巨人岩隈が引退会見で語った近鉄戦士への思い 元同僚広報は“爆笑秘話”披露
ヤクルト坂口、近藤がプレー、朝井秀樹巨人広報が最後はマイク握る
巨人の岩隈久志投手が23日、東京ドームで記者会見を開き、21年間の現役生活を振り返った。その中で、入団から5年間、在籍した近鉄時代についても語り、ヤクルトでプレーする坂口智隆選手、近藤一樹投手へエール。さらには近鉄、楽天で同僚だった巨人・朝井秀樹広報が爆笑秘話を披露し、会見場は最後、笑顔に包まれた。
「今はなくなってしまいましたが、いてまえ打線で勢いのあるチーム。古久保(健二)さんのミットを目がけて投げていた記憶が瞬時によみがえります。近鉄ファンの熱い応援は今でも忘れません。本当にそういう思いを持ちながら、楽天、メジャーリーグのマリナーズ、巨人に来ても、最後の最後まで、その気持ちを持って戦わせてもらったので、感謝しかないです」
近鉄時代の2004年には開幕から12連勝を含む、15勝をあげるなど活躍した岩隈の引退で、残る近鉄戦士はヤクルトの坂口、近藤の2選手となった。
「最後までもがいてくれていますから。僕が39歳で引退しますけれども、もっともっと、長くやってもらえるように応援したいなと思います」
ここで近鉄の話題は終了かと思いきや、原監督の花束贈呈に続く、第2弾のサプライズを球団広報部を上げて岩隈へ用意していた。会見の最後には近鉄、楽天でチームメートだった朝井広報が指名され、マイクを握った。
朝井広報 「広報部の朝井と申します。21年間、お疲れ様でした。(記者会見の)質問というより、岩隈さんとは、思い出話、懐かしい話になったり、いろいろな話が尽きないんですけれども、僕が入団した時から、岩隈さんは、エースにのぼりつめている最中で……近鉄の練習はきつかったですね! 毎日50メートルのタイムトライアル、ランニングをさせられていましたね。僕の三歩が岩隈さんの一歩でした!」
歩幅の大きさの違いがあったことを“自虐的に”明かすと、これには岩隈の表情に笑顔が広がった。岩隈も3歳年下の朝井に「きつかった。朝井はずっと走っていたな」と優しい表情になった。
共に楽天に籍を移した。同じ投手でロッカーも隣だった。
知られざる思い出話は続く。
「その練習が終わったら、岩隈さんの寮の部屋で、ジュースを飲んで、お菓子を食べて、たわいもない話をしていた思い出があります。その中でも最終的には野球のアドバイスだったりくれたり、夢を語ってくれたり……。奥様との出会いを話してくれたりとか、数え切れない思い出があります」
共に楽天に籍を移した。同じ投手でロッカーも隣だった。
「投球技術を教えてもらうんですけど、僕はなかなかマウンドでできなかった。いつもアドバイスくれましたね」
岩隈は「朝井は常に努力しながら人よりランニングをいっぱいやっていた。一緒に戦って、切磋琢磨して、できる限り1軍で一緒に戦いたいという思いがあったね」と優しく語りかけた。その後も「岩隈さんの車で夜食を食べに行きましたね」「よく食べに行ったね」などと、温かい会話のキャッチボールが続いた。
「目指すべき投手は岩隈さんでした。僕のスーパーヒーローでした! お疲れ様でした!」
湿っぽくなりがちな引退会見も、最後は朝井広報の気持ちのこもったメッセージで笑顔で締めくくられた。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)