ノニト・ドネアは判定で井上尚弥に敗戦【写真:荒川祐史】

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井上が初めてカットを経験、米記者「彼の殿堂入りをさらに証明した」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のバンタム決勝が7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBA・IBF王者の井上尚弥(大橋)がWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ち。バンタム級頂上決戦を制し、WBSS優勝を果たした。ドネアは王座陥落したものの、井上を追い詰める戦いぶり。米記者から感銘を受けた声が上がっている。

 敗れたはしたが、レジェンドの威厳をはっきりと示した。ドネアは2回に井上の右目付近をとらえ、流血させた。無敵を誇ったモンスターに初めてカットを経験させ、以降も再三パンチを見舞った。攻勢を食らった11回にはダウンを喫したが、10カウントぎりぎりで立ち上がると、12回には積極的に攻めた。36歳とは思えない闘志で観る者を魅了した。

 本場米国の記者も感銘を受けた様子だ。ツイッター上で権威ある専門誌「リング」のダグ・フィッシャー編集長は「イノウエはドネアに判定勝ちするために激しく打ち合わなければいけなかった」とドネアの奮闘を認めた。米スポーツ専門局「ESPN」のスティーブ・キムは「結果は気にしない」とした上で「この試合はノニト・ドネアのファイターとしての最も素晴らしい瞬間。彼の殿堂入りをさらに証明するものだった。私個人の彼への憧れは今までになく高まっている」と絶賛した。

 一方で「イノウエにとっては現実の厳しさと容赦のないテストという、これこそ彼に必要なものだった」とし、かつてないピンチを演出したフィリピンの英雄の存在感を認めた。ドネアといえば、井上が若い頃から憧れてきた相手。試合後は「世代交代という言葉を使ってきたけど、まだまだこれでは世代交代とは言えない」と勝者に言わしめたほど、強さは健在だった。(THE ANSWER編集部)