エマヌエル・ロドリゲス(右)【写真:Getty images】

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日本時間24日に激突、ロドリゲスがイメージするネリ戦のファイトプラン

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のバンタム決勝でノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちを収めたWBAスーパー、IBF同級世界王者の井上尚弥(大橋)。井上に準決勝で敗れた前IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)は23日(日本時間24日)に前WBC王者ルイス・ネリ(メキシコ)と再起戦を行うが、参謀はモンスター相手の敗北から学んだ教訓について明らかにしている。プエルトリコ地元紙「エル・ヌエボ・ディア」が報じている。

 超満員のさいたまスーパーアリーナでの死闘の末にバンタム級の頂点にたどり着いた井上。5月のWBSS準決勝で、モンスターの異名を取る王者にキャリア初となる259秒でのTKO負けを喫したロドリゲスはネリを相手に再起することになった。

 山中慎介との2度のタイトルマッチでドーピングと体重超過を犯した悪童ネリ。ロドリゲスのトレーナーのウィリアム・クルーズ氏は「プロモーター的な典型的な考えでいけば、負けた後の再起戦は余裕のある相手と戦うというものだ。それが元々のプランだった。マニー(ロドリゲス)は最初は、ラウシー・ウォーレンと戦うことが決まっていたんだ」と語ったという。

 今年1月にノルディ・ウーバーリ(フランス)に敗れていた元WBA世界同級スーパー王者ラウシー・ウォーレン(米国)を相手に、ロドリゲスは再起戦を戦う予定だったが、ウォーレンは右手を故障し、試合が流れた。

「ウォーレンが怪我をした時に、ネリ戦のオファーが舞い込んだ。アドバンテージとしてはすでにサウスポー相手のトレーニングを進めていたこと。大事なことはマニーがこの戦いを求めたんだ」

 左構えのウォーレン対策を進めていたロドリゲス。同様にサウスポーのネリは軌道修正の余地が少なくて済む相手になったという。

「ある意味、この試合は間違っているという人もいるが、相手としては正しいと思う。全く違ったファイターだ。ウォーレンはとてもテクニカルなファイターで、よく動く。マニーも警戒が必要だったが、ネリはパンチャーだ。常に攻撃を仕掛けてくる」

 クルーズ氏はこう語ったという。そして、井上戦で2ラウンド目に3度ダウンを喫した悪夢から得た教訓を、ネリ相手に生かすという。

「ネリを凌ぐアドバンテージは技術に支えられるボクシングだ」

「イノウエとのファイトから、マニーと私は学んだ。パンチャーには敬意を払う必要がある。特に接近戦では。次の戦いでは全く違うマニーを見ることができるだろう」

 グラスゴーのSSEハイドロで行われた準決勝で「惑星一のパンチャー」と呼ばれる井上相手にリングの中央で足を止め、果敢にパンチの応酬に打って出た。その結果が2ラウンドでのTKO負けだった。

 同じ過ちは繰り返さないつもりだという。「ネリを凌ぐアドバンテージは彼の偉大な技術とアマチュア時代から凄まじいバックグラウンドに支えられるボクシングだ。そこを前面に押し出していく」とクルーズ氏は語っている。

 クルーズ氏も準決勝前の公開練習で井上の父でトレーナーの真吾氏を小突くなどの挑発行為に出た。これでモンスターの怒りに油を注いだという経緯もあった。ハードパンチャーとの必要以上な打ち合いは禁物――。ラスベガスの舞台でかつての無敗王者と参謀役は教訓を生かすことができるか。距離を取って有効打を当てる、本来のアウトボクシングでネリに挑む心構えだ。(THE ANSWER編集部)