つらい肩こりにはツボほぐし。セルフマッサージ&お灸でラクに
あわただしい暮らしのなかで、いつのまにかついてしまう体のクセ。同じ姿勢を取り続けることで、それがコリや痛みとなり、つらくなることがあります。
「とくに上半身は、生活の中で前かがみの姿勢をとることが多いので、負担がかかる肩の筋肉は硬くなりがちです。マッサージやお灸でコリがほぐれ血流が改善するとラクになりますよ」と話すのは、メイ治療室・女性のための鍼灸院の代表で、鍼灸師の吉田明代さん。
早速、肩こりを和らげるツボや、効果的なマッサージ、自分でできるお灸の据え方についても教えてもらいました。
マッサージとお灸で心地よく動かせる肩へ(※写真はイメージです)
「肩や首はいろいろな筋肉に支えられています。同じ姿勢を取り続けると、特定の筋肉だけが縮み続けたり、伸び続けたりすることに。これが肩こりの一因です」と吉田さん。
言われてみると、家事や育児、仕事などの動作は、前かがみの姿勢ばかり。ぎゅっと縮こまった筋肉はかたくなりやすく、放っておくと体の歪みや大きな不調につながることも…。そこでおすすめなのが、自分でできるマッサージやお灸です。
「年齢を重ねると、肩だけでなく、アンバランスな筋肉の使い方によって、いつのまにか痛みや違和感のある部位ができやすくなります。そうしたつらさは、筋肉の収縮と血流低下が同時に起ったときに感じます。お灸は、縮こまった筋肉をほぐすケアにとても向いていて、血行を改善し、免疫を整える効果も」
(※写真はイメージです)
温熱を使ってツボを刺激し、コリをほぐし、血行を促し、自律神経のバランスを整えるお灸。コリや動きづらさがあるところにお灸を据える習慣で、つらさが少しずつ和らぎ、気持ちよく動かせる体に整えられるのだそう。
「肩こり解消に役立つ代表的なツボとパーツは、『肩井(けんせい)』、『肩貞(けんてい)』、そして『胸のつけ根』の3つです。セルフケアなら、肩井にはお灸を、肩貞と胸のつけ根はマッサージでアプローチするのがおすすめです」
まずは、手軽にできる肩貞(けんてい)、胸のマッサージから。
肩貞は、背中側にあるツボで、「脇を閉じたときにできるシワ」から、「自分の親指の幅、1本分上」にあります。片方の腕を上げて、反対側の手で肩貞のツボを気持ちよい程度にもみほぐしましょう。
「『肩貞』には肩甲骨の筋肉が集まっています。ここをマッサージしてみほぐすと、前に傾きがちな腕の位置が元の位置に戻りやすくなり、血行も改善されます」
胸と鎖骨の間にある固いところを手でさすったり気持ちよく押したりしてほぐしましょう。
「同じ姿勢をとり続けて、胸のつけ根の筋肉がぎゅっと縮まると、肩が前側にひっぱられてしまいます。ここをほぐすことで胸が広がり、肩が元の位置に戻りやすくなります」
次は肩井にお灸を据える方法です。
肩井は、うつむいたときにでっぱる「首のつけ根の骨」と「肩先」のちょうど真ん中にあるツボ。肩に反対側の手を置いたときに中指があたる辺りで、前かがみの姿勢で負担がかかり、かたくなっているところです。
「ここにお灸をしてほぐしてあげると、ぎゅっと縮こまった肩が下に下がり、血行も改善します」
<お灸をするために必要なもの>
・お灸:お灸を据えるのが初めてという人は、「台座灸」がおすすめです。台の下がシールになっているので、肌に固定しやすくなっています。最初は温熱の弱いタイプから試してみましょう。ドラッグストアやお灸メーカーのネットショップで購入できます。
・水を入れたボウル:使い終わった台座灸を水に浸して完全に消火します。水に浸さずにそのままゴミ箱に捨てるのは絶対にやめましょう。
・ライター:お灸に火をつけるために使います。柄が長く着火しやすいタイプは、指先が熱くなりにくいのが利点です。
・点火器:お灸メーカー「せんねん灸」の台座灸なら、せんねん灸オリジナルのヒーター式点火器を使う方法も(写真右)。点火器の左下の穴にせんねん灸の台座灸を軽くはめ込んで、ボタンを押して点火します。ライターが苦手な人におすすめです。
<肩井へのお灸の据え方>
(1) 肩井の位置を確認します。肩に反対側の手を置いて中指があたる辺りです。
(2) 台座灸を1つ取り外し、底のシールをはがして指先に貼りつけます。
(3) ライターで台座灸の先に火をつけます。※火の取り扱いには十分に注意してください。
(4) 肩井に貼りつけて、煙が出なくなり、台座が冷めるまで5分ほどそのままにします。じっくりのんびりお灸の温かさを感じましょう。
(5) 使い終わった台座灸を水に入れて終了です。
※火が完全に消えていることを確認してから処分してください。
自分でできるマッサージとお灸のセルフケア。ぜひお試しください。セルフケアを続けてもつらさが続くときは、プロの鍼灸師のケアを受けるのもおすすめです。
たとえば、肩こりの場合も、原因が肩だけにあるとは限りません。肩甲骨まわりにもアプローチすることで、つらさが和らぐことがあるのは、筋肉や神経、血管が体のなかでつながり合い、それぞれがお互いに影響し合っているから。そうした仕組みを熟知しているのがプロの鍼灸師です。肩こりに対してもプロの目で、その人に合った治療を考えてくれます。
<写真提供/吉田明代 イラスト/hoho 取材・文/満留礼子>
●教えてくれた人
鍼灸師、鍼灸学校非常勤講師。「メイ治療室 女性のための鍼灸院
」代表。妊娠育児による体調変化、PMS、更年期症状などの改善に実績がある。著書に『自分でできるやさしいお灸
』(ナツメ出版)がある。
「とくに上半身は、生活の中で前かがみの姿勢をとることが多いので、負担がかかる肩の筋肉は硬くなりがちです。マッサージやお灸でコリがほぐれ血流が改善するとラクになりますよ」と話すのは、メイ治療室・女性のための鍼灸院の代表で、鍼灸師の吉田明代さん。
マッサージとお灸で心地よく動かせる肩へ(※写真はイメージです)
肩こりの一因はアンバランスな筋肉の使い方
「肩や首はいろいろな筋肉に支えられています。同じ姿勢を取り続けると、特定の筋肉だけが縮み続けたり、伸び続けたりすることに。これが肩こりの一因です」と吉田さん。
言われてみると、家事や育児、仕事などの動作は、前かがみの姿勢ばかり。ぎゅっと縮こまった筋肉はかたくなりやすく、放っておくと体の歪みや大きな不調につながることも…。そこでおすすめなのが、自分でできるマッサージやお灸です。
「年齢を重ねると、肩だけでなく、アンバランスな筋肉の使い方によって、いつのまにか痛みや違和感のある部位ができやすくなります。そうしたつらさは、筋肉の収縮と血流低下が同時に起ったときに感じます。お灸は、縮こまった筋肉をほぐすケアにとても向いていて、血行を改善し、免疫を整える効果も」
(※写真はイメージです)
温熱を使ってツボを刺激し、コリをほぐし、血行を促し、自律神経のバランスを整えるお灸。コリや動きづらさがあるところにお灸を据える習慣で、つらさが少しずつ和らぎ、気持ちよく動かせる体に整えられるのだそう。
●肩こりに効く3つのツボ&パーツ
「肩こり解消に役立つ代表的なツボとパーツは、『肩井(けんせい)』、『肩貞(けんてい)』、そして『胸のつけ根』の3つです。セルフケアなら、肩井にはお灸を、肩貞と胸のつけ根はマッサージでアプローチするのがおすすめです」
まずは、手軽にできる肩貞(けんてい)、胸のマッサージから。
●肩こりに効くツボ「肩貞(けんてい)」をマッサージする
肩貞は、背中側にあるツボで、「脇を閉じたときにできるシワ」から、「自分の親指の幅、1本分上」にあります。片方の腕を上げて、反対側の手で肩貞のツボを気持ちよい程度にもみほぐしましょう。
「『肩貞』には肩甲骨の筋肉が集まっています。ここをマッサージしてみほぐすと、前に傾きがちな腕の位置が元の位置に戻りやすくなり、血行も改善されます」
●肩こりに効く部位「胸のつけ根の筋肉」をさする
胸と鎖骨の間にある固いところを手でさすったり気持ちよく押したりしてほぐしましょう。
「同じ姿勢をとり続けて、胸のつけ根の筋肉がぎゅっと縮まると、肩が前側にひっぱられてしまいます。ここをほぐすことで胸が広がり、肩が元の位置に戻りやすくなります」
次は肩井にお灸を据える方法です。
●肩井(けんせい)にお灸を据えてみましょう
肩井は、うつむいたときにでっぱる「首のつけ根の骨」と「肩先」のちょうど真ん中にあるツボ。肩に反対側の手を置いたときに中指があたる辺りで、前かがみの姿勢で負担がかかり、かたくなっているところです。
「ここにお灸をしてほぐしてあげると、ぎゅっと縮こまった肩が下に下がり、血行も改善します」
<お灸をするために必要なもの>
・お灸:お灸を据えるのが初めてという人は、「台座灸」がおすすめです。台の下がシールになっているので、肌に固定しやすくなっています。最初は温熱の弱いタイプから試してみましょう。ドラッグストアやお灸メーカーのネットショップで購入できます。
・水を入れたボウル:使い終わった台座灸を水に浸して完全に消火します。水に浸さずにそのままゴミ箱に捨てるのは絶対にやめましょう。
・ライター:お灸に火をつけるために使います。柄が長く着火しやすいタイプは、指先が熱くなりにくいのが利点です。
・点火器:お灸メーカー「せんねん灸」の台座灸なら、せんねん灸オリジナルのヒーター式点火器を使う方法も(写真右)。点火器の左下の穴にせんねん灸の台座灸を軽くはめ込んで、ボタンを押して点火します。ライターが苦手な人におすすめです。
<肩井へのお灸の据え方>
(1) 肩井の位置を確認します。肩に反対側の手を置いて中指があたる辺りです。
(2) 台座灸を1つ取り外し、底のシールをはがして指先に貼りつけます。
(3) ライターで台座灸の先に火をつけます。※火の取り扱いには十分に注意してください。
(4) 肩井に貼りつけて、煙が出なくなり、台座が冷めるまで5分ほどそのままにします。じっくりのんびりお灸の温かさを感じましょう。
(5) 使い終わった台座灸を水に入れて終了です。
※火が完全に消えていることを確認してから処分してください。
自分でできるマッサージとお灸のセルフケア。ぜひお試しください。セルフケアを続けてもつらさが続くときは、プロの鍼灸師のケアを受けるのもおすすめです。
たとえば、肩こりの場合も、原因が肩だけにあるとは限りません。肩甲骨まわりにもアプローチすることで、つらさが和らぐことがあるのは、筋肉や神経、血管が体のなかでつながり合い、それぞれがお互いに影響し合っているから。そうした仕組みを熟知しているのがプロの鍼灸師です。肩こりに対してもプロの目で、その人に合った治療を考えてくれます。
<写真提供/吉田明代 イラスト/hoho 取材・文/満留礼子>
●教えてくれた人
【吉田明代さん】
鍼灸師、鍼灸学校非常勤講師。「メイ治療室 女性のための鍼灸院
」代表。妊娠育児による体調変化、PMS、更年期症状などの改善に実績がある。著書に『自分でできるやさしいお灸
』(ナツメ出版)がある。