大阪にある『ずんどう屋』摂津西店(公式ホームページより)

写真拡大

「大阪にある『ずんどう屋』の摂津西店は最近、休業していますが、実は従業員に新型コロナウイルスの感染者が出ていたんです。3月13日から営業を再開するようですが、大丈夫なんでしょうか」

【写真】『はま寿司』が公表したXさんの出勤状況の詳細

 そう語るのは、『ラー麺ずんどう屋』の関係者。

クラスターが起きたライブハウスで感染

 各地で新型コロナの感染が拡大し、各企業や飲食店などで感染者が出ると、公表に踏み切っているが、そうでないところも……。

 ずんどう屋は、兵庫県姫路市発祥のとんこつラーメン店で、2001年に創業。‘08年にはその運営会社「ZUND」(ズンド)を設立して、現在では関西を中心に48店舗を展開するほどになっている。

 冒頭の関係者の話と提供された資料によると、3月7日に摂津西店のアルバイトXさんが新コロナの陽性(無症状)であることが判明。

 8日から同店は臨時休業となり、保健所に連絡をとると、ほかに濃厚接触者はいないとの見解が出て、次のような条件で営業を再開することにしたという。

《当事者が陰性になること》

《2月28日から3月13日までに新たな感染者が発生していないこと》

 この28日がXさんの感染後、最後の出勤日だったとみられる。

 無症状にもかかわらず、Xさんがそれ以降、なぜ欠勤したかというと、「大阪京橋ライブハウスArc(アーク)」で、クラスター(小規模な集団感染)が起きたことが判明したからだ。

「実はXさんはそのライブハウスに行っていて、すでに公表されている『はま寿司』の茨木新和町店での感染者と同一人物なんです」(同・関係者)

 はま寿司は、全国に500店舗以上を展開する回転寿司チェーンだが、すでに3月8日にアルバイト従業員に陽性反応があったことを公表。

 それによると、この従業員は2月15日から23日の間にも複数のライブイベントに参加。16日から28日まで同店で勤務してキッチン業務を行っていたという。

「Xさんはとても仕事熱心で、ずんどう屋とはま寿司のアルバイトを掛け持ちしていたんです。はま寿司は正直に公表しているのに、ずんどう屋は公表していないので、おかしいと思います。Xさんも心苦しいのではないでしょうか」(同)

公表しなかった理由

 ずんどう屋を運営するZUNDの広報担当者に感染者が出たことを尋ねると、「事実です」と認めたうえで、公表しなかった理由をこう説明した。

「保健所とも話し合い、指導も受けたうえで、Xが発症したら、公表しようと考えていました。結局、発症しなかったのが、公表しなかった理由です。はま寿司さんは感染が発覚した時点で公表されていますが、そこは企業の判断の違いではないでしょうか。幸いなことに、X本人も3月12日に陰性の結果となりました」

 結局、摂津西店では13日の昼の時点では、営業は再開しておらず、8日からの臨時休業も理由を発表していなかったため、客からの問い合わせが多数寄せられたようだ。

「そういった方々には正直に感染者が出た事実を伝えましたし、公表しなかった理由も同じように告げて理解してもらっています」(広報担当者)

 客側に感染者が出ている可能性も否定できないので、不特定多数の人間が出入りする飲食業としては、公表する道義的責任もあると思うが……。

 両店がある摂津市や茨木市などを管轄している大阪府茨木保健所に公表や対策について聞いた。

「もちろん、店には消毒をすることを促しますが、いつから営業を再開するかは、店側の判断に任せています。また、公表についても、すべきかどうか、いつの時点で公表するのかなど、これもすべて店側の判断に委ねております」

 飲食店が何日も休業することは死活問題になるので、公表をためらう気持ちはわからないでもない。

 しかし、いまだ未知の部分も多いウイルスだけに最大限の情報公開は必要なはず。それを促すためにも、休業などに伴う損失は国が支援するべきだろう。