【2020-21プレミアリーグ総括】超WS選出の最優秀選手は王者シチズンズの堅守を支えたルベン・ディアス
◆王者リバプールの陥落と、役者が揃ったシティの怒涛の巻き返し優勝
前半戦は中堅クラブの奮闘により、近年稀に見る混戦となったプレミアリーグ。アンチェロッティ監督体制2シーズン目を迎え、夏に大型補強を施したエバートンや、プレミアリーグらしい堅守速攻スタイルを貫いたサウサンプトン、そしてモイーズ率いるウェストハムといったクラブが台頭し、見応えのある上位戦を繰り広げていた。
しかし、徐々に抜き出ていったのがシティだった。リーグ戦3分の1までは取りこぼしも多く、優勝候補と言われながら今ひとつ調子が上がらなかったものの、12月半ばの第12節のセインツ戦を機に、リーグ戦15試合を含む公式戦21連勝を記録。3月上旬の第27節のマンチェスター・ダービーでその連勝が止められてしまうものの、その後も順調に勝ち点を重ね、一時の9位から最終的に2位のユナイテッドと12ポイント差をつけて、2シーズンぶりの優勝を果たした。
その立役者となったのが主にフォーデン、ギュンドアン、そして新加入ルベン・ジアスの3人。以前からグアルディオラ監督の寵愛を受けていた若きイングランド代表MFは、文字通りその才能を開花させ、リーグ戦28試合で9ゴール5アシストを記録。第17節のチェルシー戦や第23節のリバプール戦で1ゴール1アシストの活躍で一気にスーパースターの仲間入りを果たし、将来のシチズンズを背負って立つ選手として、さらなる成長が嘱望されるシーズンとなった。
また、ギュンドアンは本職のアンカーから一列ポジションを上げたことで得点能力が底上げされ、28試合で13ゴール3アシストの成績に。特にチームがリーグ戦15連勝中だった期間は10ゴール2アシストの量産体制を築き、リバプールとトッテナムとの連戦で2点ずつ奪うなど、ライバルを一気に引き離す上で抜群の存在感を放った。ルベン・ジアスも優勝に大きく貢献した一人で、出場した32試合のうち17試合でクリーンシートを達成。守備に課題のあった昨季のチームを救う、MVP級の活躍を披露した。
そんなシティに大差をつけられながらも、ユナイテッドはサー・アレックス・ファーガソン勇退以降の近年では最も安定したシーズンを送ったと言える。英雄と化したブルーノ・フェルナンデスは37試合で18ゴール11アシストと相変わらずの暴れっぷりで、チームも依存してしまう面もあったが、今季は新加入のカバーニやラッシュフォードが10得点以上の成績を残し、守備ではローンから戻ったディーン・ヘンダーソンが、絶対的守護神だったデ・ヘアから終盤にかけてポジションを奪うなど活性化も進んだ。
3位に入ったのは、シーズンを通じて不振に喘いだ昨季王者のリバプール。序盤にファン・ダイクやジョー・ゴメスといった守備の要をケガで失うと、その後も守備陣を中心に故障者が続出。さすがの名将クロップも手を焼き、一時は8位まで落ち込んでしまう時期も。さらに1月に行われた第18節のバーンリー戦では4年に及ぶホーム無敗記録が「68」でストップ。そしてそこからホーム6連敗という悲劇に見舞われてしまう。それでも、リーグ2位の22ゴールを記録したサラーが気を吐いたこともあり、最後の10試合を8勝2分けと持ち直し、土壇場で3位に滑り込むことに成功した。
リバプールを含め、最後までもつれ込むこととなった4位争いを制したのはチェルシーだ。ランパード体制2年目を迎えていたブルーズだったが、1月下旬に成績不振でレジェンドを更迭し、ほぼ同じタイミングでパリ・サンジェルマンを解任されていたトゥヘル監督を新たに招へいした。するとこの采配が見事に功を奏し、新体制初戦のウルブス戦から10試合無敗で9位から一気に順位を上げると、終盤戦にはウェストハムやシティ、レスターといった上位チームを次々と撃破。最終節ではアストン・ビラに敗れ、最終的にレスターが敗れての4位確保というギリギリの目標達成だったものの、それを帳消しにするビッグタイトルが後に待っていた。
そのレスターは惜しくも5位という結果に。序盤から順位が安定し、トップ4に居座った期間は上位4クラブよりも長かったが、第37節のチェルシー戦と最終節のトッテナム戦の連敗が痛恨に。5シーズンぶりのチャンピオンズリーグ出場は叶わなかった。一方で、FAカップでは52年ぶりの決勝でチェルシーを下し初優勝。この結果、リーグ5位とFAカップ制覇で得られるヨーロッパリーグ(EL)の出場権が重複したため、その資格は6位のウェストハムに回ることに。加えて、来季から新設されるヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)の出場権も6位から7位に繰り下がり、トッテナムが手にすることになった。なお、8位に終わったアーセナルは25年ぶりに欧州大会の出場を逃す結果となった。
ボトムでは、昨季は昇格組ながら9位と躍進したシェフィールド・ユナイテッドが最下位で降格の憂き目に。今季も中位でのフィニッシュが予想されていたが、実際には1月まで1勝もできず、前半の17試合で獲得した勝ち点はわずかに2ポイント。最終的に7勝を挙げたが、6試合を残した時点で降格が決定していた。そして3月13日をもって、2016年5月の就任から3シーズンで3部リーグからプレミアリーグ昇格に導いたクリス・ワイルダー監督が辞任。また、それぞれ19位と18位に終わったWBAとフルアムは、1年でのチャンピオンシップ(2部)降格となった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆DFルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)
プレミア新参のポルトガル代表DFを今シーズンの最優秀選手に推す。優勝したシティにおいて、フォーデンやギュンドアン、さらにはカンセロなど攻撃面で輝いた選手が多かった中、ベンフィカから推定6500万ポンドで加入したセンターバックは、指揮官の臨むビルドアップ能力も備えつつ、クロスに対する位置取りの早さや対人守備はもちろん超一流。加えて24歳ながらリーダーシップも兼備しており、元々守備が課題とされていたシティの最後のピースとしてピタリとハマった。リーグ最少失点だったチームにおいて、32試合に出場し、15度のクリーンシートを達成している。
★最優秀監督
◆デイビッド・モイーズ(ウェストハム)
リーグ戦14連勝を記録したペップも見事だったが、今季のスコットランド人指揮官の手腕は無視できない。2019年11月の就任から2シーズン目を迎えたモイーズ監督は、序盤戦はサイドバックのマスアクとコウファルの運動量を生かした5バックを採用していたものの、マスアクの長期離脱を受けて、次第に[4-2-3-1]に収束。相手によっては3バックも駆使しながら柔軟に1年を戦った。
開幕の2試合を除けば、連敗が1度しかない安定感を保った今季のウェストハム。その核となったのが中盤センターのライスとスーチェクで、屈指のインテンシティを誇る2人のセントラルMFのおかげで守備が整理され、同時にアントニオやフォルナルスの推進力が活性化。昨季に比べて明らかに複数得点する試合が増えた。また、途中加入で9ゴールを記録したリンガードという嬉しい誤算もあり、結果的に6位に終わったものの、最後までトップ4争いに絡む躍進を見せた。
【期待以上】
★チーム
◆ウェストハム
上述のように期待以上の成果を残したチームはウェストハムの他にいないだろう。開幕前はボトムハーフフィニッシュが大方の予想で、降格候補に挙げるメディアも少なくなかったなか、モイーズ監督が見事にその下馬評を覆した。かつて同監督に率いられ、最高4位の成績を収めたエバートンを彷彿とさせる肉食チームを作り上げ、決して厚くはない選手層ながらも崩れることなく戦い抜いた。
全38試合に出場した鉄人スーチェクや、両サイドバックに君臨したコウファルとクレスウェル、テクニシャン・フォルナルスら非凡な才能を持つ選手たちが十二分の実力を発揮し、アントニオはウェストハムにおいてキャリアハイとなる10ゴール5アシストを記録。ビッグクラブには力負けすることは少なくなかったものの、中堅クラブ以下との試合は安定してポイントを奪っていた。冬の移籍市場でユナイテッドから加入したリンガードの覚醒も躍進の一端を担い、今夏に完全移籍に向けて動きがあると見られている。
★選手
◆パトリック・バンフォード(リーズ・ユナイテッド)
苦節およそ10年、プレミアリーグの晴れ舞台でようやく花を咲かせた27歳のセンターFWを選出。18歳からチェルシーに在籍しながらもレンタルを繰り返した苦労人は2018年夏に加入したこのリーズに落ち着き、昨季はチャンピオンシップで16ゴールを挙げてチームの優勝に貢献した。そして、本人にとっても3シーズン半ぶりのプレミアリーグで、開幕からリバプール戦を含む3試合連続ゴールを挙げると、第6節のアストン・ビラ戦ではハットトリックを達成。最終的にリーグ4位タイとなるキャリアハイの17ゴールを記録し、昇格1年目のチームの9位フィニッシュに貢献した。
相手に合わせた策を弄したビエルサ・リーズにおいて、バンフォードは185cmの長身を生かしたポストプレーやしなやかな身のこなしで個の力を発揮した反面、ハーバード大学から特待生としてオファーがあったという俊才を生かした戦術理解度も高かった。17ゴールに加え8アシストを記録するなど、リーグ戦全38試合に出場したバンフォードの貢献度は計り知れない。
【期待外れ】
★チーム
◆シェフィールド・ユナイテッド
プレミア昇格1年目の昨シーズンが嘘のような体たらくぶりとなったブレイズ。2016年当時リーグ1(イングランド3部)に所属していたチームを3年でプレミアリーグまで導いたワイルダー監督の下、2019-20シーズンは9位という好成績を納めたが、今季は開幕から17試合で15敗2分け未勝利でぶっちぎりの最下位に。第18節から5試合で3勝と、挽回の兆しを一瞬見せたが、結局第8節以降、一度も最下位から脱出できず、3月にはワイルダー監督が辞任。史上最速タイとなる6節を残して降格が決定した。来季からは、以前フルアムを5年ぶりのプレミアリーグ昇格に導いたセルビア人指揮官のヨカノビッチ氏の就任が決まっている。
★選手
◆ピエール=エメリク・オーバメヤン(アーセナル)
チームの順位とともに期待外れに終わった。2018年1月に加入以降、ガナーズの主砲として最前線に君臨してきたオーバメヤン。過去2シーズンは22ゴールを挙げて、チーム状況の良し悪しにかかわらず、安定した得点力を発揮していた。
今季はキャプテンとしてもチームを牽引する働きが期待されたが、チームの不調に飲まれる形で10得点にとどまった。また、3月にはかつて指摘されていた遅刻癖が再発し、指揮官アルテタの逆鱗に触れ、先発落ちを科さられる一幕も。加えて結局出場しなかった当試合後には、不貞腐れたのか終了のホイッスル直後にスタジアムを後にした姿勢も批判の的となり、アーセナル加入以来、ワーストのシーズンを送ってしまった。
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前半戦は中堅クラブの奮闘により、近年稀に見る混戦となったプレミアリーグ。アンチェロッティ監督体制2シーズン目を迎え、夏に大型補強を施したエバートンや、プレミアリーグらしい堅守速攻スタイルを貫いたサウサンプトン、そしてモイーズ率いるウェストハムといったクラブが台頭し、見応えのある上位戦を繰り広げていた。
その立役者となったのが主にフォーデン、ギュンドアン、そして新加入ルベン・ジアスの3人。以前からグアルディオラ監督の寵愛を受けていた若きイングランド代表MFは、文字通りその才能を開花させ、リーグ戦28試合で9ゴール5アシストを記録。第17節のチェルシー戦や第23節のリバプール戦で1ゴール1アシストの活躍で一気にスーパースターの仲間入りを果たし、将来のシチズンズを背負って立つ選手として、さらなる成長が嘱望されるシーズンとなった。
また、ギュンドアンは本職のアンカーから一列ポジションを上げたことで得点能力が底上げされ、28試合で13ゴール3アシストの成績に。特にチームがリーグ戦15連勝中だった期間は10ゴール2アシストの量産体制を築き、リバプールとトッテナムとの連戦で2点ずつ奪うなど、ライバルを一気に引き離す上で抜群の存在感を放った。ルベン・ジアスも優勝に大きく貢献した一人で、出場した32試合のうち17試合でクリーンシートを達成。守備に課題のあった昨季のチームを救う、MVP級の活躍を披露した。
そんなシティに大差をつけられながらも、ユナイテッドはサー・アレックス・ファーガソン勇退以降の近年では最も安定したシーズンを送ったと言える。英雄と化したブルーノ・フェルナンデスは37試合で18ゴール11アシストと相変わらずの暴れっぷりで、チームも依存してしまう面もあったが、今季は新加入のカバーニやラッシュフォードが10得点以上の成績を残し、守備ではローンから戻ったディーン・ヘンダーソンが、絶対的守護神だったデ・ヘアから終盤にかけてポジションを奪うなど活性化も進んだ。
3位に入ったのは、シーズンを通じて不振に喘いだ昨季王者のリバプール。序盤にファン・ダイクやジョー・ゴメスといった守備の要をケガで失うと、その後も守備陣を中心に故障者が続出。さすがの名将クロップも手を焼き、一時は8位まで落ち込んでしまう時期も。さらに1月に行われた第18節のバーンリー戦では4年に及ぶホーム無敗記録が「68」でストップ。そしてそこからホーム6連敗という悲劇に見舞われてしまう。それでも、リーグ2位の22ゴールを記録したサラーが気を吐いたこともあり、最後の10試合を8勝2分けと持ち直し、土壇場で3位に滑り込むことに成功した。
リバプールを含め、最後までもつれ込むこととなった4位争いを制したのはチェルシーだ。ランパード体制2年目を迎えていたブルーズだったが、1月下旬に成績不振でレジェンドを更迭し、ほぼ同じタイミングでパリ・サンジェルマンを解任されていたトゥヘル監督を新たに招へいした。するとこの采配が見事に功を奏し、新体制初戦のウルブス戦から10試合無敗で9位から一気に順位を上げると、終盤戦にはウェストハムやシティ、レスターといった上位チームを次々と撃破。最終節ではアストン・ビラに敗れ、最終的にレスターが敗れての4位確保というギリギリの目標達成だったものの、それを帳消しにするビッグタイトルが後に待っていた。
そのレスターは惜しくも5位という結果に。序盤から順位が安定し、トップ4に居座った期間は上位4クラブよりも長かったが、第37節のチェルシー戦と最終節のトッテナム戦の連敗が痛恨に。5シーズンぶりのチャンピオンズリーグ出場は叶わなかった。一方で、FAカップでは52年ぶりの決勝でチェルシーを下し初優勝。この結果、リーグ5位とFAカップ制覇で得られるヨーロッパリーグ(EL)の出場権が重複したため、その資格は6位のウェストハムに回ることに。加えて、来季から新設されるヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)の出場権も6位から7位に繰り下がり、トッテナムが手にすることになった。なお、8位に終わったアーセナルは25年ぶりに欧州大会の出場を逃す結果となった。
ボトムでは、昨季は昇格組ながら9位と躍進したシェフィールド・ユナイテッドが最下位で降格の憂き目に。今季も中位でのフィニッシュが予想されていたが、実際には1月まで1勝もできず、前半の17試合で獲得した勝ち点はわずかに2ポイント。最終的に7勝を挙げたが、6試合を残した時点で降格が決定していた。そして3月13日をもって、2016年5月の就任から3シーズンで3部リーグからプレミアリーグ昇格に導いたクリス・ワイルダー監督が辞任。また、それぞれ19位と18位に終わったWBAとフルアムは、1年でのチャンピオンシップ(2部)降格となった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆DFルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)
Getty Images
プレミア新参のポルトガル代表DFを今シーズンの最優秀選手に推す。優勝したシティにおいて、フォーデンやギュンドアン、さらにはカンセロなど攻撃面で輝いた選手が多かった中、ベンフィカから推定6500万ポンドで加入したセンターバックは、指揮官の臨むビルドアップ能力も備えつつ、クロスに対する位置取りの早さや対人守備はもちろん超一流。加えて24歳ながらリーダーシップも兼備しており、元々守備が課題とされていたシティの最後のピースとしてピタリとハマった。リーグ最少失点だったチームにおいて、32試合に出場し、15度のクリーンシートを達成している。
★最優秀監督
◆デイビッド・モイーズ(ウェストハム)
Getty Images
リーグ戦14連勝を記録したペップも見事だったが、今季のスコットランド人指揮官の手腕は無視できない。2019年11月の就任から2シーズン目を迎えたモイーズ監督は、序盤戦はサイドバックのマスアクとコウファルの運動量を生かした5バックを採用していたものの、マスアクの長期離脱を受けて、次第に[4-2-3-1]に収束。相手によっては3バックも駆使しながら柔軟に1年を戦った。
開幕の2試合を除けば、連敗が1度しかない安定感を保った今季のウェストハム。その核となったのが中盤センターのライスとスーチェクで、屈指のインテンシティを誇る2人のセントラルMFのおかげで守備が整理され、同時にアントニオやフォルナルスの推進力が活性化。昨季に比べて明らかに複数得点する試合が増えた。また、途中加入で9ゴールを記録したリンガードという嬉しい誤算もあり、結果的に6位に終わったものの、最後までトップ4争いに絡む躍進を見せた。
【期待以上】
★チーム
◆ウェストハム
Getty Images
上述のように期待以上の成果を残したチームはウェストハムの他にいないだろう。開幕前はボトムハーフフィニッシュが大方の予想で、降格候補に挙げるメディアも少なくなかったなか、モイーズ監督が見事にその下馬評を覆した。かつて同監督に率いられ、最高4位の成績を収めたエバートンを彷彿とさせる肉食チームを作り上げ、決して厚くはない選手層ながらも崩れることなく戦い抜いた。
全38試合に出場した鉄人スーチェクや、両サイドバックに君臨したコウファルとクレスウェル、テクニシャン・フォルナルスら非凡な才能を持つ選手たちが十二分の実力を発揮し、アントニオはウェストハムにおいてキャリアハイとなる10ゴール5アシストを記録。ビッグクラブには力負けすることは少なくなかったものの、中堅クラブ以下との試合は安定してポイントを奪っていた。冬の移籍市場でユナイテッドから加入したリンガードの覚醒も躍進の一端を担い、今夏に完全移籍に向けて動きがあると見られている。
★選手
◆パトリック・バンフォード(リーズ・ユナイテッド)
Getty Images
苦節およそ10年、プレミアリーグの晴れ舞台でようやく花を咲かせた27歳のセンターFWを選出。18歳からチェルシーに在籍しながらもレンタルを繰り返した苦労人は2018年夏に加入したこのリーズに落ち着き、昨季はチャンピオンシップで16ゴールを挙げてチームの優勝に貢献した。そして、本人にとっても3シーズン半ぶりのプレミアリーグで、開幕からリバプール戦を含む3試合連続ゴールを挙げると、第6節のアストン・ビラ戦ではハットトリックを達成。最終的にリーグ4位タイとなるキャリアハイの17ゴールを記録し、昇格1年目のチームの9位フィニッシュに貢献した。
相手に合わせた策を弄したビエルサ・リーズにおいて、バンフォードは185cmの長身を生かしたポストプレーやしなやかな身のこなしで個の力を発揮した反面、ハーバード大学から特待生としてオファーがあったという俊才を生かした戦術理解度も高かった。17ゴールに加え8アシストを記録するなど、リーグ戦全38試合に出場したバンフォードの貢献度は計り知れない。
【期待外れ】
★チーム
◆シェフィールド・ユナイテッド
Getty Images
プレミア昇格1年目の昨シーズンが嘘のような体たらくぶりとなったブレイズ。2016年当時リーグ1(イングランド3部)に所属していたチームを3年でプレミアリーグまで導いたワイルダー監督の下、2019-20シーズンは9位という好成績を納めたが、今季は開幕から17試合で15敗2分け未勝利でぶっちぎりの最下位に。第18節から5試合で3勝と、挽回の兆しを一瞬見せたが、結局第8節以降、一度も最下位から脱出できず、3月にはワイルダー監督が辞任。史上最速タイとなる6節を残して降格が決定した。来季からは、以前フルアムを5年ぶりのプレミアリーグ昇格に導いたセルビア人指揮官のヨカノビッチ氏の就任が決まっている。
★選手
◆ピエール=エメリク・オーバメヤン(アーセナル)
Getty Images
チームの順位とともに期待外れに終わった。2018年1月に加入以降、ガナーズの主砲として最前線に君臨してきたオーバメヤン。過去2シーズンは22ゴールを挙げて、チーム状況の良し悪しにかかわらず、安定した得点力を発揮していた。
今季はキャプテンとしてもチームを牽引する働きが期待されたが、チームの不調に飲まれる形で10得点にとどまった。また、3月にはかつて指摘されていた遅刻癖が再発し、指揮官アルテタの逆鱗に触れ、先発落ちを科さられる一幕も。加えて結局出場しなかった当試合後には、不貞腐れたのか終了のホイッスル直後にスタジアムを後にした姿勢も批判の的となり、アーセナル加入以来、ワーストのシーズンを送ってしまった。
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