることがあるので注意しないといけません。
堀田さん
ということは、ローラーとかで顔を擦るのも、肌には良くないのですね。
櫻井先生
やりすぎは良くないですね。
堀田さん
どのくらいの頻度がいいですか?
櫻井先生
美顔器ごとの推奨されている使い方でいいと思います。適切な圧でやれば良いのですが、効果を高めようとしてとゴリゴリ使ってしまうのはかえって良くないと思います。
堀田さん
では、オイルなどで摩擦を減らすことはいいのでしょうか。
櫻井先生
オイル自体で摩擦を減らせても、それもふき取るときに擦りすぎちゃうとよくないので、できる限り、摩擦を与えないことが大切だと思います。
堀田さん
なるほど。ありがとうございます。では、アラサー女子の肌悩みに合わせたスキンケアグッズの選び方について教えていただけますか? まずは、たるみ、毛穴が気になる人に向けたスキンケアグッズの選び方で、意識した方がいいことありますか?
櫻井先生
おすすめなのは、レチノールとかビタミンC、つまりコラーゲンを作ってくれる成分が含まれるものを使うといいでしょう。これらの成分は、小ジワにも効いてくれます。他にもナイアシンアミド、ニールワンなど、最近は良い成分が出ています。
堀田さん
続いて、乾燥が気になる人に向けておすすめのスキンケアグッズはありますか? ちなみに私も乾燥肌なので気になります。
櫻井先生
やはり保湿力の高いヒアルロン酸、セラミドなどでしょうか。セラミドはもともと皮膚に含まれる物質ですから、より生理的ですので、この辺を活用していただくといいでしょう。
堀田さん
続いて皮脂が気になる人に向けたスキンケアはいかがでしょうか?
櫻井先生
保湿をし過ぎない。油分を与えすぎない、ということが大切になってきます。レチノールも皮脂の分泌を抑制する効果があるので、オイリースキンの人はレチノールを試してみてもいいかなと思いますね。あとは皮脂を吸着してくれる硫黄や、カオリンなどのクレイ配合のものがおすすめです。
堀田さん
やはり、それぞれ、悩みによってアプローチの仕方が全然違いますね。なんでもかんでも良いって聞いたから試すのではなく、自分の肌の状況を知った上で合ったものを選ぶというのが一番大事ということですよね。
日焼け止めのSPF/PAの数字や+の数は何を意味しているの?
SPF(Sun Protection Factor)は、UV-Bに対する防止効果を示す値です。SPFは2~50まで値があり、さらに50以上の場合は「50+」と表示されます。数値が大きいほどその防止力が高まるものと考えてください。また、PA(Protection Grade of UVA)はUV-Aに対する防止効果を示すものです。PAは「PA+」~「PA++++」の4段階で表わされ、「+」の数が多いほど防止力が高まります。
日焼け止めを塗るタイミングは?
夏場や、残暑で暑い日は特に、汗などで流れてしまうので、2、3時間おきに塗り直すと良いでしょう。
飲む日焼け止めを飲めば日焼け止めは塗らなくてもいいの?
飲む日焼け止めは補助にはなってくれます。飲む日焼け止めは、SPFは3程度です。考えようによっては、飲むだけで紫外線を3分の1に軽減してくれるので、ラクです。日焼け止めをべったり塗れない方は、飲む日焼け止めに頼るのも一つの手かもしれません。
<スキンケアについて>
クレンジングはどのようなものを使えばいい?
しっかりメイクの人、オイリースキン(脂性肌)の人は、オイルクレンジング。乾燥肌ぎみの人はミルクとかジェルクレンジングのものがおすすめとなります。
洗顔は泡立てた方がいい?
泡立てた方が肌の表面を擦らないで済むようになりますし、洗い残しも減ります。その意味でも泡洗顔をおすすめしています。
夏は常に脂っぽいから化粧水のみじゃダメ? 導入化粧水って必要なの?
洗顔をすると、水分と油分が失われます。失った水分に対しては化粧水、油分に対しては美容液、乳液、クリームが必要になります。ただ、確かに、脂性肌の人は皮脂の分泌がありますから、そこまでたくさん油分を補う必要はないので、乳液程度で、クリームは不要だと思います。油分を与えすぎると、かえってニキビの悪化を招くことも十分考えられます。
毎日パックはした方が良いの?
パックの目的によります。パックも色んな目的ものがあって、2つに分けると、奪っていくタイプと与えるタイプのものがあります。例えばピーリング系の余計な角質とかを奪うタイプは、やりすぎてしまうと乾燥肌になりやすいでしょう。
逆に与えるタイプのものであれば、ビタミンなどを含む化粧水、ローションタイプのものであれば、それほど制限をする必要はないと思います。ただし、油分を多く含んでいるものの場合、毛穴を塞いでしまい、ニキビなどを悪化させてしまうこともあり得るので注意が必要です。
スチーマーはどのような頻度やタイミングで使えばいいのか?
一般的には週1~2に留めておいたほうが無難です。やりすぎてしまうと、角質がダメージを受けて、乾燥肌が悪化することもあります。
編集部より
肌の美しさを保つには、自分の生活習慣や肌の特性に合わせた対策が必要なんですね。誤った対策を行ってしまうと逆効果になるケースもありますので、肌に悩みを抱えている方は、早めに専門医の診断を受け、自分の肌にあった正しいスキンケア法を確立してはいかがでしょうか。
書き手:瀬川泰祐(せがわたいすけ)
埼玉県久喜市在住のライター・エディター。株式会社カタル代表取締役。ファルカオフットボールクラブ久喜代表。HEROs公式スポーツライター。Yahoo!ニュース個人オーサー。ライブエンターテイメント業界やWEB業界で数多くのシステムプロジェクトに参画し、サービスをローンチする傍ら、2016年より執筆活動を開始。リアルなビジネス経験と、執筆・編集経験をあわせ持つ強みを活かし、2020年4月にスポーツ・健康・医療に関するコンテンツ制作・コンテンツマーケティングを行う株式会社カタルを創業。公式サイトhttp://segawa.kataru.jp