六角川の氾濫などで周囲が冠水した佐賀県大町町の順天堂病院。2年前の大雨でも孤立状態になっている(8月15日撮影)[写真/共同通信]

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 7月1日から日本列島の広範囲で降った大雨では、静岡県熱海市で土石流が発生。8月11日以降の大雨では、全国で土砂災害や水害被害が相次いだ。

『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)のお天気コーナーでおなじみ、気象予報士で防災士の蓬莱大介さんは、こう話す。

「7月の大雨は梅雨末期のものでした。その後は猛暑になり、8月8日には岐阜県多治見市で40・6℃を観測。8月の長雨はたまにありますが、今回はいくつかの悪条件がたまたま重なった結果、このような記録的な大雨になりました」

 2つの台風の通過により、涼しい空気を持つ北からのオホーツク海高気圧の勢力が強まり、南からの蒸し暑い夏の高気圧とぶつかり合うことで前線が停滞。そこへ非常に湿ったアジアモンスーン(季節風)が入ってきたのだという。

「僕は10年以上、気象キャスターをやっていますが、とても気になるのが“たまたま、悪条件が重なる”の頻度が増えていることです。世界中の気象学者たちは地球温暖化の影響を指摘しています。そうなると、このような大雨が来年以降、発生しない理由がないんです。今後も“過去の記録を上回る豪雨の可能性はある”と考え、対策を取ったほうがいいと思います」

「数十年に1度」と「観測史上1位」の意味

 蓬莱さんは2つのキーワードの意味をきちんと知ることが大切だと話す。

「まずは“数十年に1度の大雨”。“その場所で、数十年に1度レベルの頻度でしか起きないような、めったにない大雨が降っています”という意味なんです。だから、次は数十年後というわけではないことがポイントです。

 そして“観測史上1位”。アメダスが整備されて40年以上たちますが、“統計を取り始めてからの約40年の中で、今回がいちばん雨量が多いですよ”ということ。つまり、今まであふれたことのない川があふれる。崩れたことのない崖が崩れる。そのおそれがあると思ってもらったほうがいいです」

 全国1300か所の観測地点において、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨を記録した回数は、40年前(の10年間)と比較すると、およそ1・5倍。昔よりも、雨の降り方が激しくなっているのは事実だ。

「“1時間に50ミリ”と言われてもピンとこないかもしれませんが、街の排水処理ができる限界レベル。道路が冠水するぐらいのレベルの雨だと思ってください。もうひとつ知っておいてもらいたいのが“24時間で200ミリ”。これは、土砂災害が発生する目安としてとらえてもらえればと思います」

 天気予報の数字の意味を知っておくと、ひとつの目安になり、より正しい判断や行動へとつなげられる。

秋の台風シーズンはどうなる?

 9月や10月は長雨になることは珍しくないが、

「雨量は平年並みという予想が出ています。例年、台風は年間で約25個発生しますが、今のところ12号まで(8月27日現在)。今後10個くらいの台風は発生すると思います」

 災害につながる大雨となる危険性については、

「秋雨前線+台風。このふたつが重なるタイミングは、より大雨になるので、強い警戒が必要です。夏の台風は比較的動きが遅く“雨台風”になりやすいといわれますが、9月になると“風台風”の特徴も出てきます。雨だけではなく、プラス風。暴風雨への注意が必要です。

 ぜひ、自分の住んでいる場所のハザードマップを事前に確認してください。災害リスクを知っておくことで、いざというときの判断材料になるはずです」