涙なしでは観られない!『ヒックとドラゴン』完結編のラストに込めた思い…監督が明かす
バイキングの少年ヒックとドラゴン・トゥースの友情を描いたアニメーション映画シリーズ第3弾にして完結編『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(公開中)のディーン・デュボア監督が来日時にインタビューに応じ、本作のラストに込めた思いを明かした。(以降『聖地への冒険』のラストに触れています)
かつては敵同士だった人間とドラゴンが共存する社会を作ったヒックとトゥースの関係は、本作で大きな変化を迎えることになる。3作全てで監督・脚本を担当してきたデュボアは、第1弾の製作時に原作者クレシッダ・コーウェルと交わした会話が、シリーズのラストに大きな影響を与えたと振り返る。
「彼女は僕に、今、シリーズの最終巻に取り組んでいると言った。全部で12冊あるんだけど、彼女は最後の本でドラゴンたちに何が起きたのか、なぜ彼らはもうこの世界にいないのかを説明しようと計画していたんだ。僕は『ヒックとドラゴン』を3部作にしようと考え始めた時、そのアイデアにすごく興奮した。ドラゴンはどこかへ行ってしまったのかもしれない、でもなぜ? 戻って来ることはあるの? とね。映画と本のストーリーはかなり違っているけど、最終的なゴールとして、ドラゴンたちがどこへ行ったのかを説明するのは素晴らしいアイデアだと思ったんだ。それに僕は、第1巻の最初の一文を読んだ時の感情を覚えていた。『僕が少年だった頃、ここにはドラゴンたちがいた』という文だ。それは彼らがどこかへ行ってしまったことを示唆していた。そのエモーショナルでミステリアスな感じは、ずっと僕の中に残っていた」
トゥースの命を狙うドラゴンハンターとの戦いを経で、ヒックは本作のラストで「僕らの世界は君たちに相応しくない。今はまだね」と彼を自由にしてやることに決める。トゥースが初めてヒックに心を許してから二人が築き上げてきた強い絆のことを考えると、涙が止まらなくなるシーンだ。
デュボア監督は「本作のドラゴンは、壊れやすく尊い自然を象徴していると思うんだ。それは人間によって脅かされている。人間が互いに平和に、そして自然の中で暮らせるようになるまで、特別なもの=ドラゴンは消えてしまう。でも、戻って来られる可能性は絶対にあるんだよ! だから『僕らの世界は君たちに相応しくない』というアイデアは、現実での人間の問題を反映しているんだ」と語り、ヒックの「今はまだ(Yet)」という一言に希望を込めていた。(編集部・市川遥)
映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は公開中