画像:半沢直樹(TBS公式サイト)

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 今年は新型コロナの影響もあり、ドラマ業界にも大きな変化があった1年だった。ほとんどのドラマが放送延期や撮影中止を強いられ、「密」や「濃厚接触」を回避するために恋人同士がキスをする・抱き合うシーンが限られるようになり、さらに内容面でも医療やウイルスの話題については触れづらいといった現状が今も続いている。

 そんな中で国民が在宅で過ごす時間が多くなったこともあってか、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)や『JIN−仁− レジェンド』(TBS系)といった再放送ドラマが軒並みヒット。さらに7年越しの続編『半沢直樹』が社会現象を巻き起こしたほか、ネット配信ドラマが定着し始めるなど、ドラマ業界が再び活気づいたことも事実だった。

 そんな1年を総括して、数名のテレビ業界関係者に「今年最高のドラマと最低のドラマ」を忖度ナシで選んでもらった。彼らが選んだドラマは何だったのか?

◆『半沢直樹』のスゴさと気になる続編のウワサに進展が

 まずは、某キー局で多数のドラマを手掛けてきた元プロデューサーで、現在はコンテンツ事業部で働くA氏だ。

「今年もTBSの一強でしたね。『半沢直樹』(日曜午後9時〜)は続編まで7年も費やしたこと、コロナ禍の真っ只中で始まったこともあり視聴率面でやや不安視する声もありましたが、蓋を開けてみると全話平均視聴率20%超え、最終回視聴率は32.7%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するビッグヒットですからね。“さすが”の一言に尽きましたね。

 キャスト陣の豪華さ、キャストとスタッフの熱量、カメラワークに演出など、どれも取っても妥協を一切しておらずテレビドラマの底力を感じました。唯一心配されていた脚本家が変わった点も問題なしでしたね。複数の作家が一丸になってやや複雑な展開をテンポよくキャッチーに見せる工夫をしているのが見受けられました。堺雅人さん、香川照之さん、市川猿之助さん、片岡愛之助さんたちばかりが話題になっていましたが、脇を固める役者たちも見事。

 続編についてですが、出演者のスケジュールや本人たちの意向もあり現段階では白紙状態のようです。やるとすれば、誰かをフィーチャーしたスピンオフになるのでは……との話です」

 それから『私の家政夫ナギサさん』(火曜午後10時〜)もキャストと脚本がよかったですね。結末に賛否両論があったようですが、1話からしっかり見ていくと多部未華子さん演じるメイと大森南朋さん演じるナギサが急接近するのは自然な流れでしたし、久しぶりに優しい気持ちになれるドラマでした。同作で脚本を担当した徳尾浩司さんは『おっさんずラブ』に続いてのヒット作になり、今や“ラブコメディの名手”として各局からオファーが殺到していると聞いています」

◆原作の奇抜さにこだわりすぎた『浦鉄』は失敗に……

 一方で、A氏に「最低のドラマ」も選んでもらった。

「最低を選ぶのは難しいのですが、人気コミックが原作の『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系、金曜深夜0時12分〜)ですかね。チャレンジングな試みでしたし、原作に忠実なキャスト選びにもこだわりを感じましたが、肝心のストーリーもブッ飛びすぎていて、視聴者が置いてきぼりになってしまったかな」

◆昭和ドラマのダサさを逆手に取った『M 愛すべき人がいて』

 続いて、キー局の若手女性プロデューサーB氏はこんな作品たちを挙げてくれた。「SNSでも話題になっていた『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系、土曜午後11時15分〜)ですね。大映テレビのメロドラマ風と言われてピンとくる世代ではないのですが、強烈なキャラクターや妙なセリフ回しに思わず“ツッコミ”を入れていましたし(笑)、ついつい続きが気になってしまう作りになっていてハマりました。脚本を手掛けたのが放送作家の鈴木おさむさんだけあって、ネットでのツッコミ合戦まで予見して作っていたのだと思います」