和食のプロが伝授!旨味たっぷり「みそバター鍋」【野永喜三夫さんの元気ハツラツ!発酵鍋 #1】
濃厚スープに海鮮の旨味が溶け込む。みそバター鍋
鍋の季節がやってきました。準備がラクで、野菜がたくさん摂れて、身体も温まるお鍋は、秋から冬にかけて大活躍!
鍋を作るときは市販のつゆを愛用されている方も多いと思います。でも、自宅キッチンにある調味料を使って、手軽かつ経済的に鍋つゆが作れるといいですよね。
じつは野永さんは発酵文化推進機構の主任研究員という顔も持ち、日本各地の発酵食品に精通しています。
「発酵パワーは食品の旨味を引き出して栄養価を高めるだけでなく、腸内環境も整えてくれるので、免疫力を高めたり、デトックスや美白効果があるといわれてます。
今回は旨味たっぷりの鍋用スープを4つ考案しました。いずれも具材をお鍋に盛り付けてから鍋つゆを入れて煮込み、つゆごと味わっていただくタイプ。
これからの季節、出番の多い鍋料理なので飽きないようにつゆの味、具材や〆の炭水化物にもバリエーションを効かせました。おいしい鍋にするための具材の下処理や野菜の切り方などのポイントもご紹介します!」
初回は、北海道の石狩鍋をイメージしたという「みそバター鍋」。ザ・日本の発酵食であるみそと西洋のバターの組み合わせた鍋レシピを、さっそく教えていただきましょう。
材料(2~4人分)
調理時間:15分(煮込む時間は除く)
・甘塩……2~4切れ
・生かき(加熱用)……12~20個(260g)
・じゃがいも(メークイン)……大2個(300~350g)
・にんじん……1本(150~200g)
・玉ねぎ……1個(350g)
・カニ風味かまぼこ......1パック(10本)
・春菊……1パック(170g)
・合わせみそ......60g
・牛乳……300g
・白だし……90g
・水……600g
・バター(有塩)……30g(鍋用)、15g(ラーメン用)
・鍋用ラーメン……2人分
下準備
・メークインの皮をむき、しばらく水にさらす
・牡蠣を水洗いする
「最近の牡蠣はきれいに掃除されているので、水で洗えば十分です。流水ではなく、ボウルにためた水で洗ってください」
作り方
1. 甘鮭を熱湯にくぐらせ、うろこを取る
鍋に熱湯を沸かし、甘鮭の表面が白くなるまで熱湯にくぐらせます。
霜降り状になった鮭は常温の水を張ったボウルに取り、うろこをていねいに取り除きましょう。
「鮭は生鮭ではなく、ほどよい塩味で旨味が引き出されている甘鮭を使います。熱湯をくぐらすとうろこが立って取り外しやすく、魚特有の生臭さも取れます。また、口当たりも断然よくなりますよ」
2. 玉ねぎを薄切りする
三角形に切れ目を入れ、玉ねぎの芯を取り外します。
玉ねぎを2等分し、繊維を絶つようにして2mm幅の薄切りにします。
「早く火を通したいので今回は、すべての食材を薄く切ります。僕は包丁を使いますが、スライサーでもいいですよ」
3. じゃがいもを薄切りする
じゃがいもを1~2mmの薄切りにします。ひと切れひと切れの大きさがそろうように、斜めに薄切りしていきましょう。
「じゃがいもは、シャキシャキした食感が残るように煮崩れしにくいメークインを使ってください」
4. にんじんを斜め輪切りにする
にんじんの上下を落とし、斜めに薄切りします。
「にんじんはきれいに洗えば、皮はむかないでOK。じつは皮と身の間の部分は旨味と香りが強いんですよ。捨てるなんてもったいない!」
5. 春菊を食べやすい大きさに切る
春菊は茎の下部の硬い部分をカットして捨て、残りを2等分します。
「春菊は茎の硬い部分を切る、と覚えておいてくださいね。茎の部分を折り曲げてポキッと折ってもいいでしょう」
6. 甘鮭を3等分に切る
甘鮭は、水気を拭いて3等分します。
「骨があって多少力がいるので、持っている人は出刃包丁を使うといいですよ」
7. 鍋に食材を並べる
玉ねぎを鍋の一番奥側にセットし、にんじん、じゃがいも、鮭、春菊をバランスよく並べます。
春菊は茎の部分を下に、やわらかい葉の部分はその上に。生かきとカニ風味かまぼこを彩りよく並べれば、食材のセットが完了です!
「赤や緑の鮮やかな色を中心に持っていくと美しく盛り付けられます。お鍋に入り切らない場合は初回は半量、そして食べながら追加していくスタイルでもOKです。青菜は水菜を使ってもいいですよ」
8. つゆを作る
合わせみそを入れたボウルに白だしを少しずつ加え、泡立て器で溶きます。よく混ざったら牛乳を加えます。
「今回はキリッとした味にしたくて合わせみそにしましたが、白みそでもOK。その場合、少し甘めの味に仕上がりますよ」
9. 具材を並べた鍋につゆを注ぎ、強火にかける
鍋つゆを注ぎ、最後にバターをのせ、強火にかけます。
ひと煮立ちしたら食材の火の通り具合を確認しましょう。玉ねぎはやわらかく、じゃがいもは透きとおり、生かきはプリッとしたら食べごろの合図です。
「かきはのしっかり火を通してください。加熱用の場合、生食用とは違って菌検査されていないので、お腹が痛くなることがあります」
10. 〆のラーメンを作る
鍋に残った具材を取り上げて、〆のラーメンを作ります。
沸騰したスープにラーメンを入れ、煮立たせます。仕上げにバター、みじん切りした春菊、こしょうをトッピングすればできあがりです!
みそ×バターの発酵鍋は、やさしいまろやかな味
みそバター鍋は、細切りのじゃがいもや玉ねぎのシャキシャキ食感がなんとも楽しく、やさしい味わい。海鮮や野菜の旨味がぎゅっと詰まったスープにはとにかく感動です!
「スープは牛乳が入っているので、熱するうちに分離していきますが、気にしなくていいですよ!
入れる魚介は帆立やたらでもOKです。スーパーの店頭に並んでいる鍋用魚介セットを利用してもいいですね。この鍋つゆには根菜が合うので、ごぼうやれんこんを加えてもいいと思います。
北海道といえば“みそバターラーメン”。だから〆にはラーメン麺を選びました。すべての食材から出た旨味を最後まで楽しんでください!」
次回の発酵鍋は「チーズカレー鍋」。お楽しみに!
取材協力
店舗名:日本料理 日本橋ゆかり
郵便番号:103-0027
住所:東京都中央区日本橋3丁目2-14
市区町村:中央区
町域:日本橋3丁目2-14
定休日:なし
営業時間:11:30~14:0017:00~22:00
最寄駅:地下鉄メトロ銀座線 日本橋駅 徒歩3分JR東日本 東京駅 徒歩9分
電話番号:03-3271-3436
取材・文/古川あや
撮影/宮本信義