「冷蔵庫が一瞬でスッキリ」たった1つの魔法ワザ
冷蔵庫のゴチャゴチャのもと「〇〇のタレ」や「ドレッシング」がスッキリ片づくたった1つの簡単秘訣(写真:miya227/iStock)
食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、新聞、雑誌、テレビにも取り上げられるなど大きな反響を呼んだ『食品の裏側』を2005年に上梓した安部司氏。70万部を突破する大ベストセラーとなり、中国、台湾、韓国でも翻訳出版され、いまもなおロングセラーになっている。
その安部氏が、『食品の裏側』を発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、このたび『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』を上梓した。15年の間に書きためた膨大なレシピノートの中から、たった5つの「魔法の調味料」さえ作れば、簡単に時短に作れるレシピを厳選した1冊だ。同書は発売後、たちまち5刷を突破し、各メディアで取り上げられるなど、話題となっている。
「『ABEMA Prime』チャンネルAbema/news」(9月8日放送)にも出演した安部氏が「『冷蔵庫が一瞬でスッキリする』たった1つの簡単秘訣」について語る。
冷蔵庫がゴチャゴチャになっていませんか?
いきなりですが、みなさんのご自宅の冷蔵庫はどのような状態ですか? 「○○の素」「〇〇のタレ」「各種ドレッシング」をはじめ、そのほかの「合わせ調味料」がいっぱい入っていないでしょうか?
「CMで見るといかにも便利そうなので、つい買ってしまう」という人も多いのではないかと思います。こうした調味料、いつのものとも知れず、気づいたら「賞味期限切れ」になっていたりしませんか?
私は全国各地で料理教室、食についての講演会を開催しています。そこで家庭で料理をする人の話をよく聞くのですが、「冷蔵庫がゴチャゴチャで何が入っているかわからない」「調味料が賞味期限切れになってしまう」という人は本当に多いです。
もしかしたらみなさんも「冷蔵庫ゴチャゴチャ問題」「気づいたら『賞味期限切れ』問題」に悩んでいるのではないでしょうか。
じつはこれを解消し、冷蔵庫が一瞬でスッキリする「魔法ワザ」があるのです。
冒頭でも触れましたが、みなさんの冷蔵庫をゴチャゴチャさせている「冷蔵庫の主」の正体、それは、もちろん人によって異なりますが、「◯◯のつゆ」「ドレッシング」「◯◯のたれ」がトップ3ではないでしょうか。
なかでも「ドレッシング」は1種類だと飽きがくるからと、つい次々と買ってしまいがちです。「冷蔵庫のポケットにドレッシングがゴロゴロしている……」というのもよく見る光景ですよね。
その揚げ句、使い切らないボトルがずっと冷蔵庫にあって困っているというご家庭は多いもの。雑誌やネットで「ドレッシング使い切りレシピ」などという記事もよく目にします。
これらをわざわざ買わなくていいため、冷蔵庫が一瞬でスッキリする「魔法ワザ」、それは私が考案した「魔法の調味料」を用意することです。
「何本も並ぶドレッシング」を片付ける方法
具体的に用意するのは、「安部ごはん」で提唱している「魔法の調味料」のうちの3つ、つまり「かえし」「みりん酒」「たまねぎ酢」です。これらを混ぜ合わせるだけで簡単に、その場で「ドレッシング」も「〇〇のタレ」も「◯◯のつゆ」も、簡単に準備できるのです。
安部氏が開発した「魔法の調味料」の1つ「たまねぎ酢」さえ用意すれば、5分で簡単に作れるドレッシングの一例(上から「お手軽イタリアンドレッシング」「大人の上品ゆずドレッシング」「どハマりおろしドレッシング」/撮影:佳川奈央)
たとえば、魔法の調味料「たまねぎ酢」は、みじん切りの玉ねぎとりんご酢で作るのですが、これさえ用意しておけば、さまざまな種類のドレッシングが簡単に作れるのです。
「たまねぎ酢」に、「オリーブオイル」と「塩こしょう」を加えれば、それだけで「イタリアンドレッシング」が簡単に完成します。
また、「たまねぎ酢」に、もう1つの魔法の調味料「かえし」を用意すれば、ドレッシングの種類は、もっとたくさん作れます。
「たまねぎ酢」に、ゆずと「かえし」を合わせれば「ゆずドレッシング」、大根おろしと「かえし」を合わせれば「おろしドレッシング」もあっという間に完成します。
「ドレッシングのベース」だけ作っておいて、サラダの種類や気分でアレンジするこの方法なら、もう「ドレッシング使い切り」に苦労する必要はないのです。
「安部ごはん」では、「ドレッシングは、今日食べる分だけ、個人の好みで、ちゃちゃっと『魔法の調味料』を混ぜ合わせて作ればいい」というので、わが家でも実践しています。
そうすれば、冷蔵庫をいつまでも占拠することはないですし、家族みんなが、自分の好きな味のドレッシングを食べることができます。
それになんといっても、手作りのドレッシングは本当においしい。野菜が苦手な子どももモリモリ食べてくれます。
安部氏が開発した「魔法の調味料」の1つ「たまねぎ酢」さえ用意すれば、5分で簡単に作れる「彩りサイコロフルーツサラダ」(撮影:佳川奈央)
「市販のめんつゆ」も、よく「冷蔵庫の主」になりがちですよね。「開封したあと、いつまで持つのか不安」「使い切れなくて、カビが生えてしまった……」などという声もよく聞きます。
最高の「めんつゆ」「焼き肉のタレ」は自宅で作れる!
めんつゆについては「『めんつゆばかり使うレシピ』に潜む3大深刻問題」でも解説しましたが、「魔法の調味料」さえ用意しておけば、自宅でおいしいめんつゆが、簡単に、しかも無添加でできます。
救世主は、「魔法の調味料」の1つ「みりん酒」です。「みりん酒」は、本みりんと純米酒を合わせて煮切って作るのですが、先ほど紹介した「かえし」と組み合わせることで、いつでもすぐに「めんつゆ」ができるのです。
「そうめんつゆ」も「うどんつゆ」も、もちろんOKですし、丼もの、煮物、天つゆも、水と混ぜる割合を変えることで、自由自在に使えます。
安部氏が開発した「自宅で簡単に作れる!簡単濃縮めんつゆ」さえあれば、水と合わせるだけで簡単に「そうめんつゆ」も作れる(撮影:佳川奈央)
また、「みりん酒」と「かえし」で「焼き肉のタレ」も作れます。「焼き肉のタレ」もまた、いつのものかわからないものが「発掘」されがちな調味料です。
安部氏が開発した「本当は誰にも教えたくない大感動 焼肉のタレ」は、書籍の男性編集長も「高級店のような味わい」と大絶賛している(撮影:佳川奈央)
「これ、いつ開けたんだっけ?」と不安に思いながら使ったり、あるいは捨ててしまっているご家庭も多いのではないでしょうか。
これもその都度作れば、もうそんな思いをしなくて済むのです。
しかも「安部ごはん」として考案した「焼き肉のタレ」は、われながら絶品。私が高級店で食べた焼き肉のタレの味を、1つ1つ「自分の舌」で「味の組成」を分解し、再現して作ったものです。みなさんから「本当に高級店の上品な味がする」と喜びの声を多く頂戴しています。
「ドレッシング」「めんつゆ」「焼き肉のタレ」、そのほかの合わせ調味料を整理するだけで、驚くほど冷蔵庫がスッキリします。
冷蔵庫をごちゃつかせる大きな原因、それはこれら「ずーっと寝かされている、合わせ調味料」なのです。
わが家の冷蔵庫に入っているのは5つの「魔法の調味料」のうち、冷蔵保存の必要な「みりん酒」と「たまねぎ酢」だけ。あとは食品が適宜入っていますが、ちょっとお見せしたいぐらいスッキリしたものです。
掃除もラクラクです。冷蔵庫の掃除は「何本あるかわからないボトル」を全部出して拭かなくてはならないから面倒ですし、その陰に隠れて、気づかないうちに食品を腐らせたりするのです。
買わずに自分で作れば「冷蔵庫スッキリ」→「掃除もラク」「隠れているほかの食品も腐らなせなくて済む」という、うれしい副産物もついてくるのです。
「食品ロス」も減らせ、「節約」にもなる
まだ食べられる食料を廃棄する「食品ロス」が大きな問題となっています。日本では年間600万トン超、毎日、大型トラック(10トン車)約1640台分の食品が廃棄されているそうです。
安部司さんの1DAY料理講座「安部ごはん・男子塾」(男性限定)を、11/23(火祝)午前11時より「タカコナカムラホールフードスクール」で実施します。「魔法の調味料」と「安部ごはん」を、安部さんがみなさんと一緒に作ります!詳しくはこちら (写真:佳川奈央)
しかも日本の食料自給率は4割弱。6割超が輸入です。わざわざ地球上のいたる場所からCO2を出して運んできた食料を「使いきれない」といって安易に捨てていいものでしょうか。大切な食料を無駄なく食べ切る、そのためにも「魔法の調味料」はおすすめです。
また、わざわざ「◯◯のタレ」などを買わなくていいことで、「節約」にもなります。
高めのしょうゆなどを買ったとしても、それで市販の「◯◯のタレ」などを買わなくて済むのなら、結果として、安く上がることがほとんどだと思います。そのうえ「おいしい」し、「余計な添加物などの化学物質」もとらなくて済みます。
「魔法の調味料」を用意して冷蔵庫をスッキリさせることは、「食品ロス」や「節約」にもつながる、もちろん、それを使って「生姜焼き」や「ハンバーグ」「肉じゃが」なども簡単にできる。だから「魔法」なのです。
ぜひ、うまく活用することで、家庭の冷蔵庫をスッキリさせ、節約など、さまざまなメリットを体感してみてください。
安部氏が開発した「魔法の調味料」の「かえし」と「みりん酒」があれば、簡単に作れる「爆速 肉じゃが」(撮影:佳川奈央)
(安部 司 : 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事)