気温が高い日が多くなり、めっきり春めいてきた今日この頃。しかし、春といえばつきものの“花粉”が存在感を増してきています。花粉の原因はアレルギー。日本アレルギー学会は、毎年2月20日を「アレルギーの日」、2月17〜23日の1週間を「アレルギー週間」と定め、啓発活動を行っています。2月22日放送の『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP•O•N』では、藤田医科大学 総合アレルギーセンター センター長の堀口 高彦先生に「アレルギー」についてのお話を伺いました。

異物から身を守る働き

2人に1人は、なんらかのアレルギー疾患を持っている「アレルギー大国」の日本。
そもそも、アレルギーとは一体どういうものなのでしょうか。

私たちの身体には「免疫」という機能があります。
これは身体に異物が入ってきたときに、その異物から身体を守るための仕組みです。

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」または「抗原」といいます。

抗原が身体の中に入ると、その抗原を異物とみなして排除しようとする機能が免疫機能です。

このとき身体の中に抗体が作られ、再び抗原が身体に入って来たときに異物から身を守る働きをします。

この抗体が過度に働きすぎた結果、アレルギー症状として身体に現れてしまうというわけです。
 

免疫機能の暴走

春はスギ花粉の季節。
花粉が鼻に入ると鼻水で、目に入ると涙で洗い流そうとします。

このように身体が過剰に反応する状態がアレルギーです。

免疫は、人間の身体にとって本来なくてはならない仕組み。

免疫反応があるということは、身体にとっては非常に良いことなのですが、これが過剰に発現するとアレルギーとなってしまいます。

しかし、なぜ日本ではアレルギーを持つ人が多くなってしまったのでしょうか。
 

汚れに慣れていない現代人

その昔、日本では結核や腸チフスなどの細菌感染症で多くの人が亡くなっていました。

発展途上国では現在も同じ状況。しかし、発展した国ではアレルギー反応が多く見られます。

つまりアレルギーは、環境の変化とともに起きた過剰な免疫反応なのです。

昔は便を調べる寄生虫検査がありましたが、最近では行っていません。

さらに抗生物質の発達により、感染症は極めて減少しています。

世の中が衛生的になったためアレルギーが増えたとする仮説を「衛生仮説」と呼びます。

昔は床に落ちたものでも「フッ」と吹いて食べていましたが、今は捨ててしまいます。

世の中が清潔になること自体は大変良いことですが、そのために現代人は生まれつき汚れに慣れていません。

成長してから汚れや異物が身体に入って来ると身体がビックリしてしまい、免疫が過剰に働くことでアレルギー症状として現れてしまうのです。
 

アレルギーの行進「アレルギーマーチ」

生まれてからの環境は個人差があるため、アレルギー症状も人によって大きく異なります。

いま注目を集めているのは、「アレルギーマーチ」と呼ばれる言葉。

アレルギーはいろいろな臓器にできるもの。

例えばこどもにアトピー性皮膚炎が出て、食物アレルギーが出て、アレルギー性鼻炎が出て、気管支の病気であるぜんそくなどの疾患が出ることがあります。

このように、同一の個体において異なる時期にアレルギーが連続的に現れる様子が、あたかも“行進”のようであることから、「アレルギーマーチ」と呼ばれているのです。
 

「現代病」であり「国民病」

アレルギーは明らかに「現代病」であり「国民病」である、と堀口先生。

堀口先生の実感としても、アレルギーは年々増加しているといいます。

アレルギーはまだまだ未解明の部分が多く、原因や悪化する因子もさまざま。

同じ量の花粉を浴びても、花粉症を発症する人、しない人、遅れて発症する人など、それぞれ異なります。

アレルギー発症のメカニズムや悪化する因子は少しずつ解明されはじめ、治療も進化してきてはいますが、まだまだ厄介な病気に我々現代人は悩まされているのです。
(minto)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2021年02月22日07時19分〜抜粋(Radikoタイムフリー)