ビッグダディが振る舞う家庭の味! 居酒屋「デリム」のオムライスとラーメンが激ウマだった
かつて、ドキュメンタリー番組で話題を振りまいた林下清志さん、通称"ビッグダディ"。最近はどうしているのかな〜と思っていたところ、現在、居酒屋の店長を務めているとの情報が。果たしてどんなお店なのか? 早速お邪魔してみた。
○あのビックダディが居酒屋の店長に!
東西線『南砂町駅』2b出口から徒歩15分ほど。「亀高橋」交差点の角にあるビルの2階にあるのが、ビッグダディが店長を務めるお店「Music & Dining Delimu (デリム)」(以下・デリム)。階段下の看板でビッグダディがお出迎えしているのですぐにわかるはず。
店内に入ると、カラオケ設備があったりして一見スナックっぽいのだが、ギターやベースなどもあり、好きな人は演奏したりもできるという、料理と音楽を楽しめる居酒屋となっている。お店自体は2019年7月にオープン、ダディはその年の9月から店長として勤務。
飲食店の経験は沖縄でジンギスカンの店を3年間やっていたぐらい、というダディだが、もともと料理を作るのは好きなのかというと「いや、とくに好きではなかったですけど、嫁に逃げられたんで仕方なく(笑)」と言いつつも、なんとあれだけたくさんの子どもたちの弁当を11年間作っていたというからすごい。店の料理も、「ほぼほぼ、家で作って子どもたちに食べさせていたものをそのままメニューにしてる感じ」とのことで、ビッグダディの家庭の味を楽しめるお店になっている。営業時間中はご長男がメインで働いており、ダディも日中は別の仕事をしつつ毎日深夜まで顔を出しているそうで、周辺にお住まいの方を中心に、ダディとのトークを楽しみに来店する常連さんもいるようだ。
○ダディお手製の家庭料理が、とにかくうまい
お店のコンセプトは、「とにかく安く、必要以上に儲けない店をやろう」ということで、メニューを見ると、料理の価格は本当に安い! 「茄子の揚げびたし」「エリンギのステーキ」「ポテトサラダ」等が税込200円。「鶏の唐揚げ」「タコの唐揚げ」「肉じゃが」「厚切りベーコン」等が税込400円。しかもチャージ無料・お通しは無し。ドリンクも400〜500円台が大半で、たくさん飲んで食べても相当リーズナブル。さらに17〜19時は毎日がハッピーアワーということで、お酒好きな人にはありがたい。
さて、おすすめメニューを聞いてみると、「うちはそんなたいしたものは出してないので、おすすめなんてないんですけど」と謙遜しつつ、「よそと違う点でいえば、オムライスですね。今までのオムライスの観念をひっくり返すオムライスですよ。女子ウケもいいですし」と、かなりご自慢メニューの様子。ということでオムライスを作っていただいた。
ホワイトソースがかかった卵をスプーンで割ると、中から赤味がかったライスが現れた。具を炒めてからライスを入れて赤ワインをかけてほぐし炒めているそうで、ホワイトソースと絡めながら食べると優しくもコクがあり美味しい。たしかにこんなオムライス食べたことない。このボリュームで400円というところも最高だ。三女の女子プロレスラー林下詩美さんも絶賛しているというから、ファンの方も是非食べてみていただきたい。
また、メニューで「キャベツの黄金炒め」「黄金炒め丼」が気になったので訊いてみると、「キャベツでなんとか子どもたちにごはんをたらふく食べさせようと思ったら、ネーミングって大事なんですよ。子どもたちに「これなに? 」って聞かれたときに「キャベツの黄金炒め」っていうと、ネーミングだけで子どもたちが楽しみになるっていう。だから、うちは卵とチリソースだけの「エビと無関係のエビチリ」とか作ってましたよ(笑)。だけど、"エビ"って言葉を使うだけで子どもたちはときめくわけですよ。「キャベツの黄金炒め」もそういうノリですね。炒めると黄金色になるので」。なるほど、深く納得してしまった。
○幻のメニュー! ? 「ラーメン」が専門店並みの旨さ
さらにこの日、取材のために仕込みをして作ってくれたのが、「ラーメン」(税込600円)。もともとラーメンは大好きで、家族のために自己流でスープから作って食べさせており自分でも美味いと思っていたというダディ。ただ、店を出すほどの味なのかということまではわからなかったという。そこで、「コロナ禍でお酒の提供時間の制限があった時期に、それじゃあとてもじゃないけどやっていけないということで、うちの社長に『じゃあ、俺が眠る時間を削ってスープ作ってランチでラーメンをやるよ! 』って言ったんです。それで社長も『そうか、じゃあ頼む! 』ということで始めたんですけど、あたかも店のためを思って提案しているようでいて、じつはラーメン屋をやってみたかったんですよ(笑)。俺のラーメンがどんなものか、試してみたかったんですよねえ」と正直に告白するダディ。お客さんに出してみたところ、「美味しい! 」と言われたときの嬉しさに、飲食店をやる喜びを知ったという。
実際にラーメンを食べてみると、鶏がらスープ、しょうゆダレに魚粉などが使われた和風のスープで、ひと口飲んだだけでスープがめちゃくちゃ美味い! スルスルと入ってくる細麺もスープとの相性抜群。予想を遥かに越えるしっかりした味わいに感激してしまった。煮卵、めんま、チャーシューも全部手作り。「チャーシューには余計な味付けは一切せずに、2時間半程度煮込んでいるだけです」とのことだが、しっとり柔らかで、肉の旨味も凝縮されていた。
また、「物まねでは終わりたくないので、しっかりオリジナリティも出したい」ということで、トッピングにミョウガが乗っているのもポイント。意外だったが、スープにすごく合う。海苔、ミョウガ、ネギ、三陸産の細切り昆布、カイワレ、さらに隠し味的に細かく刻んだ生姜が入っていて、食感も良くて身体が温まる。本当に美味しくて、豪快なようで繊細な一杯。ダディにそう伝えると「ありがとうございます! 私のS〇Xと同じです」とのこと(訊いてない)。尚、麺を食べた後に、ごはんを入れて海苔をパラパラ乗せて食べる「追い飯」も人気。
とても自己流とは思えないほどのクオリティの"ビッグダディラーメン"だが、ラーメンを提供するには手間暇かかる上に利益も少ないということで、現在は通常メニューには加えていない。しかし相当美味いので食べたい人も多いのでは? 「じゃあ今後は「砂町 朝ラーメン」と名付けて朝4時までは居酒屋、4時からはフードはラーメンしか提供しかしません、という形で考えております……ということで良いでしょうか(笑)」と、新たな業態を検討中(?)。もしくは、「例えば、5、6人で店に来て全員がラーメンを食う、ということなら前の日に言ってもらえれば作りますよ。なにしろ、スープを作るのに5時間かかりますから。前の日から作らないと」ということで、ダディが作るラーメンを食べてみたい人は是非!
ちなみに、ダディは近々歌手デビューする予定で、カブキロックスのギタリストのもと、先日レコーディングが行われたとのこと。タイトルは「It's My Life」(仮)。発売日は未定ながら「デリム」と合わせてこちらもお楽しみに。
●information
「Music & Dining Delimu (デリム)」
東京都江東区南砂町5-14-6 サーハンビル2F
営業時間:17〜翌5時
休:無
岡本貴之 おかもと たかゆき 1971年新潟県生まれのフリーライター。音楽取材の他、グルメ 取材、様々なカルチャーの体験レポート等、多岐にわたり取材・ 執筆している。趣味はプロレス・格闘技観戦。著書は『I LIKE YOU 忌野清志郎』(岡本貴之編・河出書房新社)」 この著者の記事一覧はこちら
○あのビックダディが居酒屋の店長に!
東西線『南砂町駅』2b出口から徒歩15分ほど。「亀高橋」交差点の角にあるビルの2階にあるのが、ビッグダディが店長を務めるお店「Music & Dining Delimu (デリム)」(以下・デリム)。階段下の看板でビッグダディがお出迎えしているのですぐにわかるはず。
店内に入ると、カラオケ設備があったりして一見スナックっぽいのだが、ギターやベースなどもあり、好きな人は演奏したりもできるという、料理と音楽を楽しめる居酒屋となっている。お店自体は2019年7月にオープン、ダディはその年の9月から店長として勤務。
飲食店の経験は沖縄でジンギスカンの店を3年間やっていたぐらい、というダディだが、もともと料理を作るのは好きなのかというと「いや、とくに好きではなかったですけど、嫁に逃げられたんで仕方なく(笑)」と言いつつも、なんとあれだけたくさんの子どもたちの弁当を11年間作っていたというからすごい。店の料理も、「ほぼほぼ、家で作って子どもたちに食べさせていたものをそのままメニューにしてる感じ」とのことで、ビッグダディの家庭の味を楽しめるお店になっている。営業時間中はご長男がメインで働いており、ダディも日中は別の仕事をしつつ毎日深夜まで顔を出しているそうで、周辺にお住まいの方を中心に、ダディとのトークを楽しみに来店する常連さんもいるようだ。
○ダディお手製の家庭料理が、とにかくうまい
お店のコンセプトは、「とにかく安く、必要以上に儲けない店をやろう」ということで、メニューを見ると、料理の価格は本当に安い! 「茄子の揚げびたし」「エリンギのステーキ」「ポテトサラダ」等が税込200円。「鶏の唐揚げ」「タコの唐揚げ」「肉じゃが」「厚切りベーコン」等が税込400円。しかもチャージ無料・お通しは無し。ドリンクも400〜500円台が大半で、たくさん飲んで食べても相当リーズナブル。さらに17〜19時は毎日がハッピーアワーということで、お酒好きな人にはありがたい。
さて、おすすめメニューを聞いてみると、「うちはそんなたいしたものは出してないので、おすすめなんてないんですけど」と謙遜しつつ、「よそと違う点でいえば、オムライスですね。今までのオムライスの観念をひっくり返すオムライスですよ。女子ウケもいいですし」と、かなりご自慢メニューの様子。ということでオムライスを作っていただいた。
ホワイトソースがかかった卵をスプーンで割ると、中から赤味がかったライスが現れた。具を炒めてからライスを入れて赤ワインをかけてほぐし炒めているそうで、ホワイトソースと絡めながら食べると優しくもコクがあり美味しい。たしかにこんなオムライス食べたことない。このボリュームで400円というところも最高だ。三女の女子プロレスラー林下詩美さんも絶賛しているというから、ファンの方も是非食べてみていただきたい。
また、メニューで「キャベツの黄金炒め」「黄金炒め丼」が気になったので訊いてみると、「キャベツでなんとか子どもたちにごはんをたらふく食べさせようと思ったら、ネーミングって大事なんですよ。子どもたちに「これなに? 」って聞かれたときに「キャベツの黄金炒め」っていうと、ネーミングだけで子どもたちが楽しみになるっていう。だから、うちは卵とチリソースだけの「エビと無関係のエビチリ」とか作ってましたよ(笑)。だけど、"エビ"って言葉を使うだけで子どもたちはときめくわけですよ。「キャベツの黄金炒め」もそういうノリですね。炒めると黄金色になるので」。なるほど、深く納得してしまった。
○幻のメニュー! ? 「ラーメン」が専門店並みの旨さ
さらにこの日、取材のために仕込みをして作ってくれたのが、「ラーメン」(税込600円)。もともとラーメンは大好きで、家族のために自己流でスープから作って食べさせており自分でも美味いと思っていたというダディ。ただ、店を出すほどの味なのかということまではわからなかったという。そこで、「コロナ禍でお酒の提供時間の制限があった時期に、それじゃあとてもじゃないけどやっていけないということで、うちの社長に『じゃあ、俺が眠る時間を削ってスープ作ってランチでラーメンをやるよ! 』って言ったんです。それで社長も『そうか、じゃあ頼む! 』ということで始めたんですけど、あたかも店のためを思って提案しているようでいて、じつはラーメン屋をやってみたかったんですよ(笑)。俺のラーメンがどんなものか、試してみたかったんですよねえ」と正直に告白するダディ。お客さんに出してみたところ、「美味しい! 」と言われたときの嬉しさに、飲食店をやる喜びを知ったという。
実際にラーメンを食べてみると、鶏がらスープ、しょうゆダレに魚粉などが使われた和風のスープで、ひと口飲んだだけでスープがめちゃくちゃ美味い! スルスルと入ってくる細麺もスープとの相性抜群。予想を遥かに越えるしっかりした味わいに感激してしまった。煮卵、めんま、チャーシューも全部手作り。「チャーシューには余計な味付けは一切せずに、2時間半程度煮込んでいるだけです」とのことだが、しっとり柔らかで、肉の旨味も凝縮されていた。
また、「物まねでは終わりたくないので、しっかりオリジナリティも出したい」ということで、トッピングにミョウガが乗っているのもポイント。意外だったが、スープにすごく合う。海苔、ミョウガ、ネギ、三陸産の細切り昆布、カイワレ、さらに隠し味的に細かく刻んだ生姜が入っていて、食感も良くて身体が温まる。本当に美味しくて、豪快なようで繊細な一杯。ダディにそう伝えると「ありがとうございます! 私のS〇Xと同じです」とのこと(訊いてない)。尚、麺を食べた後に、ごはんを入れて海苔をパラパラ乗せて食べる「追い飯」も人気。
とても自己流とは思えないほどのクオリティの"ビッグダディラーメン"だが、ラーメンを提供するには手間暇かかる上に利益も少ないということで、現在は通常メニューには加えていない。しかし相当美味いので食べたい人も多いのでは? 「じゃあ今後は「砂町 朝ラーメン」と名付けて朝4時までは居酒屋、4時からはフードはラーメンしか提供しかしません、という形で考えております……ということで良いでしょうか(笑)」と、新たな業態を検討中(?)。もしくは、「例えば、5、6人で店に来て全員がラーメンを食う、ということなら前の日に言ってもらえれば作りますよ。なにしろ、スープを作るのに5時間かかりますから。前の日から作らないと」ということで、ダディが作るラーメンを食べてみたい人は是非!
ちなみに、ダディは近々歌手デビューする予定で、カブキロックスのギタリストのもと、先日レコーディングが行われたとのこと。タイトルは「It's My Life」(仮)。発売日は未定ながら「デリム」と合わせてこちらもお楽しみに。
●information
「Music & Dining Delimu (デリム)」
東京都江東区南砂町5-14-6 サーハンビル2F
営業時間:17〜翌5時
休:無
岡本貴之 おかもと たかゆき 1971年新潟県生まれのフリーライター。音楽取材の他、グルメ 取材、様々なカルチャーの体験レポート等、多岐にわたり取材・ 執筆している。趣味はプロレス・格闘技観戦。著書は『I LIKE YOU 忌野清志郎』(岡本貴之編・河出書房新社)」 この著者の記事一覧はこちら