投手練習で調整した楽天・田中将大【写真提供:楽天野球団】

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20日の日本ハムとの練習試合で実戦初登板、多彩な変化球出し惜しみせず「隠そうとかはない」

 楽天に8年ぶりに復帰した田中将大投手が、20日の日本ハムとの練習試合(沖縄・金武)で実戦初登板に臨む。19日はキャッチボールやランニングなど軽めの調整。2013年11月3日の巨人との日本シリーズ第7戦で胴上げ投手となって以来、国内では2666日ぶりの登坂となる。テーマは恩師の故・野村克也氏の“遺言”でもある「投球フォームのバランス」だ。

 現役バリバリのメジャーリーガーの降臨に全国のファンが心を躍らせていることは、マー君自身も自覚している。初登板を前に「(公式戦開幕へ向けて)準備していくことに変わりはないので、そこ(実戦初登板)は強く意識していなかった」としながらも、「実際にイーグルスのユニホームを着て他のチーム相手に投げるので、その姿を皆さんに楽しみにしていただけたらと思います」と受け合った。

 現時点では「正直言って、結果は大事だと思わない」。テーマとなるのは「まずはしっかり制球できるかどうか。そのためには、いいフォームで投げなければいけない。1番はそこですね」と明かした。

 プロ入り当時に楽天監督だった野村氏の一周忌だった11日。田中将はかつて口を酸っぱくして叩き込まれたこととして、困った時にいつでも打者の外角低めにコントロールできる「原点能力」と、「投球フォームのバランス」の2点を挙げた。

石井監督「初登板は必ず悪い面が出る。最初のステップを踏めればいい」

 投球フォームが崩れれば、コントロールがつかないのはもちろん、球威のあるボールを投げるのも難しくなる。実際、田中将はプロ1年目の2007年、186回1/3を投げてリーグワーストの68四球を与え、与四球率(与四球×9÷投球回)は3.28に上った。これが楽天最終年で24勝0敗という超人的な成績を残した2013年となると、212回で32四球と半分以下に減少して与四球率は1.36。ヤンキースに在籍した昨季は、コロナ禍で10試合登板にとどまったが、48回で8四球、与四球率1.50だった。

 伝家の宝刀スプリットをはじめ、スライダー、カットボール、ツーシームなど多彩な変化球を操る田中将は練習試合でも「投げないでおこうとか、隠そうとかはない。真っすぐを1番の基本に、変化球もそれなりに投げていきたい」と明言。そこでも「いろんな球種を持っていますけど、全て、いいバランスで投げられるかどうかというところでつながってくる」と強調した。

 石井一久GM兼監督は「皆さんは最初からビチビチの投球を見たいでしょうが、初登板は必ず悪い面が出るもので、そこから徐々に固めていく作業がピッチャーには必要です。最初のステップを踏めればいい」と周囲の興奮を抑えるように言った。

 それでも20日には相手の日本ハムも、高校時代に甲子園を沸かせた3年目の吉田輝星投手が先発し、田中将にとって駒大苫小牧高の後輩に当たるドラフト1位ルーキーの伊藤大海投手(苫小牧駒大)も登板する見込み。田中将は伊藤へ「自分がいた高校からプロ入りする選手は多い方がいい。ドラ1で注目されている選手ですし、楽天にとって脅威になってくると思う」とエールを送った。マー君復帰を巡りヒートアップは止まりそうにない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)