0-3と日本代表に敗れた韓国代表【写真:Getty Images】

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数々の日韓戦を見てきた“アジア通”記者も驚いた、韓国守備陣の集中力の欠如

 日本代表(FIFAランク27位)は25日、日産スタジアムでの国際親善試合で韓国代表(同38位)と対戦し、3-0で完勝した。

 日韓戦での勝利は2013年7月以来8年ぶり、完封は11年の札幌での親善試合(3-0)以来10年ぶりとなった。かつてAFC(アジアサッカー連盟)の機関紙「フットボール・アジア」編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、20年以上にわたってアジアサッカーを追う英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、日本の“宿敵”韓国代表の無気力ぶりに愕然としている。

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 アジアのサッカー界において、日韓戦は無意味という言葉とは無縁な存在だった。東アジア選手権やE-1選手権における“3軍同士”の対決でも、理解不能な衝突があった。両国代表に選ばれた選手をかき立てるライバル心と激しさが、フィールドには常に存在したのだ。

 最近の記憶から、ここまで日本が圧勝したことがあっただろうか。2017年のE-1選手権で韓国代表がバヒド・ハリルホジッチ率いる日本を4-1で圧倒した味の素スタジアムの空気を今でも覚えている。12月の寒さとともに、惨敗でスタンドとプレスルームの雰囲気は、ワールドカップ(W杯)やその予選ほどの重要性がないにもかかわらず、耐えがたいものとなった。

 日韓戦で惨敗するという暗く、あまりにつらい感覚は、ソウルに戻るパウロ・ベントとそのチームが今回受け入れることになる。

 ベントのチームは、見るべきところがほとんどなかった。特に前半、日本は宿敵を支配し、主導権を握った。それも余裕で。

 日本の前線からのプレスは有効だったが、韓国守備陣の集中力の欠如こそがこの試合のハイライトだろう。時に無気力状態で棒立ちとなり、信じられないことに興味すらなさそうだった。日本に先制されるのは時間の問題だった。

 大迫勇也は、この試合での重要性を示した。彼がメンバーにいるといないで、日本代表はレベルが変わってしまう。フィジカル、機動力、オフ・ザ・ボールの動きで見せる知性こそが、日本の攻撃を別次元に引き上げる。

 両軍ともに、多くのキーメンバーを欠いていた。日本は長友佑都、酒井宏樹、堂安律、原口元気、柴崎岳を招集できなかったが問題はなかった。遠藤航と守田英正の中盤での連係は、韓国の脅威をほぼ無効化した。

日本代表は「勤勉さと献身を示した」

 クラブでは圧倒的な活躍を見せながらも、韓国代表ではフラストレーションを隠せないことも多いソン・フンミンが仮にこの試合に出場していたとしても、大きな違いはなかったかもしれない。

 森保一のチームは、勤勉さと献身を示した。伊東純也は45分間、タッチライン側でスピードを示し、堅実なプレーをみせた。デビュー戦となった山根視来を支えながらも、韓国守備陣を脅かし続けた。

 日本の完璧なまでの勝利は、多くの人々に南野拓実の失望のパフォーマンスを忘れさせるほどだったかもしれない。プレーメーカーは才能を示したが、シュートの場面ではスパイクを履き忘れてしまったのだろうか。これまで何度テーマになっただろう。日本は遠藤の3点目が決まる遥か前に、勝負を決することができたはずだった。

 南野は最低でも1点、いや2ゴールを決めることができたはずだ。チームメートの素晴らしいお膳立てに加え、この日の役に立たない韓国の守備陣相手だったならば。だが、このミスも木曜の夜には大事に至ることはなかったが、W杯予選では取り返しのつかないミスになることもある。(マイケル・チャーチ/Michael Church)