約10年で10倍以上の伸び! いまマイナーブランドだった「Jeep」が日本でバカ売れするワケ
もはやブームという言葉ではおさまらないほどの人気ぶり
日本でJeepが売れている。日本輸入車輸入組合によると、2020年の日本国内販売総数は1万3588台となり、前年比では101.7%、また国内輸入車のシェアでは4.27%となった。
この数が多いのか少ないのか、といえば「とても多い」というのが自動車業界関係者の共通な意見だろう。
同年の輸入ブランド別の順位で見れば、第1位のメルセデス・ベンツ以下、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、BMW MINI、ボルボとなり、その次にJeepが位置し、プジョー、ポルシェ、ルノー、フィアット、シトロエンなどを抑えているのだから。
長年渡り、日本でアメ車はマイナーであり、アメリカ政府からは再三「非関税障壁を撤廃すべき」といった要求がなされてきたが、Jeepについてはそうした「アメ車に対する固定概念」が良い意味で通用しないといえる。
日本でJeepの販売数が増えたのは2010年代に入ってからで、2010年代後半から一気に火が付いた印象がある。
2009年では2020年実績の10分の1以下である1010台に過ぎなかったが、2013年に約5000台、2010年代後半に1万台を超えるようになった。
2020年はコロナ禍にもかかわらず、緊急事態宣言下での第2四半期こそ前年同月比約33%減となったが、第4四半期には39%増と急激な回復から更なる成長基調を示している。
こうした日本におけるJeepの実情を見ていると、「もはや一過性のブームではなく、Jeepは日本にしっかりと根をおろした」と見る自動車業界関係者が多い。
ライバル不在の「個性」が鍵
最大の理由は、クルマとしての個性だ。オフローダーという、しっかりとして商品性があり、いわゆる機能美としてエクステリアとインテリアのデザインが確立されている。
2010年代後半に、かなり大きなモデルチェンジを行い、各種装備を含めて最新化されたことで、普段使いでの利便性が一気に上がっている。
近年は、キャンプブームであり、そうした場面でJeepが本領発揮するのは当然のことだが、オフロードにも安心していけるという心の余裕を日常的に感じること自体が、Jeepに対する所有の歓びにつながっているともいえる。
これは、スズキ・ジムニーや、メルセデスベンツGクラスでも同様のユーザー心理だ。いわゆる、ギア(機能を持った器具)を主体としてアウトドアファッションという解釈ができる。
また、価格としては、輸入車でのメルセデスベンツGクラスや、レンジローバーなどと比べて、リーズナブルである。さらには、近年のJeepはリセールバリュー(下取り価格)が上昇しており、Jeep新車への買い換え需要も上昇していることも、Jeep販売数の増加に寄与している。
日本でのJeep人気、まだまだ高まりそうだ。