Kevin Lamarque / Reuters
Kevin Lamarque / Reuters

NASAが、長らく延期を繰り返してきジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)をいよいよ、2021年12月18日に打ち上げ…るはずでしたがまたもや延期、早くても22日のリフトオフに変更しました。

遅延が発生した理由は、アリアン5ロケットへJWSTを固定するクランプバンドのひとつが突然、予定外に開放してしまったため、機体全体に大きな振動が発生してしまったため。JWSTは機体が非常に大きく、少しの歪みが正確な観測に問題を起こす可能性があり、NASAは現在、追加の異常が発生していないか各所の点検作業を実施しています。この点検作業は週末までに完了し報告される予定です。

JWSTの開発プロジェクトが始まったのはいまから四半世紀前…。ウソのように思われるかもしれませんが、1996年に始まっています。当時は2007年には打ち上げる予定でした。しかし、開発は順調に進まず2005年にはプロジェクトの全体的な見直しがはかられました。この見直しでは、望遠鏡の目的はそのままに機体構成をやり直し、2007年4月に10の技術項目における再設計レビューを完了、その後も機体の各部分に関するレビューをクリアして行き、2010年4月に全ての設計レビューの完了を意味するミッションクリティカルデザインレビュー(MCDR)を完了しました。

JWSTプロジェクトは2011年に最終的な設計および製造フェーズへ移行し、2016年11月に組み上げをいったん完了しました。そこからは各部分が機能するかどうかを確認するテストフェーズに入りましたが、2018年3月にケーブルの締結不良が原因でサンシールドが展開作業中に破損する問題が発生、2019年8月までかけてようやく機械的な接続統合を終えました。しかしいよいよ打ち上げ目前という時期になったところで新型コロナウイルスのパンデミックの影響もあり、さらに細々とした問題から延期を繰り返しています。

そうしてたどり着いた来月の予定だったわけですが、もう何度目かわからない今回の延期。ただ、これだけの期間とコストをかけてやっと来た打ち上げの機会、NASAとしてはなにが何でも成功させたいはずで、慎重には慎重を期したい所なのは間違いありません。

Source:NASA