「口に入れた瞬間ヤギの群れが走り去っていく」 沖縄物産店の衝撃POPが話題→食べてみたら、マジだった
いったいどういうこと......?
味のイメージがつかなすぎて思わず足を止めてしまいそうなPOPが、ツイッターで注目を集めている。
ヤギの群れが...(画像はのそ子@nosonosoさん提供、編集部で一部トリミング)
これは2021年3月4日、羊毛フェルト作家ののそ子さん(@nosonoso)が
「えっ群れで???????????」
とコメントを添えて投稿した画像だ。
沖縄の郷土料理である「山羊汁」。ヤギの肉と骨を煮込んだスープだ。
沖縄ハム総合食品が販売するそのレトルト商品の隣に、書かれているのは、
「口に入れた瞬間
ヤギの群れが走り去っていく」
というなんとも衝撃的なフレーズである。
山羊汁ということで、もちろんヤギの味はするのだろうが、それが群れで、しかも走り去っていくらしい......。想像するだけで迫力がある。
このPOPに、ツイッターでは
「なんてワイルドな......」
「群れ......こわい......」
といった反応の他に、
「その解説、超的確です」
「すごいわかる」
「山羊汁は食べると胃の中で山羊がメェメェ走る感覚を味わいがちなので間違いじゃない気がする」
と、山羊汁経験者と思しきユーザーからの同意の声も見られた。
内容は担当者の「実際の感想」
5日、Jタウンネットが投稿者ののそ子(@nosonoso)さんを取材したところ、このPOPを発見したのは沖縄物産店(アンテナショップ)の「銀座わしたショップ本店」(東京都中央区)だそう。
のそ子さんは、そのときの感想を
「まずヤギは単体ではなく『群れで...???』と数で押されたうえに『去ってくの...????』と2段階で目を奪われました」
と語る。
いったい、どうしてこのようなPOPが誕生したのだろうか。同日、Jタウンネットは「銀座わしたショップ本店」を取材した。
取材に応じたのは、このPOPを作った本人だという泡盛売り場の担当者。
以前、山羊汁を担当していた人から依頼され、5年以上前にこのPOPを作ったそうで、「泡盛の売り場には私が書いたPOPが他にもいろいろあります」とのこと。それも気になる......。
えっ群れで??????????? pic.twitter.com/Gfhbzx0eNP
— のそ子/羊毛フェルト動物本発売中 (@nosonoso) March 4, 2021
そんな担当者に早速、この強烈なポップの誕生経緯を尋ねると
「やはりPOPなので、お客様に足を止めていただくためにインパクトのあるものを......と思い、作りました。
また、山羊汁はクセの強い商品なのですが、それだけ書くとお客様に買っていただけなくなると思い、このようにキャッチコピー的な感じにしました」
と説明。また、この「ヤギの群れが走り去っていく」という表現については、担当者の「実際の感想」だという。
以前は沖縄県名護市の酒造メーカーに勤めてたという担当者は、
「当時の上司に連れていってもらった山羊汁屋さんで、初めて山羊汁を食べました。
そのとき、上司に『ヤギの脂が胃腸の中で凝固しちゃうから、ヤギ料理を食べたあとは冷たいビールを飲んだりしちゃダメだよ。口に入れたら、ヤギが体の中を走り去っていくのを邪魔しちゃダメだよ』と言われました。
実際、その通りにしたのですが、まさに生きたヤギが暴れながら走り去っていくような感覚で......」
と話し、その体験をPOPにしたと説明する。
また、担当者によれば、ヤギに脂が多いのも事実だそうで
「食べたあとは口の周りがテカテカになります」
と話した。しかし、食べてみるとそんなにしつこくはないそうで......。
POPに書かれた言葉の意味は分かったが、それでも味のイメージは全然つかない。
やはり実食あるのみ。
ということで、本当にヤギの群れが走り去っていくのか、山羊汁どころかヤギすら食べたことのない筆者が食べて確認してみることにした。
濃厚だが後味はすっきり
早速、「オキハム」の山羊汁を手に入れた筆者。
内容量は500グラムで、手にしてみるとずっしりと重い。
沖縄ハム総合食品の山羊汁(画像は編集部撮影)
では、パウチの裏の説明に従って、山羊汁を温めていこう。
鍋に中身を移し替えて煮込んでもいいそうだが、脂が多いとの事前情報を聞いていた筆者は、油のついた鍋を洗う手間が面倒なのでパウチのまま湯煎することにした。時間は5分。
ドキドキしながら温めた(画像は編集部撮影)
5分経ち、鍋から取り出したパウチをいざ開封。
開けた瞬間に、ぶわっと強い匂いが立ち込める。
なんとなくジンギスカンを連想した筆者だが、一方で、偶然台所に居合わせた家族からは「クジラの缶詰の匂いがする」とのコメントも。どちらにせよ、独特なジビエの匂いだ。
山羊汁の完成(画像は編集部撮影)
丼に移すと、黄金色のスープとごろごろと塊のヤギ肉が現れた。
500グラム入りとあって、お肉のボリュームがすごい。これは食べ応えがありそうだ。
また、「銀座わしたショップ本店」の担当者が言っていた通り、脂もすごい。見た目から、ラーメンスープのような濃厚さを感じる。ヤギはどことなくヘルシーな見た目だったので、意外だ......。
実食(画像は編集部撮影)
緊張しながら、いざ実食。
大きめの肉を口に入れて繊維をかみしめると、ぶわりと濃い味が広がる。
なんとも野性味あふれるその味は、口に向かってヤギの大群が走り込んできたような強烈さがある。しかし、それも束の間のことで、すぐにすっと後味が爽やかなものに変わった。原材料を見てみると「おろし生姜」とあったので、生姜の香りだろうか。
なるほど、確かにヤギの群れが走り込んできて、そのまま去っていく感覚があった。
しかも、颯爽と去っていったわりには、しばらくはヤギの群れがいた痕跡が鼻に抜けていく......。実に不思議な感覚である。
スープも濃厚で、癖になる味だ。脂が多いが食べやすい。
これは冷たいビールを飲みたくなるのも頷けるが、残念ながら筆者は仕事中、その上、なにより飲むと胃の中で脂が凝固していくという噂なので、そのままひたすらに口から胃へ、ヤギたちを駆け抜けさせ続けた。
「口に入れた瞬間
ヤギの群れが走り去っていく」
衝撃的すぎた今回話題のPOP、筆者としてはまさにその通りのものであった。
ヤギの群れがどんなものなのか、気になった方はぜひ実際に食べてみてほしい。