有名人の不倫報道がまたも目立ち始めている訳
理想の夫婦というイメージがあっただけに驚きが広がっています(写真:日刊スポーツ新聞社)
22日午後、杏さんと東出昌大さんの別居が報じられ、その理由が東出さんの不倫であることがわかると、メディアが一斉報道を開始。1月23日11時現在で、Yahoo!のトップ画面に「東出主演ドラマ 放送変更なし」「東出不倫疑惑 唐田側コメント」「別居 事務所『東出の愚かさ』」という3つの記事が表示され、午後になって「東出 CM契約解除の可能性も」「唐田不倫報道 韓国で高い関心」という2つの記事が追加されたことが、反響の大きさを物語っています。
この報道を受けたニュースのコメント欄やSNSには、「許せないし、不快だから2度と見たくない」「やったことは暴力や犯罪と同じ」「もともと演技もうまくなくて杏の夫だから仕事があったのに終わったな」など東出さんへのバッシングがズラリ。ワイドショーを見ても、コメンテーターたちから軒並み厳しい声が浴びせられています。
ネット上に罵詈雑言が飛び交う懲罰ムード
ただ、不倫疑惑の報道は昨年12月から続いていて、今思えば東出さんに対するバッシングの導火線のようになっていました。神田沙也加さんとジャニーズJr.の秋山大河さん、テレビ東京の鷲見玲奈アナと増田和也元アナ、小泉進次郎環境相と既婚の女性実業家、木下優樹菜さんとサッカー元日本代表の乾貴士選手。真偽は定かでないにもかかわらずネット上には罵詈雑言が飛び交い、見ていて辛くなるほどの懲罰ムードが漂っています。
この懲罰ムードで思い起こされるのは、2016年上半期の不倫報道ラッシュ。ベッキーさんを皮切りに、宮崎謙介さん、桂文枝さん、カールスモーキー石井さん、乙武洋匡さん、ファンキー加藤さんなどの不倫が次々に報じられ、世間の最大関心事となりました。
約4年の時が過ぎた今回も、昨年12月から不倫報道が続き、「芸能界屈指のおしどり夫婦」「3人の子どもに愛情を注ぐイクメン」の象徴と言えた東出さんが火に油を注いだことで、「再びあのときのような不倫報道ラッシュか」という声があがりはじめているのです。
なぜ今、不倫報道が再燃しているのでしょうか? なぜ不倫報道は連鎖するのでしょうか? 週刊誌記者たちからのヒアリングを交えてつづっていきます。
不倫は物証が残り、リークされやすい
まず「なぜ今、不倫報道なのか?」について。
2016年上半期以降の3年半も不倫報道はずっとあったものの散発的で、「スポーツ界の不祥事」や「芸能人と事務所のトラブル」などの陰に隠れ、世間の関心は高くありませんでした。
2016年上半期のような懲罰ムードは徐々に薄れ、罵詈雑言は減り、「不倫は本人たちの問題。当事者間で納得しているならいい」という見方が定着しかけていたのです。そのため知人の週刊誌記者(30代前半男性)は、「不倫のネタはいくつか持っているけど、売上やPVが期待できないものは出さない」と言っていました。
私は定期的に『週刊文春』『週刊新潮』『フライデー』『女性セブン』『週刊女性』などの記者から話を聞くようにしていますが、彼らもビジネスである以上、利益につながらないものは優先順位を下げているのです。
ただし、4人の週刊誌記者(30代前半男性、30代後半男性、30代後半女性、40代前半女性)は、「不倫は政治など他のスキャンダルよりも、本気になればネタをつかみやすい上に、周囲からのリークも多い」と口をそろえるように言っていました。その理由は、「本人が周囲の人にノロケやグチをこぼして広がる」「『許せない』という気持ちがリークにつながる」「メールのやり取りや写真など物的証拠が残りやすい」などとさまざま。
たとえば、近年増えているハラスメントと比べたら、不倫のほうが周囲の人々はリークしやすく、物的証拠も残りやすいことがわかるのではないでしょうか。その意味で不倫というネタは、「常にきっかけ1つで報道ラッシュにつながりかねない」という臨界状態にあるようです。
また、オリンピックやサッカーワールドカップではありませんが、週刊誌に限らずいくつかのメディアには、「3〜4年でひと区切り(一周)」のような感覚があり、「ひと区切りした(一周回った)あとに再び狙う」のはビジネスセオリーの1つ。各誌の編集部が「2016年上半期から4年過ぎたし、そろそろまた不倫報道ラッシュで盛り上がるかもしれない」と考え、取材を強化していたとしても不思議ではないのです。
不倫報道ラッシュにつながる負のサイクル
次に「なぜ不倫報道は連鎖するのか?」について。
東出さんの不倫疑惑で気になるのは、「イメージを裏切った」という点で、猛烈なバッシングを受けたベッキーさんと似ていること。好感度が高い人ほど不倫疑惑によってそれが落ちる幅は大きく、人々の罵詈雑言や懲罰ムードはヒートアップし、それが本人だけで収まらず他人にも降りかかりやすい状況が生まれてしまいます。
実際、2016年の上半期は、人々がベッキーさんに抱いた強烈な嫌悪感が、その後に不倫発覚した有名人たちにもぶつけられ、活動休止にまで追い込まれる人が続出しました。人々は消化しきれない嫌悪感をぶつける相手を探し、メディアはそれに見合うネタを差し出すという悪循環に陥ってしまうのです。
そもそも不倫に限らず、ベッキーさんや東出さんのような活躍している有名人の転落劇はエンターテインメントとしてショーアップされやすく、「次は誰が見つかるのだろう」「いい思いをしている悪いヤツを叩きたい」などのニーズを生み、報道ラッシュの流れにつながりやすいところがあります。
メディア側にしてみれば、ビジネスとしてのメリットが大きいネタを狙うのは当然。記者たちは不倫スクープ狙いを強化し、ネタをつかんで不倫を報じると、人々のバッシングがはじまる。また次の「不倫スクープを狙い、不倫報道し、バッシングする」というサイクルが続いてしまうのです。
さらに前述した「不倫はリークされやすく、物的証拠が残りやすい」ことが、次の不倫報道につながることも少なくありません。事実、知人の週刊誌記者(30代前半男性)は、「あの人、不倫していたのか。でもこの人もけっこうひどい不倫をしていて、こんな物的証拠があるよ」というリークを何度も受けたことがあると言っていました。今回、東出さんの不倫がこれほど大きく報道されていることで、別の有名人に関するリークを考えている人もいるのではないでしょうか。
東出さんに対する罵詈雑言は4年前と同等以上だけに、大きな流れにつながりそうなムードがあり、まだまだ大小のスクープが続くことが予想されます。
妻子の傷口に塩を塗るワイドショー
ただ1つ、4年前と比べて救いがあるのは、東出さんサイドの初動対応が早く無難だったこと。杏さんや子どもたち、放送中のドラマやスポンサーへの影響を踏まえてか、本人の会見やコメントこそありませんが、『週刊文春』発売の前日に事務所が「ほぼ事実」と認めるコメントを発表しました。
もちろん騒動収束や信頼回復には、かなりの時間がかかりそうですが、いち早くそこに向けた一歩を踏み出したのは間違いないでしょう。4年前、嘘を重ねた会見で乗り切ろうとして傷口を広げたベッキーさんが反面教師となっているのではないでしょうか。
しかし、現在も東出さんの不倫に関するニュースは、ワイドショーを中心にトップ扱いで報じられています。なかには東出さんと唐田えりかさんが共演したときの映像を繰り返し流し、「東出は唐田の腰に手を据えたままだった」「唐田が涙ぐむと東出はすぐさまハンカチを差し出した」「唐田は東出を『でっくん』と呼んでいた」などと傷口に塩を塗るような演出も少なくありません。
懸念されるのは、そうした心ない報道によって夫婦関係の話し合いがますます困難になってしまうこと。当然ですが、今後の夫婦関係は当事者間で決めるものであり、会ったことすらない他人がどうこう言うものではないでしょう。
あなたが賢明なビジネスパーソンならバッシングに加わるのではなく、杏さんや子どもたちのことを思い、「メディアの不倫報道はビジネスのためにショーアップしている」ことを理解し、これ以上、不倫報道のニーズを作り出さないようにしたいところです。