会社に人生を預けっぱなしでは、いよいよヤバくなってきた昨今。不安定な芸能界を生き抜く芸人たちも、絵本作家、YouTuber、小説家など、“副業” を始めている。なかには、成果を収めている人も。今回は、「平成ノブシコブシ」の徳井健太(39)に、“副業術” を聞いた!

 1月に発表された「副業で稼ぐ芸人が激増した理由」(『東洋経済オンライン』)で、徳井は、そんな現象を「お笑い氷河期世代」の視点から分析。SNSでバズった。

「芸人にとって、劇場での本ネタ以外は、すべて副業だと思うんです。テレビのタレント仕事もそう。本業で通用しなかった僕は、副業仕事ばかり(笑)。自分が好きなことだから、べつにいいんですけどね」

 徳井がいちばん好きなのはギャンブル。奥さんからもらった教習所代や歯列矯正代で馬券を買ったり、家の預金通帳を持ち出して競艇に行ったり……クズな逸話は尽きない。

「もちろん、ギャンブルを副業だとは思っていません。何かを攻略することが好きなんですよ。

 ギャンブルで食っていた時期もありましたが、貯金があっても、わざわざカネを借りていた。『返さなければいけない』という思いを、モチベーションにしていました(笑)」

 だがこのことが、競馬や競輪、競艇などのテレビ番組での “副業” に繋がっている。

「僕らの世代の多くは、ダウンタウンさんに憧れて芸人を志しましたが、ダウンタウンさんにはなれなかった。それで、いろいろな分野で仕事をしているんです。みんな、金儲けが目的ではない。

 又吉直樹くんは芥川賞を獲りたかっただろうけど、カネが欲しかったのではない。西野亮廣くんが絵本を描くのも、カネではなく自己顕示欲です(笑)。副業は、好きなことでしか成功できないんです」

 しみじみとそう語るが、徳井は最近、好きなことの幅を広げている。2018年の西日本豪雨を機に、2019年には車両系建設機械の免許を取得。また同年、納棺に寄り添う「看取り士」の資格も取得した。さらに2020年は、役者や音楽活動を本格的に始めるつもりだという。

「40歳を前にして、『社会の役に立つことをしたい』と思い立ったんです。また、自分が昔やりたかった音楽などもやっていこうと考えています。最初から仕事にするつもりはありませんが、結果として、それらが副業になっていたらいいですよね」

平成ノブシコブシ徳井健太の教訓】
「成功のカギは、好きな分野で儲けは度外視」

とくいけんた
1980年生まれ 千葉県出身 北海道別海高校卒業。2000年、東京NSC同期の吉村崇とコンビ結成。心に闇を抱えた “腐り芸人” でもある

(週刊FLASH 2020年5月5日号)