「彼こそ日本サッカーの象徴」韓国代表監督と熟練記者たちが語る“本田圭佑”

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ブラジル1部リーグのボタフォゴへの入団が決まった本田圭祐。そのことは韓国でも詳しく報じられている。

「今度は南米…日本サッカーのスター本田、ブラジルのボタフォゴに入団」(『聯合ニュース』)、「日本の本田の新しい挑戦、ブラジルのボタフォゴ入団」(『スポーツ京郷』)などだ。

何かにつけて日本サッカーをライバル視する韓国メディアだが、本田圭佑だけは以前から不思議と評価が高いのだ。

例えば2010年ワールドカップ直前。岡田武史監督率いる日本代表は大会直前に韓国代表と対戦して0-2で敗れたが、取材した韓国記者の多くが、まだブレイク前の本田を最も印象的な選手の1人に挙げていた。

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例えばサッカー専門誌『FOUR FOUR TWO KOREA』チョン・スチャン記者は言っていた。

「ワールドカップでは個々の意外性や積極性がゴールを生み出すことがある。そういう意味では、今の日本でそんな意外性を生み出すことができるのは本田圭佑だろう。

チームのバランスを崩すこともあるかもしれないが、彼の長所を積極的に引き出すことができれば日本に勝機が生まれるのではないか」

(写真提供=AFP/アフロ)本田圭佑

当時のサッカー専門誌『月刊ベストイレブン』の編集長で、現在はネットメディアで活躍するイム・ソンイル記者も、本田には期待を寄せていた。

「アジア最終予選ではそれほど多くの時間プレーできたわけではないらしいが、所属するCSKAでヨーロッパ・チャンピオンズリーグなどを経験したせいか、若いながらも自信にあふれてプレーしているという印象を受けた。

岡田監督が本大会でどのように起用するかはわからないが、重要なキーパーソンになるだろう」

この記者の予言通り、本田は南アフリカW杯でブレイク。その本田を中心とする日本代表に、韓国代表は2010年10月、2011年1月、2011年8月と3度対戦するが、一度も勝てなかった。

韓国代表監督も大絶賛「本田が初めてだ」

当時、韓国記者たちは本田のことをこう評価していた。

「本田はまだ若いが彼が精神的な支柱であり、日本のエースであるように感じた。アジアカップでもそう感じたが、今やチーム全体が本田を信頼し、彼もその期待に応えて韓国陣営で自分が意図するプレーを展開した。彼の存在感に韓国の守備陣が負担を抱き、防ぐことができなかったのは、誰の目にも明らかな事実だ」(『スポータル・コリア』キム・ソンジン記者)

「本田は日本サッカーのアップグレードの象徴だ。パワフルなbox to boxプレー、年を重ねるごとに広がる視野、強心臓と責任感は、相手からすると大きな負担だ」(韓国大手ポータル『NAVER』ソ・ホジョン記者)

本田のことを評価していたのは記者だけではない。元韓国代表監督のチョ・グァンレ監督が、最も警戒しつつ、いつも大絶賛していたのも本田だった。

チョ・グァンレ監督は前述した通り、韓国代表監督在任中、3度日本と対戦して1度も勝てなかったが、「上手い日本人選手は多かったが、強い日本人選手は本田が初めてだ」と舌を巻いていたほどだった。

ロシアW杯前後の“手のひら返し”

ただ、ロシアW杯開幕前の韓国メディアの本田評は決して良くはなかった。

例えば大会前のパラグアイ戦。

本田の出場はなかったが、『スポーツソウル』は「日本、パラグアイを破り6試合ぶりの勝利…プランBの可能性を発見」とした記事で、本田について「30代前半を迎え、パフォーマンスが落ちている」「代表チームでの影響力も微々たるもの」と紹介しながら、「日本は本田圭佑が抜けたほうがパフォーマンスが良かった」と報じた。

さらに、「日本はテンポの早い攻撃を追求しているが、本田にボールが渡ると展開が遅れるデメリットがある」と指摘し、「本田をはじめとしてベテランが欠場したなか、新しい形で良いパフォーマンスを見せたという点は、日本にとって追い風となる」と締めくくっている。

また『Best Eleven』は、「ハリルホジッチ前監督と激しく対立してきた本田が抜けて勝ったという点は興味深い」と指摘。記事は、「本田は監督交代を誰よりも歓迎していた」としつつ、本田が最近の2試合で存在感を示せなかったと振り返りながら、パラグアイ戦では交代出場もなかったとしたうえで、「すると日本は勝利した」と含みを持たせたほどだった。

だが、周知の通り、ロシアW杯が開幕すると状況が一変。特にセネガル戦で同点ゴールを決めた本田の活躍は大きく取り上げられた。
 
例えば、『MBN』の「光った本田のシュート・パス…ベテランの風格」と題した記事だ。

記事は、「本田はセネガル戦でスルーパスを試みた唯一無二の存在」としたうえで、セネガルは本田の鋭いパスと決定力への警戒心から反撃に転じることができなかったと分析し、「看板スターからジョーカーに格下げされたにもかかわらず、本田圭佑が2試合連続で輝いた」と報じた。
 
また『edaily』は、本田の同点ゴールについて「値千金の一発」とし、「日本を救った主人公は“特級ジョーカー”に変身した本田圭佑だった」と評価した。

記事では、本田がアジアのチームにおけるワールドカップ歴代最多ゴール記録となる4点目を挙げ、パク・チソン、アン・ジョンファンの通算3得点の記録を塗り替えたとも伝えている。

そのほかにも、「本田、アン・ジョンファンとパク・チソンを超えてW杯アジア最多得点」(『MTN』)など、本田が韓国選手の記録を更新したことを取り上げるメディアは少なくない。

なぜか韓国ではアンチが多い香川真司と比べると、人気も高く、その言動が話題になる本田圭佑。韓国でも何かと気になる存在であることは、間違いなさそうだ。