片づけられない人が抱える“捨てられない”理由。今すぐできるリセットワザ
もっと居心地のいい家にしたい! すっきりした空間で暮らしたい!
そんな思いはあるのに、なにから手をつけていいかわからず、片づけがイヤなことになってしまっていがちに。
「イヤになる理由がわかれば、片づけがもっと前向きなものに変わり、理想の暮らしが手に入りやすくなりますよ」と話すのは、毎日が楽しくなる収納・インテリア術が人気な、片づけのプロ・はらむらようこさん。今回は、片づけが苦手な人が抱えがちな問題と今すぐできる攻略法について教えてもらいました。
家がすっきりすれば、お気に入りの空間が手に入ります
片づけの仕事をする中で、収納方法などの具体的なご相談以上に多いのが、「片づけたいがどこから手をつけていいのか分からない」「片づけを始めた途端にやる気がなくなる」など、片づけに対する漠然とした内容のものです。
私もプロになるまでは、すぐに現実逃避し、出したものすべてを結局元あった場所に押し込み戻すだけの繰り返しでした。雑誌などで見た方法をやろうとしても片づけの成果が出た試しがなく、片づけは大の苦手でした。その相談に大変共感します。そこでまず考えたいのが「なぜ片づけが“イヤなこと”になってしまうのか」ということです。
なぜ片づけがイヤになるのか。それは判断に「迷うもの」が多すぎるのです。
好きでもないが嫌いでもない。いつか使う気もする、など、ご家庭にあるものの半分以上は「迷うもの」だと思っています。どうすればいいのか、ため息をつかされるものが何百個も出てくる。想像するだけで疲れ、気分が滅入ります。片づけがイヤになって当然です。
内心捨てたい粗品などでもらってしまったままだったペン(左)と、手放せないお気に入りのペン(右)
迷うものが家の大半を占めている、という場合、その次にあるのはどんなものかというと…
(1) 内心捨てたいと思っていたもの
(2) 捨てるわけない、今大好きなもの
この2種類です。これらは、どんな方でも非常に判断が早いです。
まずは(1)は撤去し、(2)は抽出しましょう。
とくに(2)の「捨てるわけない、今大好きなもの」は大切です。家にあるすべての「今大好きなもの」を抽出してください。今自分が好きなものとして一瞬で選んだものがどんなものか、並べてよく見てください。幸せな気持ちになれば上手に選べています。
その際、「自分の家に置くものは、今自分の好きなものだけにしていいのでは」と思ってみてください。
手放す予定の衣類は、毎日使う自分のクローゼットの上の棚(あまり使わないけれど目に入る場所)のバッグに入れて保管
ここまでの作業は片づけという感覚より、宝探しのように楽しい気持ちで簡単にできたと思います。ですが物量としては、家の1、2割ほどにしかならず、片づいた変化が少ないと思います。次のステップは、いよいよ家の大半を占める「迷うもの」たちの攻略法です。
ものを思い切って一気に捨てるのも、ときにはよいと思いますが、片づけに痛みが伴うように感じてしまう方の場合は、片づけアレルギーや、買い物のリバウンドにつながる恐れもあり心配です。
そういった方の場合、片づけは日常のなかで習慣的に、自然に、少しづつ行って欲しいと考えています。そのためのルールとしておすすめなのが、
※1年は目安です。家の余白の大きさや、家族が増える予定があるか、時間の余裕があるかなどで3か月から2年の期間でご決定ください。
ルール3の移動をするときに、じつはもう1つやっていただきたい工程があります。そのまましまい込むのでなく、出して飾って使ってみるのです。
調理家電などしまい込んでいる「迷うもの」は出して使ってみよう
例えば
・迷っている服は明日着て出かける。
・積み上げている本は今夜から15分読む。
・箱に入りっぱなしの調理家電は箱から出して、夕食時に使う。
・洗濯物がかかっている筋トレ運動グッズは今から15分やってみる。
・仕事に役立ちそうと買った本は、職場に持参し昼休みに15分勉強する。
・おしゃれすぎて使えなかった調味料はとりあえず開けて舐めてみる。
・便利そうな掃除グッズは土曜日の朝に使ってみる。
など。
購入時に想定されていたとおりに使ってみましょう。やってみたいどころか、試すことすら面倒に感じたら、もう今は不要ということです。もったいない買い物をしたかもしれませんが、そのときの気晴らしになり、日本経済を確実に回しました。1年を待たずに、手放してもよいのです。
ずっと手放したいと思っていた水切りカゴ(左)を手放し、好きで集めたのに使えていなかったリネンを代わりに使うことにした例。ついでにキッチン全体も片づきました
大切なのは自分の気持ちに素直に従うことです。高かったからとりあえず置いておくは、いずれ気持ちを暗く、部屋を狭くするだけです。もののために家賃を払い続けることになってしまいます。自分に「いつか使う」という、宿題を与えず、手放してみても大丈夫です。
では具体的に、つい放置しがち・しまいこみがちな、迷うものの片づけ攻略法をご紹介します。
積んでいる本が大量にある場合は、そのものの圧力で読む気を失わされている場合も多いです。読むためにはぜひ以下のしかけをしてください。
(1) まずは書店でかけてもらった包装を外し、なんの本か一目瞭然にする。
(2) 本を汚したくない気持ちを除くためカバーを外す(カバーは別場所で保管)。
(3) 興味のある2、3冊だけをソファなど本を読む場所の近くに置く。
こうすることで、眠っていた本がきちんと生かされ、もしもう必要ないと感じたら手放すことができます。
家電は取り出しにくい位置の収納に、購入時の箱のまま収まっているために使えなかった場合も多々あります。
例えばこちらの「流しそうめん器」の場合。
まずは、すぐに使えるように、箱から出し、包まれている袋を捨て、テーブルにセッティングしてみましょう。
また、「人が来たときに」などではなく「とりあえず今夜ちょっと使ってみる」ことが重要。それだけで、手放すのかこのまま保持するのか判断がつきやすいものです。
そして、残すと決めたら、箱にしまい込まずに、なるべく取り出しやすい位置で、すぐに使える形で収納しましょう。今回残すことに決めた流しそうめん器は、つり戸棚の1段目から3段目に移動されました。つり戸棚のなかも取捨選択し、すっきり使いやすい状態に。
ごく当然なアドバイスに感じられると思いますが、ほとんどの方が放置しがちです。ぜひ「すぐ使ってみる」をしてみてください。
使わなかったものを処分するよりも、もったいないものは「使わなくては、読まなくては、やらなくては」と、過去のものに追い立てられて、今の暮らしを楽しめないことです。つい仕事に家事にと追われがちな日々、自分の家でくらい、なにかに追われず好きなものだけに囲まれて暮らしてみませんか?
●教えてくれた人
暮らしのアップデーター。大阪在住で夫と娘の3人暮らし。片づけ=アップデートと定義し、整理収納の枠に縛られないアイデアで、今「好き」な物事を肯定しアップデートするオリジナルのメソッドが人気。著書に『「好き」から始める暮らしの片づけ
』(ワニブックス刊)がある。ホームページは「生活デザイン研究室
」、インスタグラムは@lifedesignproject
そんな思いはあるのに、なにから手をつけていいかわからず、片づけがイヤなことになってしまっていがちに。
「イヤになる理由がわかれば、片づけがもっと前向きなものに変わり、理想の暮らしが手に入りやすくなりますよ」と話すのは、毎日が楽しくなる収納・インテリア術が人気な、片づけのプロ・はらむらようこさん。今回は、片づけが苦手な人が抱えがちな問題と今すぐできる攻略法について教えてもらいました。
家がすっきりすれば、お気に入りの空間が手に入ります
片づけが苦手な人が最初に手をつけるべきもの
片づけの仕事をする中で、収納方法などの具体的なご相談以上に多いのが、「片づけたいがどこから手をつけていいのか分からない」「片づけを始めた途端にやる気がなくなる」など、片づけに対する漠然とした内容のものです。
私もプロになるまでは、すぐに現実逃避し、出したものすべてを結局元あった場所に押し込み戻すだけの繰り返しでした。雑誌などで見た方法をやろうとしても片づけの成果が出た試しがなく、片づけは大の苦手でした。その相談に大変共感します。そこでまず考えたいのが「なぜ片づけが“イヤなこと”になってしまうのか」ということです。
●片づけがイヤになるのは「迷うもの」が多すぎるから
なぜ片づけがイヤになるのか。それは判断に「迷うもの」が多すぎるのです。
好きでもないが嫌いでもない。いつか使う気もする、など、ご家庭にあるものの半分以上は「迷うもの」だと思っています。どうすればいいのか、ため息をつかされるものが何百個も出てくる。想像するだけで疲れ、気分が滅入ります。片づけがイヤになって当然です。
●迷うもの以外から着手することで突破口を開こう
内心捨てたい粗品などでもらってしまったままだったペン(左)と、手放せないお気に入りのペン(右)
迷うものが家の大半を占めている、という場合、その次にあるのはどんなものかというと…
(1) 内心捨てたいと思っていたもの
(2) 捨てるわけない、今大好きなもの
この2種類です。これらは、どんな方でも非常に判断が早いです。
まずは(1)は撤去し、(2)は抽出しましょう。
とくに(2)の「捨てるわけない、今大好きなもの」は大切です。家にあるすべての「今大好きなもの」を抽出してください。今自分が好きなものとして一瞬で選んだものがどんなものか、並べてよく見てください。幸せな気持ちになれば上手に選べています。
その際、「自分の家に置くものは、今自分の好きなものだけにしていいのでは」と思ってみてください。
●片づけ時間と手間を大幅に短縮できる「迷うもの」の攻略法
手放す予定の衣類は、毎日使う自分のクローゼットの上の棚(あまり使わないけれど目に入る場所)のバッグに入れて保管
ここまでの作業は片づけという感覚より、宝探しのように楽しい気持ちで簡単にできたと思います。ですが物量としては、家の1、2割ほどにしかならず、片づいた変化が少ないと思います。次のステップは、いよいよ家の大半を占める「迷うもの」たちの攻略法です。
ものを思い切って一気に捨てるのも、ときにはよいと思いますが、片づけに痛みが伴うように感じてしまう方の場合は、片づけアレルギーや、買い物のリバウンドにつながる恐れもあり心配です。
そういった方の場合、片づけは日常のなかで習慣的に、自然に、少しづつ行って欲しいと考えています。そのためのルールとしておすすめなのが、
<リバウンドしない片づけルール>
ルール1:不安になったり、少しでも迷ったものは捨てない
ルール2:ただし「とりあえず同じ場所に戻す」は禁止
ルール3:あまり使わないけれど目に入る場所へ移動する
ルール4:1年経っても手に取る気にもならなかったものは、処分
ルール1:不安になったり、少しでも迷ったものは捨てない
ルール2:ただし「とりあえず同じ場所に戻す」は禁止
ルール3:あまり使わないけれど目に入る場所へ移動する
ルール4:1年経っても手に取る気にもならなかったものは、処分
※1年は目安です。家の余白の大きさや、家族が増える予定があるか、時間の余裕があるかなどで3か月から2年の期間でご決定ください。
「迷ったもの」はしまわない。出して、飾って、使ってみよう
ルール3の移動をするときに、じつはもう1つやっていただきたい工程があります。そのまましまい込むのでなく、出して飾って使ってみるのです。
調理家電などしまい込んでいる「迷うもの」は出して使ってみよう
例えば
・迷っている服は明日着て出かける。
・積み上げている本は今夜から15分読む。
・箱に入りっぱなしの調理家電は箱から出して、夕食時に使う。
・洗濯物がかかっている筋トレ運動グッズは今から15分やってみる。
・仕事に役立ちそうと買った本は、職場に持参し昼休みに15分勉強する。
・おしゃれすぎて使えなかった調味料はとりあえず開けて舐めてみる。
・便利そうな掃除グッズは土曜日の朝に使ってみる。
など。
購入時に想定されていたとおりに使ってみましょう。やってみたいどころか、試すことすら面倒に感じたら、もう今は不要ということです。もったいない買い物をしたかもしれませんが、そのときの気晴らしになり、日本経済を確実に回しました。1年を待たずに、手放してもよいのです。
ずっと手放したいと思っていた水切りカゴ(左)を手放し、好きで集めたのに使えていなかったリネンを代わりに使うことにした例。ついでにキッチン全体も片づきました
大切なのは自分の気持ちに素直に従うことです。高かったからとりあえず置いておくは、いずれ気持ちを暗く、部屋を狭くするだけです。もののために家賃を払い続けることになってしまいます。自分に「いつか使う」という、宿題を与えず、手放してみても大丈夫です。
では具体的に、つい放置しがち・しまいこみがちな、迷うものの片づけ攻略法をご紹介します。
●積み上げたままの本
積んでいる本が大量にある場合は、そのものの圧力で読む気を失わされている場合も多いです。読むためにはぜひ以下のしかけをしてください。
(1) まずは書店でかけてもらった包装を外し、なんの本か一目瞭然にする。
(2) 本を汚したくない気持ちを除くためカバーを外す(カバーは別場所で保管)。
(3) 興味のある2、3冊だけをソファなど本を読む場所の近くに置く。
こうすることで、眠っていた本がきちんと生かされ、もしもう必要ないと感じたら手放すことができます。
●しまいこんだままの家電
家電は取り出しにくい位置の収納に、購入時の箱のまま収まっているために使えなかった場合も多々あります。
例えばこちらの「流しそうめん器」の場合。
まずは、すぐに使えるように、箱から出し、包まれている袋を捨て、テーブルにセッティングしてみましょう。
また、「人が来たときに」などではなく「とりあえず今夜ちょっと使ってみる」ことが重要。それだけで、手放すのかこのまま保持するのか判断がつきやすいものです。
そして、残すと決めたら、箱にしまい込まずに、なるべく取り出しやすい位置で、すぐに使える形で収納しましょう。今回残すことに決めた流しそうめん器は、つり戸棚の1段目から3段目に移動されました。つり戸棚のなかも取捨選択し、すっきり使いやすい状態に。
ごく当然なアドバイスに感じられると思いますが、ほとんどの方が放置しがちです。ぜひ「すぐ使ってみる」をしてみてください。
使わなかったものを処分するよりも、もったいないものは「使わなくては、読まなくては、やらなくては」と、過去のものに追い立てられて、今の暮らしを楽しめないことです。つい仕事に家事にと追われがちな日々、自分の家でくらい、なにかに追われず好きなものだけに囲まれて暮らしてみませんか?
●教えてくれた人
【はらむらようこさん】
暮らしのアップデーター。大阪在住で夫と娘の3人暮らし。片づけ=アップデートと定義し、整理収納の枠に縛られないアイデアで、今「好き」な物事を肯定しアップデートするオリジナルのメソッドが人気。著書に『「好き」から始める暮らしの片づけ
』(ワニブックス刊)がある。ホームページは「生活デザイン研究室
」、インスタグラムは@lifedesignproject