そこに今回、もう1人「技術委員長」が現れることになった。アルビレックス新潟、湘南ベルマーレ、北京五輪日本U-23、そして昨季まで松本山雅の監督を務めた反町康治氏だ。「全体感を見るのが反町新技術委員長で、関塚技術委員長は代表チームに専念するダイレクター的な存在」とは、会見に臨んだ須原清貴理事の説明だが、分かりにくい話とはこのことだ。

 2人の技術委員長のうち、上の立場にあるのはどっちか。森保監督の評価について強い発言権を持つのはどっちか。代表チームの成績が上がらなかったとき、責任をとるのはどっちか。

 そもそも、なぜ反町氏だったのか。「全体感を見る」というのなら、日本サッカー全体をどの方向に持っていきたいので反町氏を招いたとしなければ、とりわけ納税者の中核を成す選手への説明としては不十分だ。

「船頭多くして船、山に上る」にならないか。森保監督、関塚技術委員長、反町技術委員長、田嶋会長。それに横内昭展コーチを加えた5人は、いったい何色の糸で結ばれることになるのか。方向性を打ち出さない組織は、組織として問題ありだとみる。よいサッカーは、よい選手なくして始まらない。では、日本サッカー協会が考えるよいサッカーとは何か? トップに立つ人間に必要なのは、選手たちへの解りやすい説明だ。

 とりあえず、この中では最も饒舌な反町技術委員長が再開後、どんな発言をするのか。その登場の仕方に注目したい。