JRバス高齢運転手らの「コロナ雇止め」、無効求めて労働審判
JR東日本の100%子会社「ジェイアールバス関東」の土浦支店で働いていた65歳以上の有期契約のドライバーら7人が雇止めされたことなどを不服として4月9日、東京地裁に労働審判を申し立てた。
コロナ禍での業務量縮小などが理由とされているが、2020年9月に雇止めされた有期労働者は、同支店の労働組合員だけだったという。
申立人の一人は同日、厚労省記者クラブでの会見で、「コロナで業務量が縮小している。若い人たちの雇用を確保するため受け入れたが、実は組合つぶしだった」と語った。
ただし、組合側によると2021年に入ってから、組合員以外の雇止めも起きているという。
●社長は2020年4月に「財源ある」と社内メール
労働契約法では、契約が反復更新されるなど、労働者に契約更新の「期待権」が生じていると認められるときには、正社員を解雇するときのように雇止めのハードルが高くなる。
労働者側は、同社では健康上問題がなく、希望すれば70歳までは有期雇用で働けることが慣例となっていたなどと主張。正社員時代から通算すると、長期間バス運転手として働いてきたことも踏まえ、更新への合理的期待があったと訴える。
そのうえで、会社が雇用調整助成金を利用していることや、同社の社長が2020年4月に「会社発足以来33年、ほぼ毎年利益を出し続けてきた」「この財源を使って、社員の皆さんの生活を安定的に維持していく」といった内容のメールを送っていることなどから、雇止めの必要性や回避努力などがなく、不当だとしている。
会社側は取材に対して、「申立て内容を把握しておらず、現時点ではコメントを差し控える」と回答した。