ドコモの冬春モデル、なぜ少ない? 2万円スマホで『0円販売』復活はあるか ──ドコモ吉澤社長語る
NTTドコモの2019年冬〜2020年春モデル発表会の終了後、ドコモの吉澤和弘社長が新ラインナップの展開について語りました。この記事では、質疑応答と囲み取材の中から、冬春モデルに関するやり取りを中心に抜粋してお伝えします。

■「4Gの集大成」として発表された5モデル

発表会の中で吉澤社長はとして冬春モデルのラインナップを「4Gの集大成」として発表。2020年から始まる5Gを前に、4G LTEスマホだけの発表はこれが最後になることを示唆しました。

ただし、冬春モデルのうちスマホは5機種のみで、特に高性能なスマホはGalaxy Note10+、Xperia 5、AQUOS zero2と少なめ。

4G LTEサービスが「docomo Xi」として初の対応スマホ4モデルが登場した2011年の冬春モデル発表会では、3G(FOMA)・4Gあわせて24モデルも発表していたことを踏まえると、「4G LTEスマホの集大成」としては少なめと言えます。

もっとも、4G LTE時代にスマホメーカーの淘汰が進み、ハイエンドモデルを量産できる有力なメーカーは限られてきています。また、4G LTE時代から9月には3キャリアが新iPhoneを取り扱うようになっており、冬春モデル発表会では控えめなラインナップとなる傾向があります。

吉澤社長は冬春モデルのラインナップについて「冬春モデルだけでなく、2019年夏モデルと全体でラインナップと捉えて頂きたいなと思う。年度全体でみればかなりの機種を揃えている」と答えています。

さらに吉澤氏は続けて、5Gへの展開にも言及。「ただやはり、来年春の5Gサービス開始に向けてだんだん軸足を移していくというところもある。5Gに関しては来年春の商用サービス開始前にまた改めて(発表したい)」と話しています。

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■2万円スマホ「Galaxy A20」は『一括0円』で売られる?

総務省の方針により、ことし2019年10月以降、スマートフォンと携帯回線のセット販売での割引(販売奨励金)は上限2万円に抑えられることになっています。NTTドコモでは早期に総務省の方針にあわせ、低価格で購入できるスマホのラインナップを拡充してきたとしています。

今回の発表でも特に大きく取り上げられたのは、高価格なハイスペックモデルではなく、2万円台で販売される「Galaxy A20」でした。


ところで、総務省の"2万円"という割引上限は、低価格スマホでも適用可能です。本体価格が2万円以下のスマホの場合、回線セットで『一括0円』で販売しても問題ないことになっています。

実際、競合のワイモバイル(Y!mobile)では3万円台の低価格なスマホに割引をつけて、1万円台で販売するという方針を示しています。

ドコモでも同様に「Galaxy A20に2万円の割引をつけて販売するのか」という質問に対して、吉澤社長は「今のところ端末購入補助そのものの対象にするつもりはない」と一応は否定。ただし「スタンダードにおいては2万円以下の購入補助をやらないと決めているという訳ではない」と、今後も割引販売をしないのかという点については答えを濁しています。

ドコモではGalaxy A20を、3Gから4G LTEに移行するユーザーに対して乗り換え候補として提案していく方針です。

3Gサービスは2020年代半ばに終了する予定が示されており、3Gから4G LTEの移行に関してはより高額な割引も許容されています。ドコモとしては、使いやすい機種を安価に提供しつつ、4G LTE移行にともなう割引を抑えるため、Galaxy A20を投入した、とみることができます。

■折りたたみスマホ「フォルダブル」は投入しない?

ドコモの発表会の前日、auはサムスン製の折りたたみスマホGalaxy Foldを限定数で販売すると発表しました。Galaxy Foldはau独占販売となっており、NTTドコモでは見送られた形です。

▲au独占として発表された国内版Galaxy Fold

吉澤社長は「Galaxy Foldは関心をもっていろいろ動向をみている。(2月)グローバル発表から少したってから、折り曲げなどの問題が生じ、解決に時間がかかったようだが、マルチビューには非常に長けている」と、弱点と強みを指摘。その上で「今回のラインナップにはないが、しっかりと検討していきたい」と話しています。

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■ファーウェイスマホはどうなる?

米国の制裁に巻き込まれた中国のスマホ大手ファーウェイ。米商務省が定める"エンティティリスト"に登録されたことで、米国企業との取引を禁じられ、今後投入するGoogle Playを搭載することができなくなっています。

NTTドコモでは、2018年に「P20 Pro」を国内で独占販売。2019年発表の「P30 Pro」についても、国内では現状、ドコモのみの販売となっています。これらは米国の制裁前に発表されており、Google Playにも対応します。

一方で、ファーウェイが10月に発表したMate 30シリーズは、制裁入り後はじめて発表された新機種で、Google Playに非対応となっています。吉澤社長は、このモデルに関してはドコモでは取り扱いの検討はしなかったとしています。

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とはいえ、P30 Proは2019年夏モデルとして現行販売機種のラインナップにはいっています。ドコモはこのモデルの発表後を、予約を一度見合わせていましたが、9月13日より発売。予約再開時には「現時点においてお客さまが安心して本端末をご利用いただけることの確認ができた」というコメントを発表していました。

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▲ドコモが夏モデルとして発表したP30 Pro HW-02L

吉澤社長は今回、販売中のファーウェイ製スマホのサポートについて「アップデート、チップの供給については延期が決まっている。なにかあったときの対応にはできるだろう」と説明しています。

ただし、米国のエンティティリストは現状、90日の期限付きで延長されている状況ですが、その後の米国の対応については不透明な状況です。吉澤氏は「今後もサポートを提供できるのかは、(延長期限切れとなる)90日後の状況も踏まえて、さらに検討が必要だろう。逆に、今お使いいただく分にはなんら支障がないと私自身は思っている」と話しています。

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