人々が安心して暮らすために欠かせない自治体の防災無線。流れてくるのは災害情報や不審者情報が多い印象だ。

しかし2020年5月15日、神奈川県海老名市の防災無線から、意外な音が流れてきたと、ツイッターに報告が相次いだ。

「海老名市の防災無線からWindows XPの起動音が漏れたんですけど」
「今日なんでWindows開く音を市民に聞かせてるのだろう」
「海老名市放送は何回Windows起動するの?笑笑」


防災無線からWindowsの起動音が...(画像はイメージ)

どうやらパソコンの「Windows」を起動するときの音が、海老名市に響き渡ったらしい。多くの人が聞いているため、空耳ではないだろう。しかも書き込みを見る限り、謎の起動音は15日だけで複数回流れている。

システムに不具合でも起きていたのだろうか。16、17日に「起動音がした」等の書き込みは見られず、事態は落ち着いたかのように思われた。

しかし3日後の18日には、再びこんな投稿が。

「今またWindows起動したんじゃないの海老名市www」
「海老名市の放送ぶっ壊れたままなのかな?またWindowsの起動音ながしてるw」

再起動を繰り返す街、海老名市――。いったい何があったというのか。

1度は直ったものの...

Jタウンネットは19日、海老名市危機管理課の担当者に詳しい事情を聞いた。

担当者によれば、放送されたのはWindowsの起動音で間違いないとのこと。ツイッターでは「Windows XP」ではないかとの声もあったが、そこまでは分からなかった。

まず異常が起きたのは15日15時の放送。通常は事前に録音したものを流しているが、その時は設定していた放送ではなくWindowsの起動音が流れた。すぐに業者に見てもらい、問題は解決したとされた。

しかし同日18時、再びWindowsの起動音が流れた。

改めて業者に見てもらったところ、前回とは異なり防災無線システムの内部に不具合が起きていると判断された。引き続き業者に対応してもらい、外部には流れない放送テストを実施して直ったことを確認したという。2日後の17日に事前予約の放送を流した時もうまくいったようだ。

だが18日、13時頃に3度目の起動音が海老名市に流れる。もう業者もお手上げの状態なのだろう。担当者は、

「金曜日(22日)に防災無線システムの内部を代替機と入れ替えます。システム自体は今年度に入れ替える予定なので、しばらく様子を見ます」

としている。システム自体は10年ほど前に交換しているという。

ちなみに本来流すはずだった放送内容は、新型コロナウイルスの関連情報や詐欺情報など。これらの内容は海老名市防災サイトに掲載するほか、メールサービスや防災ラジオで配信しているため再放送は行わなかった。

これまでにもこのようなことがあったか聞くと、「一度もないです」と担当者。放送された起動音に対する問い合わせは数件あったという。