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「オザケン」と呼ばれ、日本のポップシーンをけん引してきたシンガー・ソングライターの小沢健二さん(53歳)が、23歳年下の女性歌手と深夜にホテルで過ごしていた――。週刊文春(2021年7月8日号)がそう報じた。

記事によると、小沢さんは今年5月、女性歌手とテレビ局で仕事をしたあとに帰宅。自宅に車を置いて、タクシーでホテルに向かった。このホテルは小沢さんの仕事場でもあり、小沢さんが入った直後に女性歌手も到着したという。

しかし、その後、2人は別々に近くにある別のホテルに移動し、同じ部屋で一晩を過ごしたと報道された。小沢さんはアメリカ人の女性写真家と結婚し、2人の子どもを育てている既婚者だ。

週刊文春の取材に対して、女性歌手の事務所は、ホテルで過ごしたことは事実と認めながらも、男女関係を否定し、「打ち合わせをしようという流れになりました」と説明している。

しかし、不法行為や不貞行為がなかったとしても、2人の行動に法的なリスクはないのだろうか。澤藤亮介弁護士に聞いた。

●小沢さんまたは女性歌手が慰謝料請求されるリスク

「小沢さんがアメリカ人女性と結婚され、アメリカでの居住歴もあるとのことであるため、前提として、準拠法や国際裁判管轄の問題は出てきます。ここでは、準拠法が日本法かつ国際裁判管轄が日本に帰属することを前提に説明します。

今回のケースで考えられる法的リスクとしては、(1)小沢さんまたは女性歌手が、小沢さんの妻から慰謝料請求を受けるリスク、(2) 小沢さんが妻から離婚請求されるリスクが当然考えられます。

(1)の慰謝料の対象となりうる行為は、性交渉に限定されず、キスや性交渉類似行為も不法行為と判断される可能性があります。これらがあったとされる場合、慰謝料が認められます。

(2)の離婚請求については、離婚事由の『不貞行為』(民法770条1項1号)に該当するかが問題となりますが、(1)の慰謝料の場合よりも厳格で、『配偶者以外の異性と性交渉をおこなうこと』とされています」

●「ホテルで同じ部屋にいたが不貞行為はない」通じるか?

今回のケースは離婚事由になるか。

「裁判上では、慰謝料や離婚を請求する側(今回のケースでは小沢さんの妻)が、性交渉など問題となる行為の存在を立証する責任を負うことになりますが、実務上は、性交渉そのものを直接示す証拠まで必要がないことが大半です。

そもそも、人の目につかないようにこっそりする不貞行為という事実に関し,直接的な証拠(例:性交渉中の写真や動画等)の入手や提出まで求めることに無理があります。裁判所もそこまでの立証は必要とはしていません。

性交渉があったと推認できる他の事実(例:男女2人がホテルや自宅などで一夜を過ごしたという事実)から、他の補助的な証拠(例:2人のLINEなど)との整合性なども考慮のうえ、性交渉など問題となる事実の存否を判断していくことになります。

そのため、今回のケースのように、問題となっている2人が『ホテルで同じ部屋で明け方までいたが、不貞行為などはしていない』などと主張する場合であっても、『男女が2人きりでホテルで宿泊した』という事実関係や、他の証拠から、裁判所が、性交渉や性交渉類似行為が存在したと判断する可能性はありえます」