閉経をはさんだおよそ10年間は更年期と呼ばれ、すべての女性に訪れます。
心身に起こる変化は人によってさまざま。元編集者・ライターで、現在はボディセラピストとして活躍する日比響子さんも54歳で更年期の不調を感じるように。

ここでは、更年期外来を受診しスタートしたホルモン補充治療や、体に起きた変化や、更年期とのつき合い方について語っていただきました。


更年期はシフトチェンジをするいい機会(※写真はイメージです)

更年期外来を受診し、HRTがスタート。体に予想外の変化が…



今年のゴールデンウィーク頃に手足のこわばりなど体に不調を感じ、整形外科を受診したあとに、6月頭に婦人科の更年期外来を受診。その結果、更年期特有の症状が出てるということで、処方してもらったパッチタイプの薬でHRT(ホルモン補充療法)を始めました。


私の更年期治療で処方されたパッチ剤

パッチは丸い透明なシール状のものが個包装になっていて、下腹に貼ります。


写真では白っぽく見えますが、実際はほぼ透明で目立ちません。入浴中もそのままで3日に1回の交換。人により赤みやかゆみが出る場合もあるそうですが(その場合は飲み薬や肌に塗るジェルに変更可能)、私はまったく問題がなく、3日に一度というのが楽でいいなと思いました。

※パッチ剤の貼り替え頻度は、3日に1回〜週2回など、治療状況によって異なります。

●翌日からおっぱいが張ってきた!



体感の変化としてまずあったのが、初めて貼った翌日からの「おっぱいの張り」。大きな声では言いにくいですが、とくに乳首が…なんと言うか、思春期の頃の胸の成長に伴う張りや痛みに通ずるようなあの感じ。(おおー、ホルモンが巡ってるのか!?)と、ちょっとときめいてしまいました(笑)。

あと、肌の乾燥感が少しやわらいだ感覚も。乾いた土が水を吸い込むように、細胞がうるおった感じがして、そこまでカラカラだったのかと驚いたりしました。肝心の、朝の手足の関節のこわばりや痛みについては、まだあまり変化は感じられず。

そんな1週間を経て、初診で受けた血液検査の結果を聞きに再び病院へ。ホルモンの数値はがくんと落ちていて、更年期ど真ん中。いろいろ不具合起きていて不思議ないと言われました。HRTの効果の良し悪しはまだ判断できないので、このまま3か月続けることに。追加のパッチを処方してもらい、この日の受診を終えました。

●生理復活!?かと思うほどの出血が



病院に行って3日後、出血がありました。しかも「あれ、生理復活!?」というくらいのしっかりした出血量。でも、治療を始めたころに出血が起こることもあると、体験者である友人に聞いたり、病院でもらったパンフレットに書いてあったので、あぁこれかという納得感もありました。


ところが、5日後に出血が止まって10日経ち、7月に入るところでまた出血。また5日続いて止まり、2週間たったところでまたもや出血。5日続いて止まり、4日後にまたまた出血…。なんと7月は3回も生理のような連続出血があったのです。

パンフレットにあるように、確かに「不規則な出血」ではあるけれども、ちょっと多すぎでは? もともと貧血気味の私は心配になりました。さすがに8月もこうだったら先生に相談しよう。そう思っていたら、前半に出血あったものの、量がぐっと減少。後半もありましたが出血は2日程度で終わり、そうこうしてるうちに再診の日が近づいたので病院へ。

※ホルモン補充治療による効果や副作用、体調の変化には個人差があります。

●3か月の間にやったこと、感じたこと



この3か月、重なる出血に不安はあったものの、手足のこわばりに関しては、治療前に比べるとずいぶんよくなりました。以前の、目覚めてすぐマッサージしたくなるほど腕が固まっていたり、日中ずっと違和感が続くようなことはほぼありません。

パッチの効果もあると思うのですが、自分でも日常でいくつか気をつけていたことがあります。

・ストレスをためない
・朝のうちに体をゆるめる
・ゆっくり湯船につかる
・睡眠をしっかりとる

よく言われるようなことではありますが、この4つ、本当に大事だと思いました。じつは7月の終わりから1週間、伊豆高原にある断食道場に行ったのですが、現地では毎日これらを実践する生活で、そのよさを実感したのです。


ときおり通っている断食道場の個室

断食直前には手足だけでなく股関節の詰まった感もひどく、朝起床後、しばらく脚を引きずることもあったのですが、断食に行って3日目くらいからは、もう詰まっていたのを忘れるぐらいでした。

食事を抜き、水分をたくさんとることで体内リセットされて循環がよくなり、朝からヨガや瞑想、ウォーキングと動静合わせた道場スケジュールで自律神経が整えられ、代謝も上がり、ゆったりお風呂につかって十分な睡眠がとれるストレスレスな健康生活。これ以降、かなり症状が改善しました。このタイミングで断食道場に行ったのは本当によかった。帰ってからも、上記の4つについては実践を続けていています。

●更年期外来再診。しばらくHRTを続けることに



8月の終わりに更年期外来再診。先生に出血のことを伝えると、出血量減ってきてるならそのまま止まると思うけれど、気になるなら飲み薬と併用することで、抑えることもできるとのこと。パッチに加えて飲み薬も、は面倒に感じたのでこのままパッチを続けて様子を見ることにしました。

ペタッと貼るだけの薬でも、こんなに出血するぐらいの作用があるんだと、ちょっぴりホルモン剤の怖さを感じもしたのですが、ここはもう、人それぞれの判断。私は先生にホルモン剤を使うメリットデメリットについて聞いたうえで継続使用の選択をしましたが、各自が納得いく方法を選ぶのがいちばんだと思います。

●そして現在



8月末の再診から2か月が過ぎた現在、出血は一度だけ。受診のきっかけとなった右足の痛みは今はなく、左足の出っ張ったところも変化なし。手のこわばりは、日によって強度や場所が変わり、それがストレスとずいぶん関わってるように思います。

この前はいきなり左手首がぎゅっと痛くなり、ものをつかめなくなったほどですが、翌々日には治りました。なんだろう? と思ったのですが、ちょっと仕事で忙しかったのと、あと、天気が悪い時季でもありました。そういえば、断食道場に行ったときは梅雨で、後半梅雨明けしてから一気に体調がよくなった感じがあったので、気圧の変化なども影響するのかもしれません。

●更年期はシフトチェンジのとき



気力体力ともに落ちやすく、いろいろと表れる更年期。

今、私はシフトチェンジするときなんだな、と捉えています。
体が思うようにならなくて、いろんなことが滞ってきたり、やりたいことができなかったり。それを「老化」と嘆くこともできるけれど、なにかをやめる、あきらめることで手に入る自由もあるのではないかと思うのです。

これはボディセラピストとして感じたことでもありますが、体と向き合わざるえない状況になると、いろんなことを考えます。社会の枠、人づき合いの枠、こうでなきゃ、こうすべき、こうであるべきという枠にいかにしばられていたかに気づきます。そこから解放される絶好の機会なのかもしれません。

放っておくと、私たちはつい若いときと同様に無理をしてがんばってしまうから、体が「待った」をかけてくれるのでしょう。文字通り体を張って「もう休んでいいんだよ」「もっと自分を大切にして」と。ここで今の自分に合ったペースと生き方をつかみ、人生の秋という季節を実りある豊かなものにしたいと思っています。

そして、なんらかの不調を感じている方は、どうかがまんせず、婦人科や更年期外来を受診してみてください。

【日比響子さん】



東京・下北沢にある隠れ家スタジオ「studio hi_bi」主宰。ゆるめるボディケアamical®をベースにしたオリジナルメソッド“hi_biゆるケア”を軸に、体と心をゆるめて本来の自分を取り戻すボディセラピストとして活動中。ブログ「【東京・下北沢の隠れ家スタジオstudio hi_bi】カラダをゆるめて人生を楽しむ方法を伝えてます♡
」。

【監修/吉野一枝先生】



よしの女性診療所院長。産婦人科医。臨床心理士。女性の健康づくりをサポートするため、講演などの活動も積極的に行う。著書に『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本
』(永岡書店刊)などがある