伊藤万理華(Photo by Takuro Ueno)

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本日24日(金)、渋谷PARCO GALLERY Xで「伊藤万理華EXHIBITION ”HOMESICK”」が開幕した。2017年10月にリニューアル前の同会場で「伊藤万理華の脳内博覧会」を開催。それ以来となる二度目の個展となる。前日に行なわれた内覧会で伊藤本人のコメントを取ることができたので、それを元に今回の内容をざっと説明しよう。

テーマは「家族」。入口にはファッションデザイナーである母親と共作のドレスが飾られている。ビーズの刺繍には伊藤本人のこだわりが反映され、「近くで見ないとよく分からない細かさ」(伊藤)で、遠くからと近くからでは見たときの印象が異なる。





写真ゾーンでは、前回の個展にも参加したフォトグラファー前康輔による様々な表情のカットが並ぶ。ZINE風のラフな雰囲気で、大きさや並べ方もランダムに展示されている。
「自宅で撮っただけあって、すごくリラックスしてる。衣装のバリエーションも少なく、ほとんどTシャツなんですけど、そのぶん表情が多彩で。寝室で撮ったやつもありますし、私がどんなDVDを持ってるんだろうというのも分かるので、どれも生々しい」(伊藤)
クリエイターとしての一面だけでなく、このような「生活感」も今回の個展で欲していたという伊藤。等身大の彼女の姿が見られるコーナーだ。



漫画ゾーンでは、伊藤が熱望した気鋭の漫画家・椎名うみとのコラボレーションが実現。本展覧会のために短編新作『おかえり』が描き下ろされた。ドレスと同じく本展覧会の核とも言えるだけあり、その存在感は圧倒的。メインの一コマを大きく引き伸ばしたパネルと、その横には真っ白な本棚が。棚の中には書籍化が施された漫画が何百冊と並び、閲覧型の展示となっている。
「ドレスと写真があって、漫画が大きく飾られている。他にはない空間になっていると思うので、会場でぜひ写真に収めていただきたいです」(伊藤)




Photo by Takuro Ueno

ショートムービーゾーンでは、漫画コラボレーションをベースにしたオリジナル映像であり、漫画と対をなし完成するとも言える映像作品を上映。前回の展覧会で『トイ』を制作した監督・柳沢翔を起用している。「上映時間が12分あって、私的にこれまで作ったショートムービーの中で一番長い。前回と異なり今回はセリフも多いので、じっく観てほしいです」(伊藤)
終盤には伊藤本人の歌唱曲も流れるのでファンは注目してほしい。


※シアターではSONYの高性能ヘッドフォンWH-1000XM3(ノイズキャンセリング機能があり、ショートフィルム作品を集中して視聴できる環境が作られている)を体験できる。公式サイト https://www.sony.jp/headphone/products/WH-1000XM3/

また、映像の中で登場する拘束衣(スタイリストの酒井タケルの手によるもの)も展示されている。「拘束衣がドレスにもなる今までにない発想」(伊藤)というように、留め具や生地などのディテールも凝っている。



ファッションとダンスを融合したファッション×ダンスゾーン

ファッション×ダンスゾーンでは、伊藤万理華を構成する重要な要素であるファッションとダンスを融合。それらを振付家・演出家・ダンサーで、クリウィムバアニー主宰の菅尾なぎさが映像に落とし込んだ。コラボレーションした3ブランド(BODYSONG./Tanaka Daisuke/PERMINUTE)と母親との共作を加えた4つのオートクチュールを纏いダンスする映像を衣装とともに展示している。



「BODYSONG.とのコラボでは私が描いた絵をジャガードにしてもらったんです。ジャガードなのにこんなにハッキリ表現できるんだという発見がありました」(伊藤)
「家族」というテーマを元に、伊藤と各ブランドとの間で繰り広げられた一対一のドレス作り。すべて同時進行で制作していたというだけあって、その過程は刺激的だったそう。
「PERMINUTEだったら編み物の温もりとか、染め方とか、そういう部分で家族を表現してる。Tanaka Daisukeはビーズの刺繍。昔の中国の民族衣装っぽい感じなんですけど、そこにTanakaさんなりの家族への解釈が加わってる」(伊藤)



個展のクライマックスを飾るのは3つのモニターに映し出された映像。3つの衣装と3つの世界。そして時々現れる母親のドレス。ファッションと「踊ること」を有機的に掛け合わせたアート作品だ。
「今回制作したドレスも”それを着て踊る”ということが前提だったんです。踊る機会が(乃木坂46を卒業して)一人になってからあまりなかったんですけど、菅尾さんとは一緒に何かやってみたいなとはずっと思っていて。菅尾さんらしさ満載で、それでいて自分の好きな世界観。振り付けの意図も自然に解釈できるというか。ただ、舞台の仕事が終わった直後に振り入れだったので大変でした。1日で4パターンの踊りを覚えなくちゃいけなくて、ギリギリまで追い込まれましたね。でも展覧会の最後にこの踊りを見ていただいて、見た方の気持ちが少しでも晴れやかになったらいいなと思います」(伊藤)



会場では伊藤がディレクションに関わったスペシャルZINEの他、BODYSONG.とのコラボアイテムなど、魅力的なグッズが多数販売される。乃木坂46卒業から2年、伊藤万理華の「これから」をあらためて実感できる、意欲と愛に満ちた展覧会だ。



「写真、漫画、映像とか、それぞれの要素があるんですけど、それらを見終わった後、この一つの空間にいたということが記憶に残るといいなと思ってます。あと今回の展覧会はすごく勇気を出して作ったものもあるので、私が前へ一歩踏み出したように、作品を見た方も前向きな気持ちで会場を後にしてもらいたいです」(伊藤)



<INFORMATION>


伊藤万理華EXHIBITION ”HOMESICK”

2020年1月24日(金)〜2月11日(火・祝)
入場料:一般/500円
「イープラス」で前売券を販売
チケット購入HP
https://eplus.jp/homesick/
営業時間:11:00〜21:00
※最終日は18:00閉場
※入場は閉場時間の30分前まで
会場:GALLERY X(渋谷パルコ地下1階)
主催:PARCO
https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=342