路上で声をかければヤクルトが買えると話題 そもそも「ヤクルトレディ」とは何者だ!?
オフィス街などで時折見かける、ヤクルトの入ったカートを押して歩く「ヤクルトレディ」。1963年に誕生し、58年にわたって個人宅やオフィスへの宅配業務を続けている。
ツイッターでは、このヤクルトレディたちから「直接ヤクルトを購入できる」ことが話題になっている。じつは気軽に声をかければ、誰にでも売ってくれるのだ。
J-CAST会社ウォッチ編集部は2021年5月18日、ヤクルト広報室を取材した。
「ヤクルトレディ」からしか買えない商品もある
ヤクルトの広報担当者によれば、ヤクルトレディからヤクルトを直接購入できることは事実。「Yakult(ヤクルト)1000」など、ヤクルトレディでしか取り扱いのない商品もあるという。
ツイッターでは、この情報に、「知らなかった」との声が相次いでいる。その一方で、現役のヤクルトレディと思われるツイートには、
「配達分とは別に多めに持ってる人多いから声かけて頂いても買えます」「気になる商品とか効能とか聞いてみてください 時々自分たちを実験台にしつつ勉強もしてるので!w」
といったリプライ(返信)が見られる。
そもそもヤクルトレディは、どのような仕事なのか。広報担当者にヤクルトレディ誕生の経緯を聞いた。
「ヤクルトの企業理念は、『私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。』です。そこから、『家庭の健康を守るのは主婦であり、主婦同士の方が話しやすいだろう』という考え方のもと、1963年に『婦人販売店システム』を全国に導入しました」
当初は「ヤクルトおばさん」の呼称で親しまれてきたが、1983年頃からは「ヤクルトレディ」と呼ばれるようになった。
その数はピーク時で約6万5000人(73年、国内の人数)にのぼったが、現在は約半数にまで減少。2021年3月末時点で、3万2847人となっている。広報担当者によれば、労働環境の変化により女性の働き口が多様化したのが要因の一つだという。
男性の「ヤクルトレディ」も存在
ヤクルト「レディ」というだけあって女性のイメージが強いが、じつは女性に限らない。
「基本的には主婦の方が対象となりますが、ごくわずかに男性の方もいらっしゃいます」
と、広報担当者。
ヤクルトレディの年齢層は10〜20代の若手から、50年以上仕事を続ける70代以上のベテランまでと幅広く、平均年齢は45歳前後だ。
移動手段は自動車が主流。自動車45%、三輪バイク30%、自転車20%、その他5%(2020年3月末時点)が内訳で、街で見かけるカートを押して歩くヤクルトレディは少数派ということになる。
1日の訪問数は20〜30軒前後。稼働時間はヤクルトレディ誕生のころから変化しているといい、
「ヤクルトレディ誕生の頃は、早朝に決まったお客さまにお届けするスタイルが中心だったようです。しかし、時代の変化に合わせて働き方が変わり、現在は日中のお届けが中心です」
と広報担当者は話している。
このほか、「お客さま情報」の管理は紙の手帳から、携帯情報端末に。インターネット上で注文できるサービス「ヤクルト届けてネット」を開始するなど、IT化が進んでいる。
ヤクルトレディの仕事は商品の販売にとどまらず、健康アドバイザーとしての役割も担っている。仕事で大変だと思うところを広報担当者に聞いたところ、
「地域の皆さまに信頼される存在となるため、日々、健康情報、商品情報などについて学び、常に知識の向上に努める必要があります。そういった点は大変かもしれませんが、やりがいを持ってやっていただいていると考えています」
とのことだった。
今回ツイッターでヤクルトレディが話題になったことについて、広報担当者は、
「ヤクルトレディが話題となることはありがたく思います。ご興味がある商品がございましたら、ぜひヤクルトレディにお声掛けください」
と話している。