XFN-ASIAによると、中国人民銀行(中央銀行)は先週末、年次報告書を発表し、その中で、今年の為替改革の一環として人民元の柔軟性を促進する意向を改めて示した。同行は、人民元相場の柔軟性を高めるが、均衡のとれた適切な水準での安定を図るとしている。また、景気拡大を支えている貸し出しとマネーサプライの急速な伸びについては、公定歩合や日々の金融調節、支払い準備率(中銀に預ける当座預金残高の比率)の政策の組み合わせを通じて、抑制していくとしている。

  人民銀行は、個人消費が伸び悩んでいるが、投資の回復圧力が高まっていることを認めている。1−3月期の固定資産投資は、前年比27.7%増と政府目標の同18%増を大幅に上回っており、1−4月の新規貸し出しも1.57兆人民元と政府の今年の年間目標2.5兆人民元の半分以上に達している。さらに、4月末時点のマネーサプライM2(現金・要求払い預金と定期性預金)の伸び率も前年比18.9%増と政府の2006年目標の同16%を上回るハイペースで拡大しており、第11次5ヵ年計画の初年度にあたる2006年にはインフラ建設の主要プロジェクトの多くが始まることから、投資に弾みがつきやすい状況にある。

  また、同報告書では、資金の多くが資本集約型産業の大企業に流入しており、半面、雇用吸収力の高い中小企業は数々の問題に直面していると指摘。また、経済の構造調整に取り組む過程で、銀行には今後、不良債権の問題が高まる可能性があるとし、金融リスクが高まる危険性を警告している。物価動向については、電気やガスといった光熱費など上昇圧力と過剰生産による下落圧力の両方があるため、先行きは不透明とした。【了】