氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

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 8月にポップスアルバム『You are you』を世に送り出したばかりの氷川きよしが、'21年第2弾シングル『Happy!/森を抜けて』を発売する。ここ数年は、年明けにリリースした1曲を大事に1年間歌い続けることが多かったが、攻めのリリースラッシュ!

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44歳になっての“初めて”

「両A面ともにポップスなのは初めてですね。『Happy!』は踊りだしたくなるような曲。ウキウキするでしょ? やっぱりコロナ禍だから、今は人と会って遊んだり、“久しぶり!”ってハグしたり、触れることもできない。そんな環境の中で、ないものばかりに目がいってしまうけど、人とつながっている絆や心、すごく平凡なことがすごく幸せなんだよ、ということが感じられる曲になっています」

 『Happy!』は、10月30日公開の映画『老後の資金がありません!』の主題歌になっている。意外なことに、映画主題歌を担うのは初。

「聞いたときは、うれしかったですね。44歳になっても“初めて”をやらせてもらえるのは、すごくありがたい。やっぱりいつでも新鮮な気持ちで仕事をしたいので。なんか、パターンというかルーティン? マンネリ化しちゃうのは嫌だから」

 主演の天海祐希から電話がかかってきて“聴いたわよ。すごく映画にぴったり”と、喜ばれたそう。

「よかったぁと思いました。今回のジャケット写真は、天海さん演じる篤子の、ちょっとおっちょこちょいな部分をイメージして、ポップでおちゃめにしてみたんですよ(笑)。自分も試写を見たんですが、腹をかかえて笑いましたね。ハラハラドキドキして、お笑いもあって、そしてすごくあったかいものがあって。やっぱり心なんだなぁと思ったし、それこそハッピーになれる作品で」

 ちなみに、老後資金について尋ねてみると、

「映画を見て、考えないといけないなって思いましたね。44歳、ちょうど人生の半分くらいなんだと思うんですけど、ちゃんと貯めておかないと! ついつい、使っちゃう性格だから(笑)。

 老後ですか? できればひとりではいたくないかな。地味で、狭い家でいいから、愛する人と暮らしたいな、なんて思うけど、年をとったら“離れたい”って思ったりするんでしょうね(笑)。そして、歌はやっぱり歌っていたい。どういう形であれ携わっていたいですね」

新たな朝へ、希望に満ちた曲

 両A面のもう1曲は『森を抜けて』。新たな朝に向けて動きだす、前向きなバラードとなっている。

「この曲は林真理子先生が作詞をしてくださって」

 最近では『ボヘミアン・ラプソディ』の訳詞や『紫のタンゴ』などを手がけた湯川れい子との親交が厚い。そして林とともに3人で食事をする機会があり、交流を深めたことで実現したという。

「林先生とはいろいろと腹を割って、何でもお話しできる関係性がつくれて。その中から詞をつむぎ出していただきました。希望にあふれる曲です。このコロナ禍で、すごくがっくりすることもあるけど……」

 親戚が40年営んできたやきとり屋さんも、閉めることになったと顔を曇らせる。

「本当に切ない。これはもう1、2年で終わるものじゃないことがわかったし、どう向き合っていくのか、ですよね。それこそレジリエンス(復活力)。しっかり前を向いて、困難を乗り越える力をつけていかないといけないのかなと思っています」

 人それぞれ抱えるものがある。でも、これらの曲を聴くと、その心は晴れ渡るーー。

ハッピーな瞬間は?

「そうですね。最近はツアーで全国各地に行っても、お店で食事はできないから、ずっとホテルの部屋で食べていて。コンビニで買ってきた豆腐や刺身こんにゃくを食べたときに“ああ、おいしい!”って思えるのは、やっぱりハッピーな瞬間です。値段は関係ないんですよね」

 地方ならではのスーパーに足を運ぶこともあるそう。

「じっくりいろいろ見て、新鮮で安いものを探すのが好き。この間は、長野県産のブロッコリーがすごく新鮮だったから買って帰って、ホテルの部屋でポットのお湯を使って、湯通ししました。でも、マヨネーズで食べるのはありきたりでしょ? だから塩昆布であえてみたんですけど、すっごくおいしかった! 塩昆布って、本当に優秀♪」

『Happy!/森を抜けて』
カップリングは、
【A】『WALK』
【B】『僕と私の1ページ』
【C】『恋はBUN BUN』
(※写真はBタイプ)
各1227円+税 発売/日本コロムビア

スタイリング/伊藤典子(hoop)
ヘアメイク/助川良幸(Allure) 衣装協力/ヌメロ ヴェントゥーノ/N21 表参道