就職人気ランキング・女子学生版のトップは伊藤忠商事、2位明治グループ、3位博報堂と続く。

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女子就活生が選んだ就職人気企業とは (写真:jessie/PIXTA)

文部科学省と厚生労働省が調査・発表している「大学等卒業予定者の就職内定状況」によると、今春卒業した2021年卒の就職内定率は2月1日時点で89.5%。これを男女別に見ると、男子88.1%に対し、女子は91.2%と、女子就活生のほうが3.1ポイント高い。

最終的な内定率は女子就活生のほうが高い

女子就活生の就職率が高い現象は、ここ数年続いている。同じ2月1日時点の就職率でみても、2013年卒以降ずっと女子の就職率が男子を上回る。就職の序盤は、男子学生が多い理系の内定が早く出るため、男子就活生の就職率が高いが、徐々に差がなくなり、最終的には女子就活生の内定率が高くなる。コロナ禍の就活でもその傾向は大きく変わっていないようだ。

ただ、志望する企業や業種は、コロナ禍によって大きく変わった。


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4月4日の配信記事「2.5万人の就活生が選ぶ『就職人気ランキング』」で、来春卒業予定の2022年卒生の就職人気企業を紹介した。同時に男女別、文理別といった属性別のランキングも作成している。今回は女子就活生1.5万人に絞った「就職人気ランキング・女子学生版」の上位100社からその傾向を探っていきたい。

文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所では毎年、興味を持っている企業を就活生に尋ねる「就職ブランドランキング調査」を実施し、定期的に発表している。

調査対象者は、就職サイト「ブンナビ!」に登録する現在就活中(2022年春卒業予定)の大学生や大学院生。2020年10月1日から2021年3月15日までの調査期間の間に、全体で2万5000人(男子1万人、女子1万5000人)以上が回答している。

ランキングで「前半」と表記しているのは、調査を就活時期の前半と後半にわけて実施しているためで、あこがれやイメージが強い就活の「前半」と、実際の説明会や面接を経た「後半」との傾向の違いを分析している。

まず大きな特徴は、これまで人気を誇っていたエアライン業界離れだろう。

2018年卒から2021年卒までANA(全日本空輸)が4年連続で女子就活生のトップの座を保ち続けていたが、首位陥落どころか128位と、トップ100にも入っていない。同じくエアライン大手の日本航空(JAL)も同様で、昨年5位から141位まで順位を下げた。これまで上位に顔を出していたグループ企業もランキング外になっている。

もちろん原因はコロナ禍による航空需要の低迷と、「採用中止」。ANAとJALは2021年卒に続き、2022年卒の採用についても、客室乗務員や地上職の募集を中止。継続しているのはパイロットや障害者雇用などごく一部に限られている。

同様に旅行業界への志望も消え、JTBやHISなど、昨年まで上位にあった旅行関連企業は、軒並み100位圏外に沈んだ。

男女ともに伊藤忠商事がトップ

一方、今年の女子就活生のランキングトップに立ったのは伊藤忠商事。男子だけでなく今年はじめて女子でも1位に輝いた。

2位は明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)。人気の食品メーカーの中でも安定的に上位にランクインしている。3位は博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、4位日本生命保険と続く。

金融の人気は安定的で、日本生命保険のほか、6位損害保険ジャパン、10位大和証券グループと3社がトップ10にランクイン、生損保、証券を中心に上位に顔を出している。

5位集英社、7位講談社と出版大手2社がそれぞれ昨年から大きく順位を上げた。巣ごもり需要や電子コミックの好調が伝えられる中、女子就活生の間でも「コロナに負けない企業」として評価されていると思われる。

8位にはソニーミュージックグループ、9位にはロッテが入っている。

全体的にみてもコロナ禍の影響を受けた企業は順位を下げ、影響が少なかった企業は順位を上げている。女子就活生はそうした足元の状況を見ながら志望企業を選んでいると思われる。



■調査について
調査主体:文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所
調査対象:2022年春入社希望の「ブンナビ!」会員(現大学4年生、現大学院2年生)
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙・アプリアンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌&デジタルブック内QRコードアンケート
*投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式
調査期間:2020年10月1日〜2021年3月15日
回答数:25125(うち男子10100・女子15025/文系20628・理系4497)
総得票数:70887票
「就職」を重視する学生は「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下で、ランキングを算出。
就職者誘引度は、学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度5、仕事イメージのみで投票した場合は95とし、得票平均値を就職者誘引度としている。
総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。
社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。社名変更等で調査時の社名と異なる場合がある。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記。