堀江貴文さんの見方とは?(写真提供:SNS media&consulting)

日本初の民間ロケットの打ち上げに成功、最近はYouTuberとしても注目される堀江貴文氏。さまざまなイベントや、ゴルフなどの趣味に国内外を飛び回る堀江氏は、スキマ時間に触るスマホで仕事の指示を送っている。

「いかに時間を使わずに多くのものを生み出し、効率よく世の中に伝えるか」を徹底する堀江氏の「時間術」とは? 堀江氏が何よりも大切にする「時間」だけをテーマにした初の著書『時間革命』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

「人の気持ちがわかる」なんて思わないほうがいい

「本音で生きる=自分本位に生きる」ということは、他人の迷惑を顧みずに、周りから時間を奪うこととイコールではない。

誰にでも「自分の時間」を生きる権利はあるが、「他人の時間」を奪う権利はない。そのラインを踏み越えてくる人間とは、徹底的に戦うか、完全に無視するかのどちらかしかない

かといってぼくは、「相手の気持ちを考えてから行動しろ」と推奨したりもしない。

ぼくは昔から「堀江は人の気持ちがわからないやつだ」とよく言われた。だが、そもそも人の気持ちなんてわかるものだろうか? むしろ、「私は人の気持ちがわかります」と公言できるようなやからに、ろくな人間はいないように思う。

「人の気持ちがわかる」なんて大きなおごりなのだ。

もちろん、表情や仕草・言動から、「この人は今、こう思っているのでは?」と想像するのは個人の自由だ。しかし、勝手にそれを信じ込んで突っ走る人物には、本当に迷惑する。

想像上ででっち上げた「人の気持ち」を基準に、行動を決める――いわゆる「忖度(そんたく)」ほど危険なものはないのである。

ぼくにだって、人のやさしさや配慮が身に染みた経験はたくさんある。事件で拘置所にいたとき、マスコミからボコボコに叩かれていたぼくのところに、ライブドアの社員たちが「寄せ書き」を持ってきてくれたことがあった。

その中には、それまで随分と厳しい注文をつけたり、人前で罵倒したりしてきた社員の名前もあったが、彼らの「頑張ってください」「信じています」という手書き文字を見た瞬間、涙が止まらなくなった。

また、ぼくにとって「動き回る」のを制限される拘置所という空間は、地獄そのものだった。何もせずにじっとしていると、頭がおかしくなりそうになる。

なかなか眠れずに、悶々として寝返りを打っていたある夜、1人の刑務官がぼくの独房の外までやってきて、「大丈夫? ぼくでよければ話し相手になるよ」と扉越しに声をかけてくれたことがあった。彼の言葉にどれだけ救われたことか……。

あくまでも基準にするべきは「時間」

確かに世の中には、人の気持ちを読み取って行動に移せる人がいる。しかしぼくは、それと同じくらいたくさん人に裏切られたり、ダマされたりしてきた。ぼく以上に人の気持ちがわからない人間がたくさんいるのも知っている。

それなら、人は「自分の幸せ」のことしか考えられないと思っておいたほうがいい。他人がどんな思いをしているのかなんて、本質的には知りようがないのだ


いまだにぼくも、よくわからないことで人を怒らせてしまったり、人の行動がまったく理解できなかったりする。たぶん知らないうちに、たくさんの人をイヤな気分にさせてもいるのだろう。

だから、人の感情なんて不確かなものを基準に行動を決めるのは、やめたほうがいいあくまでも基準にするべきは「時間」だ。あなたのアクションによって、他人の時間が減らないなら、何も気にすることはない。やりたいようにやればいい。

ぼくが反ワクチン主義者だとか、なんちゃってヴィーガンたちをぶっ叩いて、「予防医療」を普及させようとしているのは、それがみんなの時間(=人生)を増やすことにつながると確信しているからだ。

たとえ一部の人の感情を逆なですることになっても、それが結果的に人々の「時間」を増やすなら、かまう必要なんてない。「自分の時間」を全力で生きればいいのだ。