「ご縁」と語呂合わせできる「五円玉」は、日本人の多くが縁起のよさを感じるだろう硬貨だ。

神社でお賽銭を納めるときに、「ご縁がありますように」という願いを込めて五円玉を賽銭箱に入れる人も少なくないように、ついつい五円玉を財布や貯金箱に貯めてしまう、という人もいるらしい。

せっかく貯めるなら、貯めている間も「縁起のよさ」を存分に感じてみるのもいいかもしれない。

富山県高岡市の鋳物メーカー・能作が製造・販売している「きんとん」を使えば、ちょっと地味な五円玉貯金も、こんなにめでたい感じになる。


画像提供:能作(編集部で一部トリミング)

胴がみょーんと長い豚が、「きんとん」だ。五円玉と同じ金色の豚。なんとも縁起が良さそうな感じがするではないか。

貯金するたびに太る豚

「きんとん」は、長い胴体に五円玉を通して蓄える「貯金豚」。先ほどの写真の姿は、満額まで五円玉を貯めた姿だ。

貯める前の「きんとん」はこんな感じ。


画像提供:能作

頭とお尻が細い棒で繋がっている。この棒に五円玉を通して貯金するようだ。

2020年11月9日、Jタウンネット編集部の取材に応じた能作の広報担当者によると、「きんとん」は五円玉と同じく真鍮製で、お尻の部分はマグネットでついている為、着脱できるのだそう。

担当者によると、能作が「きんとん」の製造・販売を始めたのは2012年10月。東京ミッドタウンが開催したコンペ「TOKYO MIDTOWN AWARD2011」のデザイン部門でグランプリを受賞した藤本聖二さんの「縁起のいい豚貯金」を商品化したものだという。

「縁起のいい豚貯金」は五円玉だけでなく、五十円玉を貯めるバージョンもあり、能作ではそちらを「ぎんとん」という名前で商品化している。「きんとん」が五円玉と同じ素材を使っていたように、「ぎんとん」も五十円玉と同じ白銅で出来ている。


画像提供:能作

同コンペのウェブサイトで、藤本さんは「縁起のいい豚貯金」についてこんなコメントをしている。

「普段から財布の中に1枚は5円玉を残しておきたいという意識が自分の中ではありました。『ごえん』という響きに見通しのいい穴とあの色、日本人にとって縁起のいいものの象徴であるかのようなアイテムです。
そんな5円玉とさらに重ねて縁起をよくしてくれる50円玉を貯えることでできる豚は、将来の生活を楽にしてくれるほどにはなりませんが、日々の生活を少し前向きにしてくれます」

能作の担当者によると、「きんとん」に貯められるのは五円玉が50枚(250円分)。「ぎんとん」には五十円玉が44枚(2200円分)。

確かに、貯金というには微細な額だが、貯めれば貯めるほど、豚が太っていく。豚が完全な姿になったときには、かなり嬉しい気持ちになれそうだ。