ドラマ『家なき子』の安達祐実演じる、すずとリュウ

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、テレビドラマの放送に大きな影響が出ている。

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 春ドラマの目玉と目されていた『半沢直樹』(TBS系)の続編をはじめ、木村拓哉主演の『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)や篠原涼子主演の『ハケンの品格』(日本テレビ系)など、話題のドラマが収録上の理由で次々と放送開始を延期。

 なんとか放送することができた月9ドラマ『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)は、第2話まで放送するも、3話以降の放送延期が決定。27日からは、長澤まさみ主演の『コンフィデンスマンJP』の再放送となる。

時代の変化においてけぼりの作品

 苦肉の策として、各局では過去のドラマの再放送や“特別編”がゴールデン/プライム枠で放送されている。この期間に再放送されているドラマは『恋はつづくよどこまでも』や『コウノドリ』、『下町ロケット』『JIN-仁-』(いずれもTBS系)、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)など、近年放送のものから少し懐かしい名作まで、さまざまなラインナップが並ぶ。

 新作ドラマがしばらく見られないのは残念だが、再放送で数々の名作に触れられるのはうれしいことでもあり、一定数の視聴者は獲得できているようだ。そうなると、「あれが見たいな」「あのドラマの再放送もやってもらいたい」という思いが当然、出てくるが、実は、なかなか再放送“できない・されない”作品というのがいくつも存在するのをご存知だろうか。

 '90年代に大ヒットした安達祐実主演のドラマ『家なき子』(日本テレビ系)は、地上波での再放送は行われていない(配信では視聴可能)。その理由について、あるドラマ評論家が語る。

「過激ないじめの描写などが、コンプライアンス的な観点から地上波での放送が難しいといわれています。赤井英和主演の『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系)も、いじめが原因で堂本剛が命を落とすなど過激な描写があり、地上波では再放送しにくい。『家なき子』も『人間・失格〜』も野島伸司さんの作品ですが、彼のヒットドラマは、地上波再放送のハードルが高いものが多いと思います」

ドラマの影響で起きた事件・事故

 どんなに高視聴率を出した大ヒットドラマでも、誰もがテレビをつければ見ることができる地上波での再放送は難しいのが現状だ。さらに、ほかの理由で“封印”となった作品もある。

「キムタク主演の『ギフト』(フジテレビ系)は有名ですね。実際に起きた刺殺事件の犯人が、このドラマでバタフライナイフを見て、それに影響されたと供述したことで、再放送ができなくなりました。

 頭部切断の描写があった堂本光一主演の『銀狼怪奇ファイル』(日本テレビ系)も、放送が自粛され封印作となっています。ほかにも草なぎ剛主演の『フードファイト』(日本テレビ系)も、子供が大食いをまねて窒息死するという事故が起こったため、再放送されなくなっています」

 ほかにも、“出演者自身”の事情により、なかなか再放送されない作品もある。

「松嶋菜々子主演の『やまとなでしこ』と江角マキコ主演の『ラブレボリューション』(ともにフジテレビ系)は、保護責任者遺棄罪と薬物使用で逮捕された押尾学が出演していることで封印状態になっています。

 同じ理由で加勢大周や、最近ではピエール瀧の出演作も当面、地上波での再放送は難しいでしょう。清水健太郎が出演していたことで地上波再放送がずっとされていなかった『ムー』シリーズ(TBS系)が、現在BSで再放送されるようになりましたが、これらの作品も、BSやネット配信としてなら、見ることができるようになると思います」

 また、事件でも出演者都合でもなく、まさに緊急事態宣言が出された“今”、再放送されるのは厳しいと思われる、ジャンルもある。それは、

「三浦春馬主演の『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)などの、パンデミック描写のあるものは、コロナウイルスとの苦しい闘いを連想させるため、まず難しいでしょうね」

 再放送で思わぬ名作と再会できる環境下でも、それが叶わぬこともある。

<取材・文/渋谷恭太郎>