1962年に日本で最初の高速道路がつくられた

 移動の自由という言葉があって、それを象徴するのがクルマだ。好きなときに、好きなだけ、好きな人と一緒に好きなところに行くことができるのが、まさにクルマならではのメリットとなる。とはいえ、クルマそのものが進化しても意味はなく、道路も一緒に進化しないと実際のところ、移動は大変だ。もし一般道だけしかなかったら、趣味で旅行するならいいが、観光や仕事での移動はかなり大変だろう。

 そういう視点からみると、高速道路はとても重要な施設だ。日本の交通網を大幅に進化させたという点では、新幹線と同じくらいの意義があったといってもいいだろう。また、高速走行に耐えうる性能を確保するという点では、自動車の進化にも貢献している。しかし、日本の高速道路がどこから、いつはじまったのかというと正確なところはあまり知らないかもしれない。

 世界的には高速道路の建設は戦前からはじまっていて、よく知られているのはドイツのアウトバーンで、1932年から作られ、ヒトラーによって整備されたもの。アメリカでも1940年代に高速道路網が整備された。

 一方の日本はというと、高速道路で全国を結ぶという構想はあったものの、戦争の悪化だけでなく、そもそも自動車産業自体が未熟だったことから、計画倒れで終わっている。戦後になって、田中角栄などの奔走によって、次第に具体化していく。ちなみに、現在でもガソリン価格が高い原因とされる、揮発油税を徴収して道路建設の財源にするというのは1953年に考えられたものだ。

 1960年代になるとモータリゼーションとともに、高速道路が建設されるようになる。イメージ的には東名高速道路が一番早いように思うかもしれないが、都市高速として作られた東京の首都高速が1962年で最初。そして都市間高速としては、1963年に開業した名神高速道路の兵庫県尼崎ICと滋賀県栗東ICの間、71.1kmが最初となる。その後、名神高速道路は順次開通して、1965年に全線が開通している。

 当初は東が先か、西が先かという議論があったようだが、結局、東名高速道路は1968年に部分開通して、1969年に全線が開通しているので、名神高速道路と比べると遅く、東京オリンピックにも間に合っていない。ただ、東京オリンピックについては首都高の整備で対応し、東名高速道路については関係なかったといっていい。

 その後、1970年代になると、現在の主要高速道路の建設がはじまって、1980年代に続々と全線が開通する。主なところでみていくと、1982年=中央自動車道、1983年=中国自動車道、1985年=関越自動車道、1987年=東北自動車道、1988年=北陸自動車道となる。

 その後も各地で建設が進み、現在も伸長しているが、政治がらみの地元誘導や通行料プール制による建設費の捻出などの問題は以前からあるし、通行量の伸び悩みによる赤字路線の増大など、時代ごとに問題を抱えているのも事実。自動運転時代到来によって、今後どう整備されていくのか、興味があるところだ。